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アルセーヌ・ルパン『カリオストロ伯爵夫人』-エトルタの海でカリオストロ伯爵夫人を助けるルパン!2人の前に立ちはだかる運命とは?-

伯爵夫人が殺したというボーニャマンが、カリオストロ伯爵夫人の後ろに立っているが、伯爵夫人は気づいていない!!

後ろを振り返って夫人がボーニャマンに気づいたとき、一瞬ぎょっとしたが、すぐに「ボーニャマン、新聞にはあなたが死んだと書かれていたのよ。なんであなたの仲間は私をだまそうとしているの?」と、平然と言う。

ボーニャマンは夫人との出会いを語り(過去、2人は親密だった)、仲間が共有している秘密を、この女が同じくらい知っていると言ったとき、一味は驚きでざわめく。

因みにその秘密がこの物語のキーになります。その秘密が何なのか?がこれから徐々に明らかになっていきます。

そして今から3週間前に、伯爵夫人がボーニャマンがいつも携帯している薬の袋を触っているのに気づき、彼がこっそり調べると、毒が検出された。

伯爵夫人に恋して、”秘密”を打ち明けたボーニャマンは後悔し、自分の死亡記事を新聞に掲載した。

その後、死んだとみせかけたボーニャマンは、彼女の後をつけ、ディエップのある修道院で、“ある物”を探していたことを突き止める。

彼女は彼ら一味と同じ“目標”を追っていることは認めたが、一味の仲間を殺していないと主張。

ボーニャマンが自分の薬の中に毒を入れるのを見たと言っても、「それは私ではない」と言いはる。

そしてボーニャマンと親密だったことはないと言い、彼の恋心が叶わなかったから、このような脅しを私にするのだと逆にボーニャマンを責め立てる。

しかし、孤立無援の彼女は、結局錘をつけた舟に乗せられ、殺されることに・・・。

一部始終を見ていたルパンは彼女を助けようと考えを巡らせる。

結局、男爵ともう1人の仲間でカリオストロ伯爵夫人を小舟に乗せてエトルタの海へ沈めることに・・・。

男爵ともう一人の男が、伯爵夫人を殺そうとしている(舟を用意したり、祈りをしたり)くだりは、とても長いページが割かれていて、2人が本当は嫌々殺そうとしていることが伺える。

(伯爵夫人は何と言っても美人(聖母マリアに似ているらしい)だし、ボーニャマンが話した伯爵夫人のどこか人間離れしているところなどに気後れしている様子)

そしてついに船底の栓を抜いたとき、一人は助けようと我にかえるが、結局夫人を助けることが出来ず、舟は海中に沈んでしまう。

海に沈められ伯爵夫人の意識が遠のいているとき、ルパンが夫人を海から引き上げて助ける。

ルパンはなんと海パン一丁で、船が出発する前から、その船にしがみついていたんですね。

ルパンは自分はラウール・ダンドレジーだと名乗り、ずっと一味と夫人の話を聞いていたことを告白する。

ルパンは夫人を断崖の頂上まで運び、人気のない納屋に寝かせる。

このエトルタの断崖の頂上まで夫人を抱いて登るのですが、なんとその階段は350段!
20歳の若者でたくましいルパンだからこそ頂上まで到達することが出来たんだとわかる場面です。そのルパンでも頂上に着くまでに4度立ち止まっていますΣ(・□・;)

一人でも登り切れるかどうかわからない過酷な階段なのです。

因みに、ルパンがカリオストロ伯爵夫人を抱えて、ひいこら言いながら登ったエトルタの階段は、現在は倒壊の危険性があるとのことで、通行禁止になっています。

エトルタの断崖や街については、拙著に詳しく記述しています。

半分意識を失っている夫人に対して、「あなたはなんて美しいのだろう。これから僕が貴方を助ける」と言って、ルパンもやがて眠りに落ちるが、次の日の朝、夫人は姿を消してしまう。

床の上にカリオストロ伯爵夫人の写真があり、その裏にこう書かれていた。

“いのちの恩人に感謝します。しかしふたたび会おうとなさらないでください”

続く。

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