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魂の詩集

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自分が読んで、魂が震えるほどの感動をおぼえた詩を、まとめてみました。
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記事一覧

神へ捧げるソネット  #69

神へ捧げるソネット  #69

佐佐木 政治

あの丘の柵に不気味なほどやさしい顔をもたせかけて こちらを見ているクローンの羊よ
まだ朝焼けのほんの一瞬の間の彩にも充たない 人類の文明の狭間では 
すでにこよない憂愁の徴候がはじまっている
神よ その昔幾山河を越え去り来たったあなたの奥深い或る時代の荒野には
群れ集う同類がいたであろう事実は想像に難くないのだが

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短歌039

煮込んだりせずともほろほろ崩れてくことが生きてくこととつぶやき

あの小鳥みたいに体震わせてあふれる珠を振り落とせたら

走るのをやめて左の青いバトン放す自ら荒い呼吸で

美しく綺麗で特別そんなもの探し始めたときから瞳は

ポケットにひっそりつめてきた青いチョークで道に丸を描いてく

〖作詞〗『握った拳』

〖作詞〗『握った拳』

『握った拳』
作詞 : S0U

男と女 大人と子供 白と黒
反対だって 認識してる カテゴリー
本当に 本当に そうですか?
確かに少し 差はあるけど
別けるほどの ものじゃない

遥か太古の 昔から
協力すること 武器にして
生き延びてきた 我ら人類
天敵どこにも いなければ
家族に 否の矢を向けるのか

「自分と違う」と それだけで
過敏に 恐れ慄いて
固い心で

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ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#5

ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#5

佐佐木 政治

神よ 同時に二つの場所で ぼくらの存在は成立しない
無数の空席はあるけれど 同じ時間の中でだれもがひとりぼっちだ
そしていつもたったひとつの場所で ぼくらはかけがえのないものと交わる
孤独が至高の高みに押し上げられ すべての煩悩を焼き払うように

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神へ捧げるソネット 抄 #11

神へ捧げるソネット 抄 #11

佐佐木政治   ( 1989年9月30日 かおす63より )

神よ あなたの永遠の滞在地 あのどこかの峰がうっすらとひかる高みの
あの なんの確証もありはしない ほとんど痴呆に輝く恣意の場所
光のように交叉し 意味と方角が差し違える場所
いつも終焉が炎に包まれている世界の そのへりのそと

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