余命一年である。 先程、神に宣告された。 ほう、そうか、とうなずいた。 余は驚かな…
わたくしは一九八六年五月二九日八時一五分に生まれました。体重二二六〇グラムの未熟児であ…
なにかを忘れているような気がする。なにかは思い出せない。きっと大切なことだと思う。 …
チョコレートの香りがするときは調子がよい。そんな気がした。 ふと、地面を見ると土の色…
辞めても遣つてしまうこと を続けてゆく もう遣りたくないなら辞めればいい また遣りたくなつ…
箒に乗りくうに舞う 姿は陰 見えない黒ずくめ ひらひらと舞う 星が迸り 一条の黄色となり 肩に…
風が吹いている。鳥山さんは風を食べた。美味しかった。心地のよい味がした。苦くはなかった…
最後は笑顔だ。 とはいうもののそんなに上手くゆくわけがない。この世は厭なことに満ち溢…
どこの星のかも分からないカレーを食べた。初めは美味いのか不味いのか見当もつかなかった。…
わたくしには記憶というものがございません。 「今」しかありません。 何も覚えられないの…
あの空が究めて赤かったとき、わたしは泣いていました。空が赤かったからです。他の理由は特…
よろこびの舞を舞ったのはいつぶりだろう。 家にジッショーくんがやってきたからだ。 吉…
煌めきがカンっと鳴った。わちゃわちゃと虫達が這いずり出てきて、星々が祝福していた。 …
緑の空間で虚無の声が聞こえてきます。よく耳を澄ますと怖ろしい程の叫び声です。殆ど聞こえ…
心持ち寒い闇夜に紛れざあざあと雨が降っている中微かな違和感を感じている。 黒いレイン…
心臓が一鳴きする度に死へと近づいてゆく。死を怖れてはいない。心臓よ、鳴り響け。 心臓…