空飛ぶタイヤ(下)/池井戸 潤 著

赤松運送の「整備不良」が事故の原因だと晒されてきた疑惑がようやく晴れ、真実が明らかになった。

これまで散々赤松運送を侮辱してきたホープ自動車は、事故の原因が自社にあると知りながら証拠隠滅を図ってきた。

過去の事故車両や部品の構造上の問題がバレてリコールを避けるために、ホープ自動車経営陣は「整備不良」が事故原因だと何年にも渡り主張し続け、国土交通省に提出する書類にも、作為されていたことが発覚。

警察は、手掛かりとなる十分な証拠が見つかるまで赤松運送に濡れ衣を着せてきたが、ついに確信的な証拠が発見され、ホープ自動車経営者らが逮捕される運びとなった。

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問題の所在がどこにあるかを知りながら、長年隠し続け、誤りを今更認められず正当化するホープ自動車には読んでいて腹立たしかった。

責任転嫁するために、証拠を破棄したり巨額を融資したりするも、結果全てが水の泡となり、何もかも失い、虚無だけが残る愚かさ。

誰に何を言い訳しても、小さい子どもを置いて逝ってしまった母親の命はもう戻ってこない。

「そのためにあなたは、色んなことを犠牲にして、もしかしたら誰か裏切るのかもしれない。だけど、夢を掴もうとする人のことを、誰も非難できないよ。だってそのひとの努力は本物だもん」

「私たちにとって何が一番大切なのか考えたんです。過去は変えられない。だったら未来を変えていくしかない。私はもうこれ以上、あのホープ自動車という会社に人生をかき回されたくありません。」

「ホープ自動車と闘ったところで何も残らない。そんなことより、事件を風化させないことのほうが大切だと思います。それは法律やお金とは、関係のないことです。」

この本を読んで、ますます経営に興味を持った。経営者の目線から考えた行動や関わる人たちは、それぞれ深い意味を持つと思った。

また、お金や地位よりもその人に「信頼」があるかどうかというのは非常に大切なことだと、赤松社長に改めて気付かされた。

その人に信頼があるかどうかを見極めるには、「誠心誠意、人のために尽くすこと」だと思う。

自分の利益のためだけに、足元固めて取り繕うほど甚だしいものはない。多少自分を取り乱しても、正義を貫き行動できる人は偉大だと思った。

空飛ぶタイヤ、上下完読。本当に面白かった。

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