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経済効果をもたらす「女性教育」の可能性

今回はタイトルの通り、「女性教育」に対する考え方について書いていこうと思います!教育に恵まれない発展途上国の女性の取り巻く環境について気になり、『国際教育協力論集』に寄稿されている黒田一雄先生の文献を参考に書いています。

未だ男尊女卑が根づく日本でもぜひ理解しておきたい話。。ぜひ多くの方に読んでいただけると嬉しいです!

「女性教育」が男性と比べて重要視されていないのはなぜか?女性教育が男性教育よりも実は経済発展に大きく貢献すると証明されているのはなぜか?

今回はそんな話を綴っていきます。最後までご覧ください✨

「女性教育」の問題とは?

児童婚、家庭内暴力、就職先の選択肢が限定されていること、情報通信技術(ICT)へのアクセスが男性のそれよりも低いことなど、依然としてジェンダー間の格差は残っています。

その中でも主な原因として、「女児の教育をめぐる親の意思決定」である事が文献で説明されています。発展途上国の状況を取り上げて考えると、子どもを持つ親にとって「女児は結婚をしたら家から出る」ことになり、長期的に投資することに価値を見出していないと感じています。一方、息子はこれから仕事をして家計を養う大黒柱的な存在になるため、息子の教育の方が重視されるというわけです。

つまり、男性の方が家事労働をして家計を支えるのに貢献度合いが大きく、女性の方が社会的役割が限定され、男性より「機会費用」がかかることが女性の教育を阻んでいるんです。

しかし、個人レベルでは「女性は男性よりコストをかけるべきではない」とされているのに対し、国家レベルでは「女性の権利は大切だ」と訴えかけていることに相違があるのはどうしてでしょうか?

ここからは、専門家の意見をもとに「経済活動への参加」「人口増加の抑制」「家族の衛生・教育環境の改善」の3つの観点から、女性教育が途上国の経済発展にいかに貢献しているかを見ていきたいと思います。

1.経済活動への参加

世界銀行グループの研究プロジェクトによると、「女性の教育の経済的社会的収益は非常に大きく、全体としてはおそらく男性の教育よりも大きい」とされています。つまり、女性の方が男性より社会に後々貢献する度合いが大きいということですね。

しかし、男性と比べると未だ女性の労働参加率が低いことは言うまでもありません。ではなぜそのような構造になるか、専門家は2つの考え方を挙げています。

まず、雇用者側の男女格差が存在しているということです。ある雇用者が女性と男性を比べ、低い給与しか女性に支払わない状況では、ほかの女性差別的ではない雇用者も、利益を最大化するために同じように女性に低い賃金しか支払わなくなるという考え方です。

次に、女性は子どもを産むため(比較優位)、労働市場への参加に限界があり継続的に働くことが困難だ、という認識があることです。これにより、女性の職業訓練のための投資が妨げられ、低賃金の原因となります。

上記に加え、農作物を主として生きる人々には力仕事が求められます。力では圧倒的に勝る男性の方が適任ということもあり、女性は家庭内(子育てや家事)に従事することに片寄ってしまいます。「女性の労働市場」だけに目を向けても一概に言えないのが現状です。


2.人口増加の抑制

過剰な出生は、同じ家庭内の児童の栄養を悪化させ、教育への投資を少なくし経済開発を鈍化させるといわれています。

そこで、母親となる女性の教育を促進させることで、「多産の弊害」「少産の利益」を理解し、出生率を減らすことが期待されています。また、識字によって「子どもを持つこと」に対しての理解や子育ての経済面など、より正確な情報をにアクセスしやすくなります。

女性教育は子どもの健康状態を維持するのに役立ち、子どもの死亡率を下げ、多くの子どもを持つ家庭が少なくなることにつながります。


3.家族の衛生・教育環境の改善

言うまでもなく、家族の健康を労り、子どもへの栄養管理をしていくのは母親にとっては大切なことです。育児や衛生面で多くの知識を持っていると、子どもが病気になったり感染症の疑いがあっても、放っておいたりなどすることなく、賢明な判断で医師を必要とするようになります。

また、そのような教育を受けた母親は、就学前の子どもへの接し方に対してとても高い関心を示すことが明らかになっています。女性教育により、家族の衛生環境も改善させるだけでなく、子どもへ教育を十分に行える可能性が秘めているということですね。

女性の社会的役割

上で簡単に3つ説明しましたが、基礎的な女性の教育は家庭環境を改善させるだけでなく、社会の生産性を生み出す要因として大きな収益をもたらすことがわかりました。

男女格差の問題は、国際協力の分野の中で大きな課題となっていますが、産業化している時代の中で大切なことは、女性の教育に投資するだけでなく、その投資を生かす環境、女性が経済活動に参加しやすい環境をつくることに徹底することが、女性教育をさらに向上させるために必要なことだと思います。

働くこと、子育てをすることに対して、女性の立場を理解して、性別関わらずお互いが必要なときに手を差しのべられる関係性を築くことが大切だと思いました。

子どもを産む女性にとって、人一倍も責任を持っていることを男性は理解する必要があるし、子育てにより働き方や心身の負担がいつも以上より変わることは当たり前で、それを寛容に受け入れられる社会のありかたもまた考えなければいけない事だと思いました。

最後の方駆け足になりましたが、、お読みいただきありがとうございました!

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