12/23。僕にとっては、どこから行っても『近い』町。

5:30起床。

天気は曇り。





何から書き始めればいいのか、めずらしく(本当に、めずらしいことなんだけど)迷っている。


何せ、昨日は色々あったのだ。……こんないい方をすると、あれなんだけど、そんなことはなくて、楽しいことがたくさんあって、大変なこともたくさんあった。……んん、やっぱり、いい方があれになっちゃうんだけど、つまりは、とてもいい日だった。


昨日は、行ったことのなかった純喫茶に、2軒も行った。もちろん、パートナーと一緒に。どちらの店も、パートナーが教えてくれた店だったのだ。(パートナーも、行ったことはなかったみたいだけど。)1軒目は、朝にモーニングを、2軒目は昼と夕方の境目にお茶を。


僕は、そのどちらも、吉田篤弘さんの「月とコーヒー」を開いていた。月とコーヒー。まさしく、その一服にふさわしい……。

(特急列車に乗って三時間のところにある街と、すぐそこの三駅のところにある隣町とのあいだに、さて、どれほどの違いがあるというのか――)

(中略)

いわゆる観光地などには出かけず、普通の街へ旅に出るというのが自分ならではの発見ではないかと自負していたのです。

吉田篤弘「セーターの袖の小さな穴」『月とコーヒー』より

その一節を読んだところで、僕はハッとした。ハッとして、向かいに座っているパートナーを見て、またハッとして、その一節にもう一度目をやった。それは、常に、僕の頭の中にある「旅」そのものだったから。


どこから行っても遠い町。あれは、川上……未映子? じゃない……弘美? ああ、そうだ。川上弘美さんだ。僕は読んだことがないので、どんな本なのかは、わからないけど。それはさておき。


僕にとって、この2日間、パートナーと共に過ごした時間は、先月、尾道で共に過ごした時間と、何ら変わりはなかった。ただ、場所が違うだけ。僕らがやっていることは、何もかも、同じだった。コーヒー、もしくは紅茶を一服できるところを探し、そこでゆっくり流れる時間を感じ、場になじんだら、また次へと……。


そうか。僕は、思った。僕にとっては、どこから行っても――どこまで行っても、近い町なんだ。尾道も、この町も。一昨日と、昨日。僕らは、間違いなく、旅をしていた。


今日から、また仕事。はあ、と思うけど、旅はいつでもできることがわかったから。またいつかの旅のために、僕は、今日も外へ出る。

この記事が参加している募集

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 「サポートしたい」と思っていただけたら、うれしいです。 いただいたサポートは、サンプルロースター(焙煎機)の購入資金に充てる予定です。