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12/1。カフェオレに辿り着くまでの道程は長く。

6:16起床。

天気は曇り。





……。
……。
……?


桜。
桜の、匂いがする。


変だな。
もう、12月なのに。


……。
……。
……そうか。


海の上は、何が起こってもおかしくない。


12月に、桜が咲いても。
4月に、雪片が舞っても。


きれいだ。





昨日。
11月最後の日。
僕は、街中をふらふらと徘徊していた。


出かけた当初は、近所のスタバに行こうと思っていたんだ。ほうじ茶と、あとバターミルクビスケットをお供に、たまにはゆっくり本を読もうと思って。


でも、時は15時。おやつ時。おまけに、土曜日。スタバは、満員御礼。とはいえ、1人分の席くらいはあるだろう、と思って、レジ前の行列に加わった。


フードが陳列しているガラスケースを確認すると、バターミルクビスケットは1コだけ残っていた。ああ、僕はなんて幸運なんだろう……。と思いきや、物思いに耽っている内に、ガラスケースからその姿は消えていた。どうやら、前方に並んでいた客が先に注文したらしい。……んん。僕はなんとなく気分がそがれて、行列から離脱してしまった。


そんなわけで、僕はどうしたものか、とリュックサックを背負い直した。この近くには……書店併設のカフェがあるな……じゃあ、そこに……あれ、ここも満員じゃないか。席、1人分も無いよ……ここのガトーショコラ、おいしいのに……。じゃあ、何も飲めないけど図書館……は、今日は休館日だったな。かくして僕は、カフェ難民となった。


そんなわけで、頭をひねりにひねった僕は、一度だけ行ったことのあるカフェに行くことにした。ここからだと……徒歩で30分。まあ、遠くはない。(30分以内は許容範囲です。)時刻は、すでに16時になっていた。


そのカフェは、駅に近いけれど、大通りを外れた狭い路地の中にあるので、知る人ぞ知る、といったちっちゃな店だ。やや立て付けの悪いドアを開けると、若い店員さんが1人と、お客さんが2人、そこにいた。僕はやっと、落ち着くところに落ち着くことができたのだった。


「すみません。ガトーショコラと、あとセットドリンクは、」
「申し訳ございません。ガトーショコラが売り切れてしまって……」
「……ええと、じゃあ、キャラメルカフェオレを」


人生には、どうしてもスイーツにありつけない日があるらしい。僕の場合、11月の最後の日が、そんな日なのだった。

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