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8/27

5:35起床。

天気は晴れ。
1人だけ。僕は、独りでここにいる。他人を感じることができずに。

僕らは、等しく欠けている。誰かの何かを、埋められるように。だから。

Overture.序曲。開始曲。序章。ここから、何かが始まるの? それとも、兵どもが夢の跡? すでに終焉を迎えたの? 「Tiny Musical」を1曲目から鑑賞するのは、いつぶりだろう。……うん。Musicalだから、鑑賞ということばがしっくりくる。僕は、鑑賞している。さっきまで「ムーン・パレス」をうんうんと読み耽っていた。そのせいだ。頭がぼんやりしたままでいるのは。いや、ぼんやりしているのは今日に限ったことじゃない。ここしばらくは、ずっとぼんやりしている。よくわからない。「よくわからない」は、もう止めにしようぜ。そう決めたはずなんだけどな。……ええと、この曲は何だっけ。Seaside? ああ、そうだったそうだった。この曲の次の次がLight Danceだから……。Seasideを聴いていると、1年前を思い出す。僕が、壊れかけていた頃。休みになる度に、僕は近場の海に通っていた。もちろん、泳ぐためじゃない。だってもう9月とか10月だったし……というより、そこは遊泳が禁止されているところだった。だからこそ、1人きりでぼんやりするには丁度よかった。1人浜辺でうずくまって、波が崩れていく様を、辺りが翳っていく様を、ただ見ているのが好きだった。ここに、余計なものは何一つ無い。ここでは、僕は自由だ……。僕は、帰り道がわからなくなるほど暗くなるまで、そこに佇んでいた。

スキューバダイビング、してみたいな。海は眺めているだけで充分だと思っていたけど、それで見えるのはあくまで表だけだ。僕は、裏も覗いてみたい。そのときはたった1人でするわけにはいかないけど、でも、そこで見た風景は、僕だけのものだと思うから。……んん。この曲は、リストを見なくてもわかる。Light Dance-home。小瀬村晶氏を知るきっかけになった曲だ。そして、鬱々と職場に向かっていた僕を支えた曲だ。とてもしんとしていて、とてもあたたかくて。なんだか、眠くなってくる……。いかん、もう6時半を過ぎているじゃないか。眠っている場合じゃない……外、曇ってるな。

もう一度だけ、Overtureを再生する。序曲。開始曲。序章。ここから、何かが始まるの? そうだね。少なくとも、僕は始まるさ。昨日の僕じゃない、今日の僕が。じゃあね、行ってきます。

Tiny Musical/Akira Kosemura(2008年)(Spotifyより)

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