見出し画像

1/13。I'M HERE.(I was not here,and you.)

5:30起床。

天気は晴れ。





……。
……。
……。


「思い出した?」


何を?
僕には、忘れていることなんて、


……。
……。
……。


「思い出して、思い出して」


忘れていること……。
思い出せないこと……。
思い出したくないこと……。


僕は、目を閉じた。





パートナーと映画を見るっていうのは、よくあることなんだろうか。しかも、その映画がラブストーリーとなれば、これはまさしく、僕らの方がラブストーリーの登場人物のような気になってくる。……なんてうわ言は、今、この日記を書いているときにそう思っただけで、実際の場面では、そんなことは、これっぽっちも考えていなかった。


僕はいつか、パートナーと一緒に見たい映画があった。


「いつか」といっても、そのDVDはずいぶん昔から持っていて、僕自身、それを見るのは数年ぶりだった。その「いつか」が、たまたま昨日だったという話だ。突然、思い出したんだ。本当に、前触れもなく。


10年前の映画。
短編映画「I'M HERE」。


日々を淡々と過ごす男の子。
奔放に生きていたい女の子。
どちらも、ロボットだ。


2人は出会い、恋に落ち、そして……そして、彼の運命を決定づける事件が起きる。(主人公がロボットである以外は)何てことのない――時々、何てこともある――そんな話。


見終わった後、パートナーの方を振り返ってみると、その目は潤んでいた。パートナーは僕と目が合うと、そろそろと近付いて、僕に抱きついた。その腕には力がこもっていて、まるで、僕がどこかに行ってしまわないように――どこかへ消えてしまわないように、しているみたいだった。


「大丈夫だよ」


僕は、いった。


「ちゃんと、ここにいるよ」


I'M HERE.


was(過去形)でも、will(未来形)でもない。僕は、今、ここにしかいない。パートナーも、同じだ。だから、僕らは僕らを大切にする。


「これまでも、そうだったから」「これからも、そうだろうから」そんなことばは、僕らの間にはない。なぜなら、過去も未来も、目に見えないものだから。目に見えないものに、執着するくらいなら、僕は、今、目に見えているものを大切にしたい。目に見えているもの――目の前にいる、パートナーを。


今日の僕も/パートナーも、
昨日の僕も/パートナーも、
明日の僕も/パートナーも、
たしかに、ここにいたんだ。


僕は、それを忘れないでいたい。


I'M HERE.

「I'M HERE」by Spike Jonze(2010年)

この記事が参加している募集

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 「サポートしたい」と思っていただけたら、うれしいです。 いただいたサポートは、サンプルロースター(焙煎機)の購入資金に充てる予定です。