1/13。I'M HERE.(I was not here,and you.)
5:30起床。
天気は晴れ。
*
……。
……。
……。
「思い出した?」
何を?
僕には、忘れていることなんて、
……。
……。
……。
「思い出して、思い出して」
忘れていること……。
思い出せないこと……。
思い出したくないこと……。
僕は、目を閉じた。
*
パートナーと映画を見るっていうのは、よくあることなんだろうか。しかも、その映画がラブストーリーとなれば、これはまさしく、僕らの方がラブストーリーの登場人物のような気になってくる。……なんてうわ言は、今、この日記を書いているときにそう思っただけで、実際の場面では、そんなことは、これっぽっちも考えていなかった。
僕はいつか、パートナーと一緒に見たい映画があった。
「いつか」といっても、そのDVDはずいぶん昔から持っていて、僕自身、それを見るのは数年ぶりだった。その「いつか」が、たまたま昨日だったという話だ。突然、思い出したんだ。本当に、前触れもなく。
10年前の映画。
短編映画「I'M HERE」。
日々を淡々と過ごす男の子。
奔放に生きていたい女の子。
どちらも、ロボットだ。
2人は出会い、恋に落ち、そして……そして、彼の運命を決定づける事件が起きる。(主人公がロボットである以外は)何てことのない――時々、何てこともある――そんな話。
見終わった後、パートナーの方を振り返ってみると、その目は潤んでいた。パートナーは僕と目が合うと、そろそろと近付いて、僕に抱きついた。その腕には力がこもっていて、まるで、僕がどこかに行ってしまわないように――どこかへ消えてしまわないように、しているみたいだった。
「大丈夫だよ」
僕は、いった。
「ちゃんと、ここにいるよ」
I'M HERE.
was(過去形)でも、will(未来形)でもない。僕は、今、ここにしかいない。パートナーも、同じだ。だから、僕らは僕らを大切にする。
「これまでも、そうだったから」「これからも、そうだろうから」そんなことばは、僕らの間にはない。なぜなら、過去も未来も、目に見えないものだから。目に見えないものに、執着するくらいなら、僕は、今、目に見えているものを大切にしたい。目に見えているもの――目の前にいる、パートナーを。
今日の僕も/パートナーも、
昨日の僕も/パートナーも、
明日の僕も/パートナーも、
たしかに、ここにいたんだ。
僕は、それを忘れないでいたい。
I'M HERE.
「I'M HERE」by Spike Jonze(2010年)
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