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3/26。甘いものは苦手だけど、甘い甘い君は好き。

5:30起床。

天気は晴れ。





……。
……。
……。


「ちょうだい、甘いものを」


ごめんね。


今は、ちょっと切らしているんだ。


僕は、甘いものが得意じゃないから。


……。
……。
……。


「ちょうだい、甘いものを」


もしかして、食べものじゃなくてもいいのかな。


それなら、聞かせてあげようか。


とびっきりの、甘い話を。





パートナーは、クレームブリュレが好き。なので、ファミレスなりカフェなり、メニューにそれがあれば、必ず注文している。ブリュレを口にしているときのパートナーは、とてもかわいい。もちろん、いつもかわいいけれど。


昨日は、気の滅入ることがたくさんあった。本当に、たくさん……。僕は仕事を早引きして、休みだったパートナーとココスに行った。16時っていう、半端な時間に。僕は昼食を食べていなかったので、ごはんものを注文した。昼食はとっくに済ませていたパートナーは、デザートを注文した。


ココスは近所にないので、僕らはあんまり行ったことがない。ので、メニューに何があるのかも、あんまり把握していない。デザートメニューの中に、クレームブリュレを見つけたときのパートナーは、まるで宝物を見つけたような顔をして、本当にうれしそうだった。それだけで、その日起きた色々なことが、ちゃらになるような気がした。


パートナーはおいしいものを食べるとき、必ず一口目を僕にくれる。せっかくの一口目なんだから、君が食べなよって、いつもいっているんだけどね。でも、パートナーの笑顔には抗えないから、いつもぱくっと食べてしまう。出来立てのクレームブリュレは、ほんのり温かくて、おいしかった。


僕も、ごはんものだったけど、一口目をパートナーにあげた。パートナーも、それをぱくっと食べて、おいしいおいしい、といってくれた。


クレームブリュレのカラメルを楽しそうに崩すパートナーを見て、この人がいてくれてよかったな、と思った。こんなことを思うのは、もう何回目になるのか、わからないけど。


この人がいてくれるから、どれだけ死にたくなっても、僕は生きていられる。今すぐ死んでしまいたい気持ちは、常に付きまとっているけど、パートナーを悲しませたくない気持ちの方が、もっと大きいから。


また行こうね。


パートナーはいった。


もちろん。


僕はいった。


これで、当分死ぬわけにはいかなくなったな。きっと、こんな些細なことのくり返しで、僕はこれからも生きていられる。





「僕だけが、鳴いている」

これは、僕とドッペルさんの話。もしくは、何か(を生む/が死ぬ)話。

連載中。


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