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ふたりで住む家への引越し前夜に

今日は引越しのことを除けば、いつものような1日だった。朝からコーチングのお仕事をして、終わってからは少しベッドで休んで、帰ってきた恋人と引越しの準備をする予定だった。

ドイツに住む私は、自分の家を去年の11月に引き払った。その直後から2か月の一時帰国を予定していて、ドイツに戻ってきたら恋人と2人で住むことになっていたから、契約が満了する11月で家を退去したのだった。

だから恋人とは、一時帰国が終わってからはこの家で一緒に暮らしている。今回の引越しは、家が新しいものになるだけで、それ以外はなんら変わりはない。

そう思っていたけれど、私の心は違ったようで、それを理解して落ち着くまでに時間がかかった。人には意識と無意識があって、無意識の範囲にあるものを理解するのは自分でも本当に難しい。


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不安な私

今日はずっと心が重かった。天気は悪くなかったけど、途中でよく曇っていたからそのせいかなとか、ピルは飲んでいるけどもうすぐ生理が来るからそれでかなとか、あるいは最近たくさん思考をしていたから頭を使いすぎたのかなとか。

どれがよくなかったのだろうと理由探しをしていた。

心には不安がある感じで、心が重いので体が動かない。それでも引越しの荷造りはしないといけないから、なんとか体を起こして、おやつを食べて機嫌をとりながら体を動かす。たいていの不調は、お腹が空いていて起きることが多い。

でも今日はなかなか手ごわい。体も心も、ぜんぜん頭についてこない。理由もわからないまま、私はどうしてしまったのだろうと絶望したりしながら、夕飯のピザを準備した。


夕飯のピザ

この家に私の荷物はほとんどない。私が前の家から引越すとき、私の荷物はここに持ってこなかった。一足はやく昨日のうちに新しい家に運んだので、荷造りといえどここで私ができることはほとんどない。

だから私がキッチンの荷造りを担当して、そのまま夕飯のピザを作った。いつもなら出来上がるにおいを「美味しそうだな」と思うけれど、今日はその欲も湧かない。出来上がったピザを4つに切って机に置いて、さぁ食べるぞとなった段階でも、手がピザに伸びない。

「今日は元気がない」と恋人にくり返し伝えていたから、その状況を恋人はよくわかっていた。わかっていたから、ハグしてくれた。引越しの荷物があふれる部屋で、いつものカウチには座れないから、床に座った私たち。その高さのまま、小さくハグをしてくれた。

その瞬間に、わかった。私は涙を流したかったのだ。何のためにかといえば、この状況が嬉しいねと、私と分かち合うために。


嬉し泣きがしたかった

大学生の頃、私は恋人と暮らしていた。当時は互いの親が借りた下宿先で暮らしていて、そのうちの私の家にふたりで住んでいたから、自力の同棲とかではないけれど恋人と一緒に暮らしていた。

それから関係は終わって社会人になって、私はクライアントから性被害を受けた。そのトラウマで男性という人たちが怖くなって、私はそれでも異性が恋愛の対象だけれど、男性が怖いからもう恋愛はできないだろうと思った。

それがなんと、異国の地で恋人ができ、私は恋人と暮らすことになった。異国で私が家を借りるというのは大変で、だからそんな判断は慎重にやろうと思っていたけれど、恋人の真摯さと恋人の家族の愛を信じたから、私は自分で借りた家を手放した。

リスクは承知で、でも彼と住みたい気持ちを信じた。これってすごいよね。私、よくやったよねと、私が私と気持ちを分かち合いたかったのだった。

今日の私は忙しく過ごしていたし、最近の私はずっと慌ただしかった。フリーランスでやっている自分のサービスをリブランディングすべく向き合ったり、と思いきや衝動に駆られて急にイベントをやることにしたり、今月から時間ができたからと新しくクライアント募集をしたり。

どれも心から楽しんでいたけれど、そういえば余白を持って自分と向き合う時間が取れていなかった。ずっと頭が稼働していて、心に向き合えていない感じ。その手をとめて、私は自分に向き合ってほしかったのだと思った。せわしくしすぎて、自分からの声に気がつかなかった。


ふたりの家へのお引越し

そういうわけで、ついに明日はふたりで住む家へのお引越し。広さは2倍くらいになるけれど、まだ家具が揃ってないので、家が落ち着くにはしばらく時間がかかるのだろうと思う。

昨日私の荷物を運び入れたとき、バルコニーの外を見てびっくりした。ちょうど私たちのバルコニーの真ん前に、見頃のさくらの木があったからだ。

ベルリンにはさくらの木がある。むかし壁が崩壊した後に日本から贈られたそうで、その影響なのか元々あったのかはわからないけれど、街中にもポツンと一本さくらの木が立っていたりする。

去年ベルリンのさくらの存在を知って、今年はお花見がしたかった。でも思いのほかはやく咲いたさくらは、ここ数日の雨で早くも落ち始めていた。

私が花見の場所を見つけるのが先か、それとも花が散るのが先か……と思っていたところで、一番いい花見の場所に出会ってしまった。新しいうち家のバルコニーだ。内覧の時には花がなかったから気がつかなった。

このさくらをSNSにあげていたら、あるひとがこう言ってくれた。「aimiさんが今までたくさんの人に贈り続けてきた花が還ってきたんだね!」

そうか、そうだったんだと思った。そう表現をしてもらって、私はそんな素敵な花を受けとってしまっていいのだろうかと一瞬ひるんだけれど、いや、受けとろうと思い直した。私が勝手に萎縮して、「受けとらない」をする必要はない。

そういうわけで、うちのバルコニーのさくらは、みなさんからもらった花ということになった。その家に、ついに明日引越しをする。

心はすっかり回復して、荷物もあらかた終わった。満を辞して、新しい家に行こうと思う。いつも関わってくださるみなさん、花を贈ってくれてありがとう。

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