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四月日記

25
思いついたままに書きつけた日記
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#カフェ

4月21日「ガリガリくん」

4月21日「ガリガリくん」

休日となると怠惰に身をかまけてしまいがちだから、できる限りの充実を掴み取るため、家を出て歩き始めた。夏のふりをしている太陽の陽射しが思ったよりも強く照りつけて、無駄に着込んだシャツが身体にぺたぺたと張り付いた。
あまり気分のいいものではなかった。
心地の良い場所を求めて街へと向かった。
地下鉄を降りて街を歩いていると、自転車に乗りながらガリガリくんのソーダ味を食べている高校生とすれ違った。昔の自分

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4月19日「接客」

4月19日「接客」

仕事を終えて美容室へ向かう。
二ヶ月近く放置してしまった髪はだらしなく伸びきっており、前髪は涙袋を隠すくらいまで到達している。
散髪は僕の中で面倒ランキングの上位に座している。髪質が少し特殊なことが原因だった。細くてしっかりとした直毛なおかげで、ワックスで遊べなかったり、パーマのかかりが悪かったり、学生の間に通るカッコつけをほとんどすることができなかったから、髪型に対する執着がほとんどなかった。

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4月10日「背景」

4月10日「背景」

友人からカフェに行こうと誘いがあった。四月か五月には行けたらいいねえ、と話していたのに、思ったより早く顔を合わせることになった。行ってみたいお店を見つけたらしい。

彼はコーヒー関係の仕事に就いていて、豆の発注やら商品の販促なんかをメインの業務にしているのだけれど、ここ最近の従業員の減り具合が「リーマンショックの時の株価くらい」だとため息混じりのLINEが来たから「ギザギザに減ったんだね」と軽口を

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4月5日「抽象画」

4月5日「抽象画」

職場までの道のりには、もはや夏の雰囲気があった。雪は残っているけれど、照りつける日差しの強さが、春をうっかり忘れてしまったみたいに容赦なく僕まで届いた。
春物の羽織にしてよかった。何年も前にGUで買った安物だった。もうそろそろ買い換えたいけれど、致命的に壊れたり、未だにボロくなっていないせいで、なかなか手が伸びなかった。

仕事を終えてご飯を済ませ、夏目漱石の『明暗』を読み始めた。漱石の未完の絶筆

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4月4日「深夜ラジオ」

4月4日「深夜ラジオ」

なんだかいろんなことを話して、自分の中の言葉のストックをほとんど出し切ってしまったような一日だった。
目的の言葉をめがけて辞書を引いても、閲覧した後に辞書の中から言葉が失われることはないけれど、自分の頭の中にある言葉は、少しずつ減っていくような感覚があった。
本当にそんな現象があるなら、フリースタイルラップは自殺行為でしかなくなる。きっとそんな現象はない。主張が減っていったことの錯覚だろう。

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4月1日「マネキン」

4月1日「マネキン」

休みの日だった。
夜ご飯を作る以外に特に予定のない一日、これから思いついた事を自由にできると言えば聞こえはいいが、手持ち無沙汰と言えばそれまでだ。

前の日の夜にセブンイレブンで買ったちぎりパンを食べながら牛乳を飲んだ。
パンのパッケージを何気なく見てみたら、深夜の三時に賞味期限が切れているようだった。そうか、二十三時過ぎに買ったとしても翌日の朝ごはんまで間に合うとは限らないのか。一つのしょうもな

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