もし~シリーズ (6):もしザンパンマンがスピンオフしたら
私は『ワンパンマン』が大好きなので、『ザンパンマン』と聞くと、つい反応してしまいます。近未来麻雀小説の続編では、以下の『ワンロンマン』が登場する予定です。
新雀士のキャラ設定
キャラクター名:ワンロンマン
必殺技:立直を掛けると一発でロンできる能力
弱点:立直通らず、頭ハネ、役に自摸が付かない、天和や地和には勝てない
強さ:★★☆☆☆
ところで、夕凪志織さんの作品中に登場する『ザンパンマン』は奥深く、『ザンパンマンミュージアム』での『ザンパンマンショー』の設定を読むと、つい『もしザンパンマンが実在したら』と考えてスピンオフを思い描いてしまいます。
ザンパンマンとは一体…?
敵か味方か、味方か敵か―っていうか、一体誰がザンパンマンの敵で、何と闘っているかは、夕凪志織さんの【Destination】シリーズで明らかに…!
と書いてザンパンマンのエピソードにリンクしようとしたら、夕凪志織さんがそのエピソードを削除して、改訂版を作り始めていたので、旧【Destination】シリーズの魅力が何だったのかについて解説します。
旧【Destination】シリーズには、武術の概念や修行や格闘場面などがギャグマンガとして描かれているエピソードがありました。この表現が非常にユニークで、まるで麻雀のルールを知らない私が近未来麻雀小説を書くようなものでした。
武術の素人が武術漫画を描くと、武に詳しい人から見ると非常に面白い内容になります。夕凪志織さんが武術をどれほど理解しているかは分かりませんが、ギャグマンガでありながら武の本質を鋭く描いている部分もあり、このアンバランス感が非常にユーモラスで、素晴らしい作品でした。
ちなみに、私の趣味は武道、武術、格闘技の類です。さまざまな武を極めたとは言えませんが、道場破りをして遊んでいたことがあるくらいなので、ある程度は『武』に精通しています。
格闘技ブームの影響で、武道や武術が素手やグローブを用いたスポーツだと誤解している人も多いですが、実際にはそれ以上の深さがあります。例えば、徒手空拳を掲げる極真空手は、私の定義の武道とは異なり、単なるスポーツに過ぎません。なぜなら、フルコンタクト空手と称しながら、拳や手刀、掌底、猿臂(エルボーのこと)、頭突きなどで、一番狙い易い顔面への攻撃を禁じるルールは論理的に矛盾しています。これではフルコンタクトではなくハーフコンタクト以下です。
また『一撃必殺』という宣伝文句も現実離れしており、実際の試合では最初の一撃で相手を倒すことは極めて稀です。初心者と有段者の間に大きな実力差があれば、一撃で相手を戦闘不能にすることは可能ですが、弱い者いじめをすることを武道とは言いません。さらに『必殺』と言いながら、実際には死者は出ていないことから、この宣伝文句の非現実性が明らかです。
一方で、琉球古武術や琉球空手、古武術、中国拳法などでは、武具を使用することが前提の技術体系になっています。これらの武道や武術には、剣術、薙刀術、槍術、棒術、杖術、さらには十手術などの逮捕術も含まれています。
呪術廻戦の特級呪具で有名になった三節棍や、ブルースリーで有名になったヌンチャクや棍は相手が余程の使い手でなければ、それほど面倒な武具ではありません。ところが、釵(サイ)の使い手が相手だと、素手では勝てる気がしません。棍は一対一の戦いならば素手でも対処可能ですが、棍の初心者であっても二人が同時に攻めてくると、負ける可能性が高まります。完全な素人であれば、複数の相手が棍を持っていても、一人から棍を奪い取れば形勢を逆転させることは容易です。意外と扱いにくいのが杖術の使い手で、杖術は予期せぬ方向からの攻撃が多く、意外と手強いです。杖術のようなマイナーな武術を習得しているだけで面倒な相手です。しかも、杖術は日本だけでなく世界中に多様な形で存在します。刀や釵、トンファーなどの武具を公衆の場で持ち歩く人は殆どいませんが、杖やステッキは公然と携帯しても問題視されないので、ステッキ術の使い手は特に要注意です。さらに、杖術は梃子の原理を応用して関節技にも使えるので、力の弱い相手でも油断できません。
十手は時代劇の影響で誤解されがちですが、実際の十手は非常に多機能な武具です。十手には、打つ、突く、払う、刀を鉤で受け止める、刀を折るなど、多様な使用法があります。時代劇でお馴染みの岡っ引きは通常、十手を持つことが許されておらず、捕り物の際には同心の許可が必要でした。
同心とは、江戸幕府の下級役人で、武士の最下層未満の身分でした。武士ではないため、帯刀が許されていなかったので、代わりに十手が効果的に使われていました。
私は東南アジア全土に1000以上の流派があるシラットまで習得しているので、このように武道や武術について語り始めると終わりがありません。
ちなみに、シラットは独特なナイフを使った護身術や殺人術を含む武術で、軍用シラットはまさに殺人術です。
シラットには精神修行の面も含まれており、呼吸法や瞑想を通じて精神統一し、気功を習得することも目指します。つまり、これらはどの武道や武術にも共通する基礎であり、一つの武道や武術を修得するだけでも応用範囲が広がります。この原則は武道に限らず、学問、ビジネス、人間関係、スピリチュアリズムにも応用可能であり、集中力、精神力、洞察力など、人間の生活において必要な基礎と言えます。
旧【Destination】シリーズでは、師匠の教えとして、門下生に上記のような技や武の精神を伝授します。ところが、師匠がボケキャラで、シリアスに説教した後に、実際には自分では何も習得していないストリー展開が、現実の武道や武術界にも多いので、笑いのエッセンスとして良い味を出していました。
武智倫太郎によるザンパンマンのキャラクター設定
この設定は夕凪志織さんのものとは異なりますが、以下の設定や画像は夕凪志織さんに限り著作権フリーとしますので、もし気に入ったら作品中で自由にご利用ください(笑)
ザンパンマンの創造者は誰か?
この部分は、石ノ森章太郎を彷彿とさせる設定にしてみます。悪の秘密結社が大学教授を誘拐し、悪の改造人間やサイボーグを生みすというありがちな設定です。教授は無責任にもその悪の技術を悪の秘密結社に残して逃走する準備として、密かに善の改造人間やサイボーグを作り、それらを連れて悪の秘密結社から脱出します。このお約束の展開に一工夫加え、教授自身が逃走後に『善』『悪』『ボケ』の三重人格に苦しむという設定にしてみてはどうでしょうか?
ザンパンマン
ある日、ケンタくんは公園でひとりおにぎりを楽しんでいましたが、食べきれずに、その残りを捨てるためにゴミ箱へ向かうと、突如、空から輝く光と共に風が吹き荒れ、奇妙な光景が展開しました。
そこに現れたのは、一見してヒーローか悪役か微妙な立ち位置の、ちょっと汚れた外見のザンパンマン! 見るも無残な残飯スーツに残飯マントを身に纏い『残飯~ち!』という奇声を上げながらケンタくんを行き成り殴りつけてから『食べ物を粗末にするなんて許せないぞ!』とドヤ顔で言いました。そのドヤ顔と暴行にケンタくんは怒り心頭で『なんで突然殴るんだよ、この残飯野郎!』と文句を言いました。
ケンタくんの反撃に圧倒されたザンパンマンは、ちょっぴり後悔しながら、『えっと、その…急に残飯~ちしちゃってゴメン。これがボクのスタイルなんだ。でも、もう行かなきゃ』と言い訳してから、次のミッションへと飛び立ちました。
翌日、ケンタくんが再び公園で友達とおにぎりタイムを楽しんでいると、今度は不吉な雲と共にザンパンマンが登場しました。しかも、今回は新たな仲間の『ザンパンレンジャー』を引き連れての殴り込みでした。彼らは各々が異なる残飯マスクをかぶり、色とりどりの残飯マントを翻しながら、『ザンパンレンジャー、集合!』と叫びました。
この不気味な残飯集団に、ケンタくんの友達は呆れながらも『何だよ? そのザンパンレンジャーって?』と爆笑しました。
その場は一転して、ザンパンマン主催のフードロス・クイズ大会になり、奇想天外なクイズに、子供たちは夢中になりました。
クイズに答えるごとに『エコポイント』を獲得するシステムで、ザンパンマンたちもミッションを果たしたと悦に浸ってから、『食べ物を大事にすることが我々の使命だ。分かったか、このクソガキどもめが! ごるぁ!』と恫喝風のメッセージを残し、彼らはまた空へと飛んで行きました。
この一連の出来事を通じて、ケンタくんと友達は、食べ物の大切さを少しだけ実感して、おにぎりを残すことはなくなりました…それはもちろん、ザンパンレンジャーが再び現れることへのちょっとした恐怖感からでした。
つづく…