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国際社会とAI:倫理と法規制の課題と解決策(2)

 日本国内では、いまだにChatGPTが『生成AI』の主要テーマとして議論が進められています。欧米の報道でも『ChatGPTをはじめとした生成AI』といった表現が使われることはありますが、これは各国の政治家や、一般市民の生成AIに対する理解不足も影響しています。

 一部のマスメディアでは視聴者や読者に分かりやすいように、ChatGPTを生成AIの一例として取り上げているケースもありますが、明らかに生成AIが何かもわからずに特集記事や番組制作をしていることの方が多いでしょう。

 日本のAI政策の方向性が的外れなものにしてしまった最大の元凶は、このブログで何度も取り上げている松尾豊教授が、(1) 理事長をしているJDLA(日本ディープラーニング協会)、(2) 座長をしている内閣府のAI戦略会議、(3) ChatGPT利権問題であるということは、以下の記事を読むと分かりやすいと思います。

 松尾豊が理事長をしているJDLAの定款の事業目的は以下の通りで、実際にこれらの事業活動をしています。JDLAが実施しているG検定やE資格は、システム開発者やプログラマーの実務でそれほど役に立つものではありませんが、就職活動などを行う際などに最低限の知識を有している可能性があるという目安程度にはなります。

 目安程度にしかならない原因は、検定や資格の設題の質の問題もありますが、美大や音大を優秀な成績で卒業できたからと言って、必ずしも画家や彫刻家や演奏者や指揮者として通用しないのと同じ現象です。学問として知っていることと、ビジネスで活かせる技術や技能や才能とは、ほとんど関係がありません。

 Microsoftのビル・ゲイツ、Appleのスティーブ・ジョブズ、Facebook(META)のマーク・ザッカーバーグ、Oracleのラリー・エリソン、Instagramのケビン・シストロム、Twitterのジャック・ドーシーなど、ICT関連ビジネスで世界的に成功している人物の大半は、コンピュータの資格どころか、大学すら卒業していないのが現実です。

 G検定やE資格の類は、コンピュータやAIの何から学習を始めたら良いかといった基礎的なことすら理解できていない人が、何から覚えたら良いかの目安としては有益かも知れない程度のものに過ぎません。

一般社団法人日本ディープラーニング協会 定款
 
(目的及び事業)
第2条 当法人は、深層学習(以下「ディープラーニング」という)技術の活用によって日本の産業競争力の向上を目指すため、次の事業を行なう。
(1)ディープラーニング資格制度の創設及び検定試験の実施
(2)ディープラーニングに関する政策提言
(3)シンポジウム、研究会、講演会、講習会、講座、セミナー等の企画、開催、
運営などの教育・普及・啓蒙活動
(4)国内外の関連諸団体等との活動に関する情報交換や連携・協力のための活動
(5)ディープラーニングに関する調査研究及び情報発信
(6)ディープラーニング活用に関するガイドラインの策定
(7)その他、当法人の目的を達成するために必要な事業

一般社団法人日本ディープラーニング協会 定款

 JDLAの定款目的事項に『(2)ディープラーニングに関する政策提言』と、『(6)ディープラーニング活用に関するガイドラインの策定』があり、彼らの作成した政策提言やガイドラインを参考にしている日本政府機関、地方自治体、学校、企業、弁護士事務所、会計士事務所、コンサルティング事務所などは非常に多いです。

 然しながら、JDLAによるディープラーニングの定義がChatGPT利権によって曲解されているため、士業や団体や個人やマスメディアの大半が、ディープラーニング技術を誤解したまま、間違った方向に議論や政策が進んでおり、このことが日本のAIイノベーションの妨げとなっている最大の原因であると言えるでしょう。 

JDLAが、『生成AIの利用ガイドライン』を公開
2023-05-01
『生成AIの利用ガイドライン』の作成にあたって(JDLA理事長 松尾豊より)
 
ChatGPTなどの生成AIが急速に普及しています。個人にとっては大変便利であり、多くの人が活用をするようになってきました。同時に、さまざまな組織で生成AIの試行的な利用が始まっています。業務の生産性を上げる効果が期待されており、こうした新しい技術を積極的に使っていくことは既存事業での活用、新規事業の探索を考える上でも、大変重要です。今後、ますます多くの組織で活用が進んでいくものと考えられます。

© Copyright 2023 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】

  2023年4月の時点でChatGPTブームは終わっていますが、mixiやTwitterが専門分野の松尾豊は、ブームの尻馬に乗ることしかできないので、松尾豊がChatGPTと言い出した時点で、ChatGPTはブームは終わり始めていたのでしょう。

 投資の世界では1929年のウォール街大暴落の前に、ジョセフ・ケネディーが靴磨きの少年から株のアドバイスを受けたことをきっかけに、ケネディーは市場が過熱していると確信し、自身の株を全て売却し大暴落の被害を受けなかった有名な話があります。AI界における靴磨き少年の松尾豊が、ChatGPTで大騒ぎしているだけで、ChatGPT(OpenAI)は大暴落の兆候と言えるでしょう。そもそも、OpenAIは一度も利益を出していないけど…。

AI戦略会議 第4回
日時:令和5年8月4日(金)12:50~13:30

1.広島AIプロセスの今後の進め方
2.AI開発力の強化
 
AI に関する暫定的な論点整理
(要旨)
※本論点整理は、最近の技術の急激な変化や広島 AI プロセスを踏まえ
て、AI 戦略会議構成員が AI 関連の論点を整理したものである。

AI戦略会議 第4回:内閣府

 松尾豊(あるいは、松尾ぐみの園児たち)が作成した資料は、『AI=ディープラーニング=ChatGPT』のような素人騙しの資料ばかりです。ところが実際には、ディープラーニング技術が活用されているAIの分野やカテゴリーは以下のように非常に多岐にわたり、元々日本が世界でもトップレベルの技術を持っているものばかりです。

 松尾豊の説明は、こういった事実は無視して日本のIT業界には、Google、Amazon、Facebook、Microsoft、ChatGPTのような国際的な成功例が無い原因は、日本のイノベーション能力の問題であることになっていますが、このような説明は部分的には正しくても、本質的には完全に間違っている説明です。

ディープラーニングが活用されている分野

1.画像認識・画像分類:オブジェクト検出、顔認識、医療画像解析など。
2.自然言語処理 (NLP):機械翻訳,文書分類,感情分析,会話型,AI(チャットボット),言語モデルなど。
3.音声認識:スマートスピーカーや音声アシスタントの技術基盤など。
4.動画認識:アクション認識、アノマリ検出など。
5.強化学習:ゲーム類、ロボット制御、最適化処理技術など。
6.生成モデル:GANs(画像生成、アート作成、データ増強)やVAEsなど。
7.推薦システム:動画や音楽の推薦、オンラインショッピングの商品推薦など。
8.医療:薬物発見、疾患診断、医療画像解析など。
9.自動運転車:障害物検出、経路計画、信号認識など。
10.ロボティクス:ロボットの動作学習、センサデータ解析など。
11.金融:信用スコアリング、不正検出、アルゴリズム取引など。
12.不正検出:セキュリティ、クレジットカードの不正使用検出など。
13.農業:病害検出、収穫の最適化など。
14.エネルギー:供給最適化、消費予測など。
15.その他:例を挙げればきりがありませんが、コンピュータが組込まれたデバイスの大半で使われていて、これらは日本が最も得意としている分野の一つです。
 
つづく…




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