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日本政府の強かな生成AI開発戦略とAIガバナンスのミスリーディング

文科省が生成AI開発、仮説や実験立案 技術流出防ぐ
生成AI
2023年7月29日 17:30 [有料会員限定]
 
文部科学省は2024年度から科学研究に特化した生成AI(人工知能)を開発する。実験画像や論文データを学習させて新発見につながる仮説を生成し、より効率的な研究モデルを作る。研究に使う生成AIの基盤モデルを海外製に依存すると重要技術が流出する恐れもあり、国産化で研究開発(R&D)の安全性と国際競争力を高める。

日経電子版

 いまさら何を言っているのかと唖然とした記事です。なぜなら、これまで、創薬やナノマテリアルや軍事研究分野で成果を上げてきた生成AIは幾らでもあるからです。寧ろ、先端技術分野で『科学研究に特化した生成AI』を使っていない分野を探す方が困難です。量子コンピューティング、エネルギー効率化、気候変動、生物多様性の保護、汚染管理などあらゆる分野で、古くから生成AI技術が活用されています。

 例えば、以下のような科学技術特化型生成AIは、それぞれの分野では非常に有名で、その業界にいて知らない研究開発者は、いないはずです。
 
 研究・開発者やAIの専門家でなくても、スパコン富岳の利用方法や、その他のスパコンを活用した研究実績は、一般新聞でも頻繁に記事として取り上げられているので、一般人にとっても常識の範疇と言えるでしょう。 

 日本国外のみならず、海外でもスパコンと生成AIを活用した研究成果は、様々な分野において毎日報道されています。

 創薬分野において生成AIは、新薬の探索と開発に革命をもたらしています。DeepMindのAlphaFoldはタンパク質の3D構造を予測することで、創薬分野における大きな業績を残しています。また、Insilico Medicineは、AIを使用して新しい薬物を設計し、その有効性をテストする手法を開発したことで有名です。

 BenevolentAIは実績よりもスキャンダルの方が有名かも知れませんが、AIを使用して新しい医薬品の候補を探し出す技術を開発しました。同社のAIシステムは、数百万もの科学的なデータを解析し、潜在的な薬物となり得る分子を特定する手法は、新型コロナウイルスの治療薬を見つけるためにも活用されました。副作用がどれほど深刻かは、知らんけど。

 ナノマテリアルの分野では、AIは新たなナノマテリアルの設計と合成を可能にしています。MITの研究者らがマシンラーニングを用いて、異なるナノ粒子がどのように組み合わさるかを予測するモデルを開発したことも有名です。

 他にも、マテリアルズ・インフォマティクスの既存の材料データベースから新しい材料の可能性を見つけ出すことができるAIシステムなども、世界的に知られています。

 このような生成AIに関する常識は、日本の官僚にとっても常識です。それで本稿の主題が『日本政府の強かな生成AI開発戦略』となっている理由は、日本政府はこれらの生成AIの常識が苦手なAIに詳しい松尾豊さんを、AI研究の第一人者と祭り上げておくと、松尾豊さんから日本国のAIの最先端技術が海外に流出する心配がないからです。
 
 発明件数が0で、まともなAI関連論文すら書けず、mixiやTwitterに関する論文を発表してきた松尾豊さんから、AIに関する機密情報が漏れる可能性は極めて低いはずです。技術漏洩したくても、知らないことは漏らしようがないのです。そもそも、機密性の高い研究テーマを、松尾豊さんに相談するまともな研究機関や企業など世界中探してもいないでしょう。


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