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孫氏の白い犬の思考実験

 この思考実験は、イグ・ノーベル賞最有力候補で、年間1,000件発明ができると主張している孫氏と、その飼い犬のナンセンスさを風刺しています。

『イグ・ノーベル賞や』、『シュレーディンガーの猫』や、『白い犬』が分からない方々のために、これらの基礎知識を以下にリンクします。 

思考実験の前提条件

 孫氏が用意したブラックボックスの中には、(1) 豊という名の白い犬、(2)『使途秘匿金』の100億円か200億円の何れからの金額と、(3) AI専用コンピュータを入れます。

 この場合、このブラックボックスの中で起こり得る事象は以下の11通りです。
 
1.N/A
 
2.孫氏が豊の餌を入れ忘れたので、飢えた豊が使途秘匿金を食べつくしてしまい全損する可能性。

3.豊は何をしたら良いのか分からず、だらだらとブラックボックスの中で過ごしている可能性。

4.豊がブラックボックスから逃げ出してYouTuberとして、HIKAKIN(人気ユーチューバー・ヒカキンの正式名称)の飼い犬になっている可能性。

5.豊が200億円では足りず、さらに1兆円を要求し、飼い主を見習って2~3兆円は誤差の範囲だと主張する可能性。
 
6.白い犬一匹だけ入れていたはずなのに、何時の間にやら各省庁から天下ってきて、白い犬が100~200匹に増殖している可能性。

7.イーロン・マスクが買い占めてしまったので、GPUやAIチップが品薄で購入できない可能性。
 
8.生成AI開発の進捗状況を確認したくても、電気代が足りなくて、コンピュータが起動できているかどうかさえ分からない可能性。

9.白い犬が生成AI開発(小学生でもできる無償の生成AIのオープンソースソフトウェアのインストール)に成功し、人類の英知を遥かに超える性能のAIを開発したと主張しても、叡智の定義が存在しないためその主張が真実かどうか確認する手段がない可能性。

10.生成AIがブラックボックスの中で、人類の英知を遥かに超えてしまい、人類では理解できない言語や、ラリッた知識や、不気味な映像や、狂気じみたビープ音が鳴りやまない阿鼻叫喚の状態になっている可能性。

11.ブラックボックスを開ける前に生成AIブームが終わっている可能性。

12.ブラックボックスを開けるのは怖いので誰にも観測されず、永遠に黒歴史として放置され続ける可能性。

 つまり、孫氏がブラックボックスを開けるまで、中で何が起こっているのか、どれだけの価値が生まれているのか、または損失が発生しているのか、何も確認できません。

 何も確認できない思考実験には意味がないため、この思考実験では11の可能性を提示して『クラップスの法則』で解答を導くことを可能にしています。

クラップスの法則とは?

 シューターと呼ばれる実験者は、2つの『ダイス(サイコロ)』を『ロール(振る)』します。この初回の『ロール』を『カムアウトロール』と言います。
 
『カムアウトロール』が7または11だった場合、シューターは勝ちます。もし『カムアウトロール』が、2(スネークアイズ)、3(クラップス)、12(ボックスカーズ)だった場合、シューターは負けます。

 もし、シューターが4、5、6、8、9、10のいずれかをロールした場合、その数字が『PayPayポイント』になります。
 
 シューターが『PayPayポイント』を再度ゲットする前に7をロールした場合、それは『セブンアウト』と呼ばれ、シューターのターンは終了します。
 
 しかし、『クラップスの法則』では、シューターが思考実験に参加し続ける限り永遠に終わらないので、孫氏の白い犬の思考実験では、『カムアウトロール』でダイスを1度だけロールして実験結果を判別します。要するに、2つのダイスの目の合計が2~12の11種類しかないので、11の可能性しか無いのです。
 
『クラップスの法則』が解っていないと、2~12になる確率は全部同じだと勘違いしてしまいがちですが、実際には以下のように7が出る確率が一番高いので、ダイスをロールする必要があります。
 
合計が1:N/A
合計が2:1通り(1+1)
合計が3:2通り(1+2, 2+1)
合計が4:3通り(1+3, 2+2, 3+1)
合計が5:4通り(1+4, 2+3, 3+2, 4+1)
合計が6:5通り(1+5, 2+4, 3+3, 4+2, 5+1)
合計が7:6通り(1+6, 2+5, 3+4, 4+3, 5+2, 6+1)
合計が8:5通り(2+6, 3+5, 4+4, 5+3, 6+2)
合計が9:4通り(3+6, 4+5, 5+4, 6+3)
合計が10:3通り(4+6, 5+5, 6+4)
合計が11:2通り(5+6, 6+5)
合計が12:1通り(6+6)
ノーロール:ロールしたダイスがテーブルから飛び出した場合は、ディーラーの孫氏がブラックボックスにガソリン放火して、証拠隠滅してしまう可能性があるので要注意です。
 
 アインシュタインは量子力学を批判するために、“God does not play dice with the universe”と言ったらしいので、孫氏の白い犬の思考実験では、神の代わりにシューターがダイスをロールして、実験結果を決める占い方式になっています。

 アインシュタインの言葉を英語で引用している理由は、 #神はサイコロを振らない と書いてしまうと、大石英司の小説やそれを原作としたテレビドラマ、竹内元紀のギャグ漫画、ロックバンドの『神はサイコロを振らない』のファンなどが、釣れてしまうリスクがあるからです。 

 この孫氏の白い犬の思考実験は、現実世界の投資やプロジェクト管理、さらには未来予測など、我々が直面する様々な状況の不確実性と理不尽性を表現すると同時に、(1) 何の発明実績もない白い犬と、(2) コンピュータと、(3) 使途秘匿金をブラックボックスに入れると、確実に損をすることが分かりきっているので、思考実験としてすら成り立たないことが証明できます。

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