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人物裏話——一要篇。
山田一要は上条グループ系列の会社社長の息子で、何不自由なく育った為、おっとりとした性格をしている。『もてあまして、わけがわからなくて』では、本当に訳が判らない人物として描かれているが、実は温順しい男の子なのだ。
この話は当時ホームページを見てくれていた女性に、「恐い話」だと云われた。慥かに謂われのない暴力を無言で揮う存在というのは恐ろしいだろう。
彼の話は『もてあまして、わけがわからなくて』
平気な顔をして羽が生えている
一要君、たまには顔見せてよ、と上条加奈子から電話があった。
「どしたの、その頭」「なに、その恰好」
「これ? アキラ君の服、整理しようと思って……」
「着る必要はないんじゃないの」
「なんとなく」
「あんな小柄なひとの服でも、カナちゃんが着るとぶかぶかなんだ」
「ネクタイの結び方が判んないの」
「ああ、それで蝶結びにしてるんだ」
「うん」
「結んであげる」
「……なにすんのー」
「なんとなく…
おぢぎしてまいりましょう
そこそこのアパートの部屋に、こそこそとひとりの男が這入ってきた。別にこそ泥ではない。では、ナニ故こそこそしてるのか。それは同居人、と云うか勝手に居座っている山田一要なる青年が、実にドメスティック・バイオレンスな人間だったからである。
殴る蹴る、ものを投げつける、そこまではまだいい。世間一般の男子より女出入りの激しい彼はどうした訳か、此処の世帯主である男に接吻する癖があったのである。
部屋の主