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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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2021年11月の記事一覧

冷たい自由帳

冷たい自由帳

はぁあ

息を
吹きかけて
作った目の前の
自由帳
歪んだ
滲みのような
白紙に
結局何も
書けない
描けない
やがて
白紙は透明に
透けて見えなくなる
眩しい朝日
自由は
描けない
自由は
描きたい
意思に宿る
なんて
寝起きの人間の
寝ぼけた頭の片隅の
戯言
おはよう
靴紐を結ぶのさえも億劫だ

都合のよい私

都合のよい私

日々なんて言わない

日日と言いたい
続いてないって思い込みたい
寝て起きたら
リセットされていたい
都合のいいことだけ
引き継ぎたい
ひび
ビビビ
あーだこーだ
取捨選択された
暫定今日の私は
36.3℃

なくしものはなんですか?

なくしものはなんですか?

お気に入りのものほど 
無くしてしまうし
汚してしまう
好き過ぎて
好きが過ぎて

入口出口出口入口

入口出口出口入口

トイレットペーパーの逆三角形を
無造作に引っ張って
くるくる
くるくる
左手に巻いて
切り取り線を
親指と人差し指でなぞって 
ぶっと
切り離して
排泄済の
ケツの穴に
押し当てる
わかっているのに
見てしまう
身体を駆け巡って長旅の末に辿り着いた
悲しみの果

島アイランド

島アイランド

アベーにもらった島を
ひょいと摘んで
掌に乗せて
闊歩する
移動式
アイランド
どちらまで?
行けるところまで 
辿り着いたら?
わたしの胃袋へ

刺されてもわからない

刺さないとわからない
刺されてもわからない
刺せ
刺せ
刺すんだ
処女膜をブチ破って
挿入された
半透明の液体は
やがてわたしの身体の一部になるが
結局は何処かへ消えてしまうらしいぶすっと刺しといてなんなのさ