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CHEESE🧀「子どもとの関わり方」研究会

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ただ今開催中の研究会(講座、勉強会)に関連した内容をアップします。ただ今第二期がスタートしました!ご参加頂いた方には、テーマと関連する重要事項もお伝えしています。それは有料エリア…
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#愛着

受け継がれてきた「精神」(第二期:第7回③)

受け継がれてきた「精神」(第二期:第7回③)

1.「心」の「要素」を捉える 特に日常語として「無意識」という言葉を使う場合、それは「意識」という言葉と区別している場合が多く、その限り、心がその2つからなる前提があります。心理学用語として「前意識」が入れば、構成要素は3つとなり、学派や理論が変われば「心」を構成する要素の名前やその数も変わることになります。

 第3回で紹介した「交流分析」も、NP、CP、A、FC、ACという5つの要素で「心」を

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「虐待」の連鎖、「愛着」の継承(第二期:第7回①)

「虐待」の連鎖、「愛着」の継承(第二期:第7回①)

 これまで触れてきた、実際に脳を傷つけ、精神の発達や成長を歪め、人を部分的に殺す虐待やマルトリートメントは(ハラスメントを含めても良いかもしれませんが)、「連鎖」してしまうところにその特徴的で特筆すべき困難さがあります。それが受け継がれてしまう仕組みに迫るのが今回の内容となります。

1.虐待を受けた子は将来、虐待することになるのか? 被虐待児が将来、我が子を虐待するかは、1/3の確率との報告があ

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「愛着障害」と「愛着存在」(第二期:第3回④)

「愛着障害」と「愛着存在」(第二期:第3回④)

 「愛着障害」と言った場合、診断基準である「DSM-5」に記載のある反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害を指します。愛着障害に限らず精神疾患には診断基準があり、診断を行うのは医師ですが、医師でなくとも知ることは重要です。前後して様々な問題や葛藤があるからです。診断はこのプロセスの1つです。

1.「反応性」と「脱抑制」2つの愛着障害「無差別警戒状態」の「反応性愛着(アタッチメント)障害」
 反応性

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愛着の発達や機能~虐待や家族関係との関連~
(第二期:第3回③)

愛着の発達や機能~虐待や家族関係との関連~ (第二期:第3回③)

1.虐待と関連して(②への補足) 被虐待児特有の症状を被虐待児症候群と呼びますが、これは異常な環境における正常な反応で、セリグマンの実験で犬が示した学習性無力感やハーロウの実験でサルが示した反応と同様です。
 また、虐待は連鎖すると言われますが、実験環境で育ったサルも親になり育児をすることに困難を示したそうです。

2.愛着の体験から発揮へ 愛着対象を安全基地とすると、子どもは徐々に探索の範囲を広

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「愛着障害」理解の
前提となる関連事項(第二期:第3回②)

「愛着障害」理解の 前提となる関連事項(第二期:第3回②)

1.いくつかの用語、実験・調査研究 ヒトの新生児は非常に無力で、生後すぐに立ち上がる多くの哺乳類の新生児と同様の段階になるのは、1歳頃と考えられています。この早く生まれる現象を生理的早産、その後の約1年を子宮外胎児期と呼びます。どちらもポルトマンによる用語で、この時期の子どもがいかにデリケートな存在かが分かります。

 子ザルを針金製で哺乳瓶の付いている模型と布で覆った模型のある檻に入れて育てると

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「愛着」とその「障害」(第二期:第3回①)

「愛着」とその「障害」(第二期:第3回①)

1.はじめに第3回は「愛着障害」を扱います。
未だに世間を賑わす「発達障害」に比べてまだまだ知名度は低いように思われますが、虐待やマルトリートメントの結果として現れる状態・傾向、さらに発達障害と同様に大人にとっての「育てにくさ」や当事者にとっての「生きにくさ」の原因として、知る必要があります。

愛着障害を理解するには、関連事項として、心理学的な意味としての「愛着」をはじめとする用語と、研究や実験

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