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#毎週ショートショートnote
お返し断捨離 #毎週ショートショートnote
「まあーありがとうございますー」
玄関からテンションの高い声が聞こえてきた。
「何を返そう」
りんごを持って戻ってきた母親はちっとも嬉しそうじゃない。
「切り干し大根でもあげれば?」
結衣が答えると母親は「ダメよそんなの」と言って「これ、いくら位だと思う?」と聞いてきた。
いつもこうだ。大袈裟に喜んで見せるが、貰った物はそっちのけで何を返そうかばかりに頭を悩ませている。
礼儀のつもり
【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!2/4
では、こちらは毎週ショートショートのゆる募をしている企画の記事でございます。はじめましての方は是非こちらからお読みいただけると幸いです。
一行目で掴む、これはどんな小説でも大事ではないかと思っております。皆様いかがだったでしょうか?
というわけで【ショートショートnote】というカードゲームを使ってお題を決定し、有志でショートショートを書いている企画でございます。たくさんのご投稿ありがとう
アメリカ製保健室 【毎週ショートショートnote】
鎖国をしていた島国にペロンの赤船がやってきて3年。
初めの頃こそ敵対していたが、今では敵国アメリカの軍人たちも浜のキャンプで釣りをしたりとのんびりムードが漂っていた。
いい奴らかもしれない。そう噂が立ち始めた頃一枚のビラが配られた。
様子を見に行った者達が、驚きながら帰ってきた。体を少し調べただけで、悪いところを言い当てられ、薬をもらったというのだ。
保健室には行列ができ、自分はここが悪か
ツノがある東館【毎週ショートショートnote】
全国の小学校の東館西館化が終了した。
入学時の検査でどちらに属するか決められる。
因みにどの学校でもほぼ半々ぐらいになっている。性別は考慮しないのでその年によって多少のばらつきはあるが、学年で区切る事もほとんどないので問題にはなっていない。
検査は感覚器官の感度を測るもので、五感とそれ以外、いわゆる第六感も対象になる。その中で何か一つでも特に敏感なものがあれば東館で学ぶことになる。
鋭いア
トロンボーンの口調 【毎週ショートショートnote】
夫に文句を言っている時、間延びしたような返事をされカチンときた。
「なにその返事!」
「え?」
「今間延びしたような口調で返事したでしょ!」さらに頭にきた。
「え?してないよ」
「したじゃない!ハーーンとかホーーンとかトロンボーンみたいなふざけた口調で!」
「トローンボーンの口調?あ」
「ほらしたでしょ!」
「それ、おなら」
「おなら!?」
「今おならしたら怒られると思ってケツ
台にアニバーサリー 【毎週ショートショートnote】
目覚めると見慣れない場所にいた。
薄暗い廊下を、出口に向けて歩かされた。
外に出ると太陽の眩しさで目をつぶった。
目を開けると目の前には断頭台があった。
「なっなんだよこれ!」
戻ろうとするが無理やり押さえつけられ、台にうつ伏せにさせられた。
「なんだよ!やめろ!」
体を固定され、制服の男が手を下ろし合図した。
「やめろーー!」
シャッ!ギロチンの刃が落ちる音がして意識が飛んだ。
強すぎる数え歌 【毎週ショートショートnote】
アパートってこんなに隣の声が聞こえるもんなんだろうか。
一番奥の部屋に住む女性は多分年上。会うとグイグイ話しかけてくるからちょっと苦手だ。美人っちゃ美人なんだけど。
彼女は仕事から帰ると歌いながら家事をする。変な歌詞ばかりだから多分オリジナルソング。この間うっかり吹き出して以来、あえて窓を開けて大声で歌ってる様な気がしてならない。
初めは驚いたが、最近は(今日はご機嫌だな)などと心で話しかけ
親切な暗殺 【毎週ショートショートnote】
「アナタを暗殺する依頼を受けました。
しかし、人には親切にしなさいが私の母の口癖
最後に望みをひとつ叶えて差し上げましょう」
クソッ汚い仕事ばかりして来たツケか…
今日やっと、死ぬ前にやりたい100の事を書き終えたのにぃー
ハッ!そうだ!
「私の望みは『死ぬ前に叶えたい100の事』を叶える事ですっ!」
「エッ?それってさあ、100個じゃないの?ダメだよ1個だよ」
「ちっがうよ!『死
戦国時代の自動操縦 【毎週ショートショートnote】
「新しいお告げじゃ!」
ある忍者の里では、お告げによって新しい武器の開発が行われていた。
「今度はどんな武器じゃ」
皆が集まる中、奥に座るババ様が口を開いた。
「丸い形をしておる。設計図が見えてきたぞ」
書き留めたものを見て、皆は頭を捻った。
「これはなんじゃ」
「焙烙玉じゃ!新しい焙烙玉じゃ!」
「火薬はいつ入れるのだ?いったいどう使うのじゃ?」
「ババ様のお告げを信じぬのか!全力で
ごはん杖 【毎週ショートショートnote】
「魔法の杖がほしいのー!ハーマイオニーとおんなじ杖が欲しい!」
「ハーマイオニー?」
「そう!ハーマイオニーになるの!」
昨日の夜、ハリポッターの本を読んであげたら娘はすっかり魔法使いの虜になってしまった。本にのめり込んでくれたのは嬉しいんだけど
「今日幼稚園行かない!杖を探しに行く!」
「えーもうバス来ちゃうよー」
探しに行くって言ったって、ちょうどいい枝が落ちてるわけでもないし、困
忍者ラブレター 【毎週ショートショートnote】
午後の授業は眠気との戦いだ。いくら隣に片想い中の石田君がいても緊張感はゼロになる。
ん?このハート型に折った手紙は優香だな。大した事は書いてないけど、眠気覚ましにはなる。よし返事は、昨日覚えた忍者折りの初お披露目といこう。
最後に頭巾で口元を隠すのがポイント。ちょっと止めにくいんだけどね。
ここを開けたら、んふふ「石田君だーいすきchu❤️」よしオッケー
「次、川辺さん読んで」
ゲッ!!
数学ダージリン 【毎週ショートショートnote】
「数学ダージリン?」
咲が聞き返した。
「違う違う、数学ダーリンよ真美の彼が数学オタクなんだって」
へーと返事をして笑顔で頷きながら、なぜか『数学ダージリン』という言葉が気になり、頭の中で何度もその言葉を繰り返していた。
彼女と別れ歩いていると『数学ダージリン』と書いてある看板が目に入った。
こんなお店あったっけ。よく見ると占いと書いてある。
恐る恐る扉を開けると「どうぞお座りください
スベリ高等学校 【毎週ショートショートnote】
入学式の日、隣のやつが話しかけてきた
「この高校の別名知ってる?スベリ高等学校って言うらしいぞ」
「へー頭悪そうなやつ多そうだしな」
「ちがうってやばいんだよ。お前部活は?」
決めてないと言うと、絶対ワンダーフォーゲル部がいいと押し切られ、なんとなくそうした。
冬になり校門へ続く坂道はカチコチに凍った。
「な!ワンゲル部がよかっただろ」
「お、おーなんとか登れるな」クライミングで鍛え
秋の空時計 【毎週ショートショートnote】
「ママー今日学校休んだ方がいいみたい」
母親はナオの腕につけた秋の空時計を覗き込み
「あら本当だじゃあ今日は海でも見に行こうか」そう言ってウキウキと準備を始めた。
不登校や自殺者、精神的理由で休職する人が増え、政府の苦肉の策で導入されたのが秋の空時計だった。
目に見えないストレスを見えるようにしたもので、それは季節によって表される。心の状態は変わりやすい事を示す為、秋の空時計と名付けられた。