マガジンのカバー画像

アイリスの深淵~科学と魔法の謎

13
魔法と科学の謎に迫るという、SFファンタジー小説を投稿します。 全3話構成になる長編になります。 第1話 魔法学校ギャラクシア 第2話 粒子爆弾と幻の数 第3話 魔界の旅 …
運営しているクリエイター

記事一覧

13章 さようならギャラクシア(第1話 完)

13章 さようならギャラクシア(第1話 完)

魔法遺伝子の開発者

雲に散りばめられた星々は、自我があるかのように動き回り、そして数多の星で描かれた巨大な絵になった。

それは、端正な顔立ちの男性の肖像画である。

魔法写実画にいた、シェフの息子。

長老、という呼ばれ方には相応しくない、若々しい頃の男性が、空を見上げて瞬きをしていた。

男性は口を動かし、不思議な声を発した。

『辺鄙な場所へ、神秘な場所へ、空に1番近い場所へ、ようこそ』

もっとみる
12章 別宇宙の階段

12章 別宇宙の階段


料理当番

フランチェスカ、エリカ、マリアは、大食堂を歩いていた。

みな食事をしている中で、3人は真っ直ぐに厨房へ向かう。

厨房からは、あくせくしながら料理を運ぶ、白衣とコック帽姿のラベンダーが出てきた。

ラベンダーは、3人の姿を見つけると言った。

「あら、フランチェスカ研究長。
何かご用なら後にしてください!
シェフがいなくなったから大変なんです
用務員に料理人に、、、!
学園が開校し

もっとみる
11章 粒子の不思議

11章 粒子の不思議


曖昧を確実に

「全治1月くらいでしょうか。」
フランチェスカは、優しげな目元を憂わせて、包帯ずくめのエリカを見た。

ここは医務室のベッド。
医務室と言っても、宮殿の一室のような様相をしていた。

窓からは西日が射し込んでおり、
先ほどの大騒動など無かったかのような、穏やかな夕暮れ時である。

マリアが、看護師のように包帯を変えてくれる。
軍服姿であるが、白い海軍の制服の為か、本当に看護師のよ

もっとみる
10章 魔界の扉

10章 魔界の扉


謎の囚人
エリカは、ギャラクシアの園庭で勉強していた。
潜入捜査の任務を兼ね備えている為、部屋に籠ることを許されなかったのだ。

そこは、雲の上に、実の成る木が生え、おしゃれなベンチやテーブルがある、楽園のような場所であった。

そこで、生徒たちは、勉強をしたり、休憩をしていたりしている。

ハープの音がどこからか聞こえてきて、心地よい風が顔に当った。

しかし、エリカの顔は暗かった。

三回生

もっとみる
9章 幻の数

9章 幻の数

シェフの生きた時代

エリカは、大食堂で1人食事を摂っていた。

厨房シェフがいなくなったのに、料理が運ばれてくるのは当番制になったからである。

試験期間が開けたこの夜はいつになく賑やかで、特に厨房シェフの話はちらほら聞こえてきた。

「厨房シェフが消えたって本当?」
「ここに縛りつけられた呪いが解けたみたいだよ。」

それに混じり、雑学の話も成されていた。

「縛りつけられているとか、地縛霊み

もっとみる
8章 厨房シェフの呪い

8章 厨房シェフの呪い


恐怖の会食その夜、
大食堂では、エリカとマリアが共に食事していた。

「長老は、図書館の閲覧禁止区域にいるのではないでしょうか。」
エリカが言うと、マリアは尋ねた。
「なぜでしょうか?何か根拠があるのでしょうか。」

マリアの微笑が嘲笑に見えたエリカは、慌てて答えた。
「特に、根拠はないですよ?
禁止領域に繋がっていたのです、、、!
足を踏み入れてはいけないなんて、隠蔽の巣窟です。
仮説ですよ!

もっとみる
7章 魔力と意識エネルギー

7章 魔力と意識エネルギー




薄暗い廊下では、いくつかのランプの明かりが移動する様子と、人影があり、
ゆっくりと静かになっていきそうな消灯前の雰囲気にあった。

そんな微妙に人気のある廊下で、2名の生徒がひそひそと話していた。

「ちょっと目立ちすぎたんじゃないかしら。」
気弱にそう言ったのは、涙ほくろのある女の子、ジャスミンであった。

「おかげで、用務員の顔と名前が割れたからいいんだ。」
そう言い聞かせるように言っ

もっとみる
6章 魔人の怒り

6章 魔人の怒り

魔人とは

ギャラクシアの大食堂は、バラ窓から注ぎ込む射光による、微妙な明るさの下で、それなりに賑わいを見せていた。

マリア・ルイスは、
食事の入ったトレーを持って、空きテーブルに座った。
1人で無表情に黙々と食べ始める。

エリカはそんなマリアを見かけると、
彼女の元へ行き、意を決して声をかけた。
「ルイスさんお疲れ様です!」
元気に挨拶をするエリカ。

マリアがそれに気づき、微笑で返した。

もっとみる
5章 魔法物理学

5章 魔法物理学

4次元空間

快晴の空に浮かぶ雲たちの中に、一際大きな雲が浮かんでいた。

それは聖ギャラクシア帝国学園を乗せて浮遊する雲である。

学園の講堂では、生徒達が座り、落ち着きのない様子で話をしていた。

「皇族の方々に魔力がまだ残っていたんだね、、、。」
「本当に、魔法を学ぶの?」
「魔法じゃないよ、魔法物理学!」
「魔法と魔法物理学の何が違うのよ!」
「魔法物理学は、原理を学ぶけど、実践するのが魔

もっとみる
4章 同盟と編入

4章 同盟と編入


研究長フランチェスカ・フランソワー

魔法により支配されるメイデン帝国。
そこから死領域を越えた先、明白地帯にある公国は、科学の最高峰であった。

高層の建物が立ち並び、空に浮かぶデジタル映像、高層階を繋ぐ遊歩道。

その中で一際目立つ建物があった。

物理学の最高峰、エメラルド学園。
学生に教授し、学者は高度な研究を行う 高等機関。
1000年以上も続く長い歴史を持つとされているが、
現代的で

もっとみる
3章  魔法遺伝子                  ~第1話魔法学校ギャラクシア~アイリスの深淵より~

3章 魔法遺伝子 ~第1話魔法学校ギャラクシア~アイリスの深淵より~



皇族メイデン・ギャラクシア

快晴の空に、綺羅びやかに聳え立つ巨大な城があった。
お伽噺の絵本から飛び出てきたかのような美しいその景色は、正に帝国メイデンのもの。

城下の賑やかな市場では、果物やパンが屋台で売り出され、絹の羽衣職人や、蛇使いなど、様々な娯楽や売買が成されていた 。

そのような活気溢れる雰囲気の中、1人の少年が、ただ事ではない様子で人々を押し退けながら走っている。

「皇帝陛

もっとみる
2章 魔法の国   ~第1話 魔法学校ギャラクシア~アイリスの深淵より~

2章 魔法の国 ~第1話 魔法学校ギャラクシア~アイリスの深淵より~



魔法の支配

壮大な城を背景に、活気溢れる町。

そこに、皇帝を乗せた馬車が向かっていた。

そうとは知らぬ町人は、果物屋の前で値段交渉したり、踊り子に投げ銭をしたり、鍛冶屋で刃の品定めをしたり、それぞれの日常を送っていた。

その中で、不穏な様子で人々を押し退けながら走る男がいた。
腕に、年端もいかぬ子どもを抱いている。
ぐったりと項垂れており、重症患者のようだ。
その男は、その子の父親だっ

もっとみる

1章 プロローグ ~第1話魔法学校ギャラクシア ~アイリスの深淵より~

あらすじ

人間は、科学の延長線上に魔法を創造した。
やがて、魔法を独占する者が現れ、人々は支配下に置かれた。
しかし、魔法は方法論しか解明されていない未知の領域だった。
様々な人物が、それぞれの思いを胸に、その謎に迫る。。。

【目次】

【第1話完】

魔法史

かつて、人間は科学の延長線上に魔法を創造した。
便利で魅力的な魔法はみなが利用し、一時は恵みと平和をもたらしていた。

しかし、愚か

もっとみる