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数の迷宮を彷徨う -宮島達男[Life Face on Gold]@AkioNagasawaGalleryGinza

 アーティスト宮島達男作品といえば、忘れえない直島の「家プロジェクト」。デジタルカウンターが時を刻み続ける、静寂の世界。

 銀座で、一味違った宮島作品の展示が行われていると知り、足を運んだ。

 実は、行ってみた日は残念ながらタイミングが合わず、

 日を改めて再び。


 訊ねた時間にはほかの鑑賞者はおらず、撮影OKとのことだったので、ゆっくりと鑑賞し、撮影し、という贅沢な時間を過ごさせていただいた。

「動かない」宮島作品

 Life Face on Gold@ Akio Nagasawa Gallery Ginza(-12/23)

「Life Face on Gold」と題された本展は、金箔にエンボスが施されたペインティング作品を中心に、パフォーマンスの痕跡としてのドローイング作品等を展覧致します。一般に宮島作品といえば、明滅するデジタルカウンターを用いたオブジェを思い起こされる方が多いかと思いますが、近年ではそれらとともに、制作過程の行為を作品の要素として色濃く含んだペインティングやドローイングも精力的に制作しております。

Life Face on Gold 宮島達男 より抜粋

宮島の作品は「それは変わりつづける」、「それはあらゆるものと関係を結ぶ」、「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づいたデジタルカウンター(L.E.D.)に代表され、それぞれの数字が異なる速度で明滅し、0(ゼロ)を示さないことによって、時間や人間のライフサイクルの連続性、永遠性、関係性を示唆する。

Life Face on Gold 宮島達男 より抜粋

 動的なイメージのある作家の、動かない作品。でもこれだけの数が並んでいると、もしかして動いているのではないかと思えたり、動いているものとして捉えている自分がいて可笑しい。

静止した作品から感じる「動」

 立体作品になると特にその感覚が顕著になった。数たちを目で追っていると、自分が縮小してこのビーズの間を駆け抜けるような気分になる。

 この作品は、ガラスへの映り込みによって、まるで鏡を撮影したかのようになってしまったけれど、

 これはたぶん作家の意図しないところで、映り込みを含めた作品になっていると感じたり……。


 こんなふうに隠された数も含めて、

 作品から数字があふれ出し、空間がどんどん満たされていくような、ふしぎな感覚に囚われた。


ホワイトキューブ×宮島作品

 数字をLEDで表示させるという特性から、宮島作品といえば、いつも暗闇の中で鑑賞する。闇の中で初めて観た、かつての原美術館の「時の連鎖」の衝撃は、ずいぶんと過去のことなのにまだ記憶に新しい。


 明るく光が白壁を巡り巡るホワイトキューブのなかの宮島作品。たしかに、暗闇と白壁、動きと静止、と、今回は通常のイメージとは対になる。

 でも、数に圧倒され、数という連想から、変化、死と再生、永遠、といったものに心を誘導してしまう強さは、変わらなかった。



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