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ギャラリー,イベントで出逢った作品

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偶然の出逢いも含めた、ギャラリーやイベントで出逢った作品たちを紹介した記事をまとめたマガジンです。
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記事一覧

5/12まで【写真】Playground Becomes Dark Slowly@日比谷公園

 「日比谷公園で、粋なアートイベントが開催中」アート好きの友人からメッセージが入り、某日の夕刻、訪れてみた。  ほんとうに粋な、心が動くイベントだった。その記録を手短に写真で。 某日、夕刻、日比谷公園  銀座方面から、日比谷公園へ。  公園入口すぐに、地図による作品案内がある。 「はなの灯籠」永山祐子(土曜日開催)  まず、地図「C」の作品へ。土曜日のみ開催のため、ただ池を観るだけになったけれど、  水面に花々が浮かぶようすを思い浮かべる。 「余白史」細井美裕

ループの結び目,代入-グエン・チン・ティ《47日間、音のない》@森美術館

 森美術館で開催中の「MAMコレクション018:グエン・チン・ティ」(-9/1)。  4月27日にアーティストトークに参加して、しかしそのままになっていた。  トークはとても興味深く、コンセプトのようなものは、なんとなくつかめた気はする。しかし作品空間に入り込むと、その中に深く沈んでしまって、なかなか言葉にならないし、すっきりしない。  それほどに、魅力的で、ふしぎな作品だ。最近になって再訪し、4回ほど連続で作品を鑑賞した。 30分、2スクリーンの映像作品  まず作

ラ・フォル・ジュルネ最終日 -歌姫たちの歌声

 「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、最終日。 「キオスクステージ」4公演を愉しむ  この日も、前売りを買っていた公演は夜。それまでの時間、気になっていたホールEの無料公演、「キオスクステージ」をちゃんと聴いてみようと思った。  有料公演チケットか、半券があれば入れるエリアに下って、  このように満席なので、とりあえずは立ちながら聴いて、  公演どうしの間は1時間以上あったので、空いた最前列の席で、読書をして過ごした。方々のブースから美しい楽器演奏が

ラ・フォル・ジュルネ初日 -熱狂の祭典,音の表情

「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、その初日。 ピアノバーの衝撃 生音が聴きたくて  このイベントのことは、友人から聞いて知った。きっかけは、赤坂のピアノバーだ。  あるきっかけで、グランドピアノが置いてあり、客が自由に弾くことのでできるピアノバーで仲間たちと夜を過ごした。わたしは楽器は全くできないのだけど、耳コピで何でも弾ける才を持つ人と、クラシックピアノに優れた2人のピアニストが交互に演奏し…ピアノの目の前のカウンターで聴いていたわたしは、生音の魅力

【写真】BIG CAT BANG@GINZA SIX

 大型連休某日、銀座。  GINZA SIX。  その中央吹き抜けに…  彼らはいる。 「岡本太郎の創作遺伝子」  説明にもある、大阪万博→岡本太郎「太陽の塔」、の連想は、初見であってもわかりやすい。  「創作遺伝子」、については、写真を撮っていて、納得できることがいくつか見えてきた。  この猫さんたち、  「かわいい」と一言ではいえない、ちょっと禍々しい?(否、神々しい?)パワーもある。  ここに来る前に見かけた、岡本太郎の立体作品を思い起こす。 さまざ

深い森と神話と -北欧の神秘-@SOMPO美術館

 西新宿。  北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画(-6/9 @SOMPO美術館)  出迎えてくれるのは、展示作品のひとつ《イルマタル》の タペストリー。本作を含め、「序章 神秘の源泉」「1章自然の力」「3章 都市」は撮影不可。 「序章 神秘の源泉」「1章自然の力」は、写実的な北欧の厳しい自然や、深い森の中の妖精を描く作品が並んでいた。  作品に近づくと、例えば森の中にそよぐ風や鳥の声というように、ささやかな音が聞こえてくる。絵の中に入り込んだよ

光を描いて -Michiko Van de Velde@東京アートアンティーク

 東京アートアンティーク(4/25-27)。敷居の高い日本橋界隈の画廊が、この3日間だけ、フレンドリーに門戸を開くとても貴重な3日間。  都内在住ならばぜひ行ったほうがいいと、アートの師匠と仰ぐ方から強烈にリコメンドされて、その只ならぬ雰囲気に、友人を誘って行ってみたら  本当に、こんな面白いものはない、というくらいの経験をした。  通常、「どこか見覚えがある」は、その流れをくんだ作家の作であることが多いはずなのだけど、  無造作に壁にかけられた掛け軸にどこか見覚えが

繁田直美 展 -[不在のしるしとしての影]-絵を買う,再び

 4月某日、都内。  日暮里駅を出て、  谷中霊園を通り抜け、  古民家カフェを眺めながら、  その画廊へ。 繁田直美展  足を運んだのは全部で3回だ。まず、アートを愛する仲間たちと、2度目と3度目は、ひとりで。  ウェブサイトで作品を観たとき、作風に惹かれ、ぜひ鑑賞したいと思った。油彩、アクリルと画材はさまざまながら、その抽象画にはふしぎな奥行きがある。とても惹かれるのだが、たとえば画面越しであっても、作品を観ていると、何か(自分を)覗き込んでいるような気分に

意味を纏った後に見えるもの -山本雄教(グループ展「ART NOW→FUTURE」)

 某日、銀座シックス。  蔦屋書店 銀座の展覧会で、面白い経験をした。 グループ展「ART NOW→FUTURE」(-3/6)  アーティスト・山本雄教の作品。 遠目からは、ピクセルのようだが  ドットで描かれているような、これらの絵は  近づいてみると、敷き詰めた1円玉の上を、なぞって描いたものだ。  子どものころ、そんな遊びをしたかもしれない、と、まずは、なつかしさを覚える。 既視感のある有名作品のシルエット  こんなふうに、  ああ、どこかで見

身体性,関係性とSoh Souen(ソー・ソウエン) -既に終了した2つの展示から

 昨年末と1月に、Soh Souen(ソー・ソウエン)の作品を観た。 「Let us see what you see.」(-2/17)  個展「Let us see what you see.」(-2/17)@銀座 蔦屋書店    展示室に、均等に展示された大きなポートレート。  網がかかったような、または欠けたようにも見えるが、  近づいてみれば、絵を構成しているのはピクセルだ。  貼り絵のようにも見える。  ぼやけたように見えるポートレートのピクセルは、その

群衆,遠吠え -Yu Seto「HOWL」@銀座 蔦屋書店(-2/16)

 遠吠えするオオカミ。  親とおぼしき1頭と、  おそらくは子供たち?  Yu Seto「HOWL」@銀座 蔦屋書店(-2/16)彫刻家・瀬戸優の新作4点。  その等身大の野生動物の姿はリアルで、テラコッタで創造されたものだとわかりながらも、あたたかな血が通い、息づかいが聞こえてくるかのように、感じられてしまう。  遠吠えとは、コミュニケーション。  展示作品の周囲には、こんなふうにカフェに集う人たちがいて、彼らの多くは、スマホやPCの液晶を見ている。  彼ら

開発の再開発 vol.4松平莉奈|3つの絵手本・10歳の欲

 gallery αM@武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス2階。市ヶ谷駅すぐ。  「αMプロジェクト2023-2024 開発の再開発」開催中。  無印良品の入った1階から、階段でギャラリーへ。  開発の再開発 vol.4 松平莉奈|3つの絵手本・10歳の欲(-3/6)  日本画?を思わせる、静けさを感じる画風。  尋常小学図画を挟み込みながら。  不思議な動きと、気になる一瞬を切り取ったような。  リズムを持って展示された作品たちを何度か鑑賞し、最後に作家のメッセージ

手縫いの人形,想い -約5500個の[つるし雛]@京王プラザホテル

 干支の動物たち。  犬 猿 雉  と、くれば桃太郎? とか  かわいらしい、手作りっぽい人形たち。 ホテル空間×つるし雛  これらは何かといえば  つるし雛@京王プラザホテル(新宿)。 素朴さに籠る想い  中央エントランスのほか、ホテルのいろいろな場所に、展示されている。  モチーフは、さきほどの、干支や動物たちのほか、  このように、とてもリアルな花々も。  雛祭り、のイメージからすると、あまりにもさまざまなモチーフにあふれていて、自由さを感じる

エネルギー,脱皮 -宮本果林 作陶展 [con anima]@銀座 蔦屋書店

 銀座 蔦屋書店で出会った、笠間焼の動物たち。  目を引かれるのは、まるで亀裂のような、その表面だ。 陶の動物に感じる生命、躍動感  彼らのポーズと相まって、非常に大きなエネルギーを内部に得た犀と牡牛が、自らの皮を破り、大きく成長していくような躍動を感じる。  どのように制作されたものなのか? 興味が抑えられなくなってくる。 “心、魂を込めて、生き生きと”  作家による、ステートメント。  “裂文”という手法は、はじめて知った。  最後のところで作家は手を放し