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光の予感, 音を観る-[GOMA ひかりの世界]@GYRE

 某日、原宿。

 「GOMA ひかりの世界」(-6/29)



「ひかりの世界」

 展覧会のタイトルどおり、作品には

 光が広がっていた。


生と死の境界にある「ひかり」

 その源泉は、作家のプロフィールにある。

生命の源への洞察

交通事故後に絵画の才能を開花させたGOMAの作品は、後遺症による特異な体験から生まれた、生と死の境界にある「ひかり」を捉えたものです。彼の絵は、見えない世界を可視化し、観る者を内省へと誘います。本展覧会では、GOMAが新たに創造した絵画、音楽を通じて、人間が共有する普遍的な「ひかり」生命の源への洞察を展開します。

同上

 会場で配布されていたパンフレットには、作家が楊枝のような細く尖った道具を用いて一筆一筆、作品を制作している静かな写真が載っていた。

アートへの旅立ち

ディジュリドゥ奏者として名を馳せていたGOMAが絵を描き始めたのは2009年、交通事故に遭ってから2日後のことでした。それまで絵を描いたことはほとんどなかったのに、一日の大半を制作に費やすほど熱中します。同時に高次脳機能障害や記憶喪失などの後遺症にも悩まされるようになりました。後にGOMAは脳に損傷を受けたことで特別な才能を発揮するようになる「後天性サヴァン症候群」と診断されます。

同上



映像作品に没入する

 紹介文にもあるように、会場は「音」に満ちている(ウェブサイト内で聴くことができ、これを書きながら、今も聴いている)。音も作品だから、カメラのシャッター音も憚られる。

 会場は4エリアに分かれ、2つ目の会場は撮影不可。その壁には、描いた絵のの上にカラーストーンを敷き詰めた作品が展示され、中央には椅子があって、映像を鑑賞できるようになっていた。

変わる世界 変わらないひかり

交通事故後に見た光景を基に描かれた作品を通して、変化し続ける日常の中でも変わらない「ひかり」の存在とその意味を見つめなおしています。GOMAが体験した内面のひかりと、外界のひかりとの関わり、そしてその「ひかり」が私たちにとってどのような意味を持つのか、彼の作品は、見る人それぞれに異なる「ひかり」の解釈を促し、内省と発見の旅へと誘います。

同上

 映像には没入感があった。画面のなかに奥行きが生まれ、その中に心身がのめりこんでいくような感覚にとらわれた。

 会場には何人もの人がいたけれど、その展示室はわたしだけだった。次の人が入ってくるまで、スクリーン前の椅子にかけて、映像に浸った。

「だれもが辿り着く」

 グッズの展示された空間を通り、最後の展示室へ。ここには白い世界だけでなく、光の残像のような、カラフルな作品が展示されていた。

 懐かしいような、どこかで観たような。光の世界が続いている。その先は「だれもが辿り着く」場所。

 何周も何周もすれば、その懐かしい何かを、もっと思い出せる気がした。




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