Abbey -旅するように暮らす、暮らすように旅する-

美術展訪問記,アートや旅の写真を投稿しています。 https://www.instag…

Abbey -旅するように暮らす、暮らすように旅する-

美術展訪問記,アートや旅の写真を投稿しています。 https://www.instagram.com/y.abbey_shintoshin/ https://www.amazon.co.jp/stores/author/B0BDBZ3F2S

マガジン

記事一覧

【写真】蓮、不忍池

 @上野、不忍池。蓮の花が見ごろ。 早起きの理由  7月の某日、始発に乗って訪れてみた。  不忍通りから、池に向かって歩けば、  こんな風景が。  4月上旬に友人…

直島 地中美術館,水面,モネ,そして鍵岡リグレ アンヌ -[Undersurface]鍵岡リグレ アンヌ@MAKI Gallery

 6月某日、天王洲。  この日を待っていた。  鍵岡リグレ アンヌ「Undersurface」(6/22-8/03) アーティゾン美術館での出逢い アーティゾン美術館で展示を観て、強…

長いトンネルの先,記憶の宝箱 -加藤美佳 個展(6/22-7/20)

 加藤美佳展@小山登美夫ギャラリー六本木 18年という時間  展覧会タイトルがない、あるいは作家名がタイトル。  最初の展示室。 時によって紡がれた"木のオブジェ…

自然の美,愛と自己肯定 -風能奈々「このために生まれた」(6/8-6/29)

 よく晴れた、6月某日。  風能奈々「このために生まれた」2024.6.8 [Sat.] - 6.29 [Sat.] アクリル絵の具から生まれる細密な世界  遠目からは、何かきらめいている画…

記憶のなかの夜景 -[ZONE-TOKYO] YUSUKE KITSUKAWA (-7/13)

 6月29日、品川から天王洲。   YUSUKE KITSUKAWA個展「ZONE-TOKYO」初日(-7/13)  作家のKITSUKAWA氏から声をかけていただき、お話することができた。わたしは薄暮…

愛に満ち溢れてる -軽井沢安東美術館

 某日、都内ー軽井沢。日帰り。  都内より高い気温。でも風は爽やかで、気持ちいい。  軽井沢安東美術館へ。  開館を知ってから、ずっと訪れたいと思っていた。 「…

「押す」で生まれる参加意識 -大嶋奈都子[ゴロゴロスタンプ](-7/7)

 某日。北参道から外苑西通り。  一度通り過ぎ、そして気になって戻ってきた。  大嶋奈都子 個展「ゴロゴロスタンプ」(-7/7)  昼どきのせいか、ギャラリー内には…

愛,ときおり困惑 -Hyangmok Baik " You know how much I love you"

 某日、天王洲。  Hyangmok Baik「YOU KNOW HOW MUCH I LOVE YOU」(-7/13) 困惑とユーモアと  展示作品には、ヌードの男性のモチーフが登場する。緊張した面持ちに…

静と動の均衡点 -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]03

「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT  内容、展示数とも盛りだくさんで、今回はその3回目(=最終回)。 A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature A…

機械と身体 -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]02

 「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT 比較形態学 本物の骨と、骨格模型を取り混ぜた展示品たち。  「関節」は、産業ロボットの腕でいえば…

ロボットとデザイン -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]01

 某日、乃木坂~六本木。 「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2 (~9/8) 科学とデザインの間 本展では特に、開催の意図と…

1本の線,色彩 -ロートレック展[時をつかむ線]@SOMPO美術館

 フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線(- 09/23) 第1章 素描、第2章 ロートレックの世界圧倒的な作品数の鉛筆デッサン  エレベーターで5階まで上…

フレームとその内部 -セルバン・イオネスク[Lisi]@NANZUKA 2G

 某日、渋谷。  セルバン・イオネスク「Lisi」(– 7/7)@NANZUKA 2G ポップなフレームに目を奪われて  今回の展示は6作品。  作品は原色の赤、青、黄のフレーム…

持続する線と身体性 -新井 碧 [AVOWAL]@Tokyo International Gallery

 某日。品川から天王洲アイルへ。  AVOWAL(〜6/29)@Tokyo International Gallery 生きてきた身体の記憶 1年の時間を経て  新井碧作品を初めて鑑賞したのは、昨年…

絵本という表現-[アーティストの絵本展]

 アーティストの絵本展~6/30@Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F)  なるほど。絵本作家さんたちの展覧会、ということではなく、アーティストが絵本という「お題」…

[虚構という現実]経由[虚構という現実] -グループ展”BOLMETEUS” (-6/23)

 某日、渋谷のMIYASHITA PARK。  多数のアーティストが参加しており、この展覧会も全体の世界観を味わうものと捉えた。ウエブサイトを出典とし、どんなアーティストが参…

【写真】蓮、不忍池

 @上野、不忍池。蓮の花が見ごろ。 早起きの理由  7月の某日、始発に乗って訪れてみた。  不忍通りから、池に向かって歩けば、  こんな風景が。  4月上旬に友人と散策したとき、池は冬の風景とさほど変わりなく見えた。3カ月でここまでも様子が変わる。時間の流れの速さに愕然とする。  蓮の花は早起きで、明るい陽光は苦手のようだ。朝9時ころには花弁を閉じてしまうというので、この時間に来てみた。  蓮の花咲く池に小舟を浮かべ、蓮の花を摘む、ベトナムを舞台にしたそんな映画

直島 地中美術館,水面,モネ,そして鍵岡リグレ アンヌ -[Undersurface]鍵岡リグレ アンヌ@MAKI Gallery

 6月某日、天王洲。  この日を待っていた。  鍵岡リグレ アンヌ「Undersurface」(6/22-8/03) アーティゾン美術館での出逢い アーティゾン美術館で展示を観て、強烈に印象に残っていた。  アーティゾン~の作家紹介は、下のとおり。  説明文にもあるように、その作品は立体的だ。(もちろん、すべてのアート作品は写真に撮ったときには本来のパワーをはぎ取られてしまうけれど)、写真にはとても写し取れない魅力に満ちていた。  アーティゾンでの展示風景↓ 惹

長いトンネルの先,記憶の宝箱 -加藤美佳 個展(6/22-7/20)

 加藤美佳展@小山登美夫ギャラリー六本木 18年という時間  展覧会タイトルがない、あるいは作家名がタイトル。  最初の展示室。 時によって紡がれた"木のオブジェ"  展示室の中央に、この“木のオブジェ”がある。  作品のディテールを捉えた写真のなかには、また別の世界が広がる。  この展示室は、この木を中心としたインスタレーションなのだろう。 18年という、人ひとりが大人になるくらい長い時間をかけて、できた世界。 「とらしっぽリバー」  奥の展示室に展

自然の美,愛と自己肯定 -風能奈々「このために生まれた」(6/8-6/29)

 よく晴れた、6月某日。  風能奈々「このために生まれた」2024.6.8 [Sat.] - 6.29 [Sat.] アクリル絵の具から生まれる細密な世界  遠目からは、何かきらめいている画面、としか見えないけれど、  近寄れば、その緻密さに息をのむ。  解説にあるように、絵を前にすると、まるで金属のプレートを掘ったかのような、あるいは彫刻であるかのような、はたまた織物なのではないか、といった印象をうける。  読んでもなかなか信じられない。作品たちがアクリル絵の具

記憶のなかの夜景 -[ZONE-TOKYO] YUSUKE KITSUKAWA (-7/13)

 6月29日、品川から天王洲。   YUSUKE KITSUKAWA個展「ZONE-TOKYO」初日(-7/13)  作家のKITSUKAWA氏から声をかけていただき、お話することができた。わたしは薄暮の時間の湾岸の写真を撮ることに熱中していた時期があり、作品を前に自分の経験も蘇ってきた。伺いたいことは山のようにあった。  本稿の前半は個展のようすを、後半は、伺ったお話から蘇ってきた、私的な経験や感想も含めて記していきたい。 東京湾岸、みなとみらいの夜の風景  会場

愛に満ち溢れてる -軽井沢安東美術館

 某日、都内ー軽井沢。日帰り。  都内より高い気温。でも風は爽やかで、気持ちいい。  軽井沢安東美術館へ。  開館を知ってから、ずっと訪れたいと思っていた。 「桃源郷に至るまでの歩み」  少し長くなるが、理事と館長の言葉を公式サイトから引用する。  安東泰志氏は金融の世界で非常に著名な方だった。いつしかお名前を聞かなくなり、美術館開館のニュースを知って、驚愕した。  そして藤田嗣治の、穏やかな絵だけのコレクションだと知った、そのことにも惹かれた。  じつはわた

「押す」で生まれる参加意識 -大嶋奈都子[ゴロゴロスタンプ](-7/7)

 某日。北参道から外苑西通り。  一度通り過ぎ、そして気になって戻ってきた。  大嶋奈都子 個展「ゴロゴロスタンプ」(-7/7)  昼どきのせいか、ギャラリー内にはだれもいなかった。  やがてスタッフの方が出てきて、展示してあるスタンプは自由に押すことができるので楽しんでいってくださいという。  作家さんが手掛けたスタンプ。観ているともちろん、押したくなる。  スタンプラリー開催中。こういうのには弱い。  独創的に押してみたが……  違う、違う。設問をよく読も

愛,ときおり困惑 -Hyangmok Baik " You know how much I love you"

 某日、天王洲。  Hyangmok Baik「YOU KNOW HOW MUCH I LOVE YOU」(-7/13) 困惑とユーモアと  展示作品には、ヌードの男性のモチーフが登場する。緊張した面持ちにも見える「彼」にじっと見つめられて、鑑賞がはじまる。  「彼」(同じ人物なのか、作品ごとに違う人なのかはわからない)は多くの場合、動物とともに描かれる。  困っているような表情と、しかしどこかユーモアを感じさせる色彩や姿かたち、描かれ方が、なんだか気になる。 「

静と動の均衡点 -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]03

「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT  内容、展示数とも盛りだくさんで、今回はその3回目(=最終回)。 A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architects  まずA-POC ABLE ISSEY MIYAKE×Nature Architectsによる、1枚の布からできたブルゾンの制作プロセスを。  つまり、下の写真のマネキンの背後の布が→スチームストレッチ技術によって、マネキンが纏うブルゾンに

機械と身体 -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]02

 「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT 比較形態学 本物の骨と、骨格模型を取り混ぜた展示品たち。  「関節」は、産業ロボットの腕でいえば「軸」にあたる、重要な部分。「関節する」という違和感のある書き方も、たしかに「関節」+「する」のだ、という納得感がある。  自分も一つ持ち、使っていながらも、日ごろ「頭蓋骨」を意識することは、ほぼないけれど、  例えば、こちらの頭蓋骨は本物で  こちらはフェイク。  自由に触れることがで

ロボットとデザイン -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]01

 某日、乃木坂~六本木。 「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2 (~9/8) 科学とデザインの間 本展では特に、開催の意図とディレクターの言葉は重要なので、はじめにそれらを、自分のなかで整理しようとした。  タイトル「未来のかけら」のイメージはできただろうか? と確認してみる。 Cycroplos & tagtype  入口付近に展示された1作品目は、ディレクターの言葉に近づくための一歩となるような作品

1本の線,色彩 -ロートレック展[時をつかむ線]@SOMPO美術館

 フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線(- 09/23) 第1章 素描、第2章 ロートレックの世界圧倒的な作品数の鉛筆デッサン  エレベーターで5階まで上がり、そこから3階までの3フロアが展示室となる。最後に常設のゴッホの「ひまわり」を鑑賞し、2階のショップやカフェへと進むのが動線だ。  5階は、鉛筆デッサンの作品からはじまる。その数が圧倒的だ。ロートレックのポスター絵になじみがあるなら、ワンフロアのほぼ全部がスケッチ、というのに驚くかもしれない。そもそ

フレームとその内部 -セルバン・イオネスク[Lisi]@NANZUKA 2G

 某日、渋谷。  セルバン・イオネスク「Lisi」(– 7/7)@NANZUKA 2G ポップなフレームに目を奪われて  今回の展示は6作品。  作品は原色の赤、青、黄のフレームに入っており、否応にも目を引く。フレームは帽子のようにも山のようにも、建物のようにも見える。 家と、その内部  ところで、描かれている人物?というか存在なのだけど、  目を奪われがちなフレームから視線を外して描かれているそのものを見るならば、そこにはまた別の印象がある。  描かれている

持続する線と身体性 -新井 碧 [AVOWAL]@Tokyo International Gallery

 某日。品川から天王洲アイルへ。  AVOWAL(〜6/29)@Tokyo International Gallery 生きてきた身体の記憶 1年の時間を経て  新井碧作品を初めて鑑賞したのは、昨年6月、銀座の蔦屋書店の個展だ。そのときの展示作品を思い起こしてみれば、展覧会概要のなかの「より身体の機能にフォーカスしたモチーフを描いた新シリーズの作品」という意味合いもわかる。  当時のnoteに、こんなふうに書いた。  1本1本筆跡の追体験に加えて、今回はその筆を繰

絵本という表現-[アーティストの絵本展]

 アーティストの絵本展~6/30@Bunkamura Gallery 8/ (渋谷ヒカリエ8F)  なるほど。絵本作家さんたちの展覧会、ということではなく、アーティストが絵本という「お題」を得て、そのテーマに沿った作品発表(絵)を行う展覧会なのだなと合点した。  気になった作家たちの作品を。 サイトウノリコ 見崎彰広 山中現 呉亜沙 成田朱希 絵本+小作品=展覧会記念セット  会場には、作家たちの絵本が展示&販売されていて、  ドローイングや版画作品付でも

[虚構という現実]経由[虚構という現実] -グループ展”BOLMETEUS” (-6/23)

 某日、渋谷のMIYASHITA PARK。  多数のアーティストが参加しており、この展覧会も全体の世界観を味わうものと捉えた。ウエブサイトを出典とし、どんなアーティストが参加しているのか、そのプロフィールと作品の写真を、まず。 GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE(ギロチンドックスギロチンディ) 横手 太紀(Taiki Yokote) 梅沢 和木(Kazuki Umezawa) Hanna Antonsson(ハンナ・アントンソン) Hyunwoo