Abbey -旅するように暮らす、暮らすように旅する-

美術展訪問記,アートや旅の写真を投稿しています。 https://www.instag…

Abbey -旅するように暮らす、暮らすように旅する-

美術展訪問記,アートや旅の写真を投稿しています。 https://www.instagram.com/y.abbey_shintoshin/ https://www.amazon.co.jp/stores/author/B0BDBZ3F2S

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記事一覧

カラフルな抽象世界の散策 -大城夏紀[project N 94]@東京オペラシティアートギャラリー

 東京オペラシティアートギャラリー。  こんなふうに、廊下に広がる「風景」があった。 風景、その抽象化  風景のように見えるその展示に置かれている作品は……しか…

AI時代,地図の本質 -特別展示[都市−ヱドキリエズ]@IMT(丸の内)

 某日、東京駅丸の内口。  丸の内JPタワー内、インターメディアテク。  その、特別展示へ。 特別展示『都市 − ヱドキリエズ』  照明を落とした空間。 江戸切繪…

都会の[よるべ(寄る辺)] -園田 源二郎 @Brillia Art Award大賞展

 某日、京橋。  ふと、この看板が気になって、  中に入ってみた。  2カ所のギャラリーが並んでいて、向かって左のほうでは歴代受賞アーティストのプロフィールや小…

瞳のなかの世界 -yuta okuda solo exhibition

 某日、六本木ヒルズ。  このウィンドウに惹かれて、六本木ヒルズA/Dギャラリーへ。  作家はTAKEO KIKUCHIでの4年間の勤務を経て、2016年よりアーティストとして活動、…

抽象化された形,その中身 -ススム・カミジョウ個展@MAKI Gallery

 ある休日の午後、@天王洲アイル。  ススム・カミジョウ個展「帰って来たら When You Come Home」(-2024/06/08)@MAKI Gallery(天王洲, 東京) 抽象化で付与される…

Focus on STRETCH PLEATS@21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3 -アートな服,の探究

 某日。その案内を見つけたのは、目的地に向かう駅の出口を間違ったからだ。  2000年に立ち上がったme ISSEY MIYAKE。プリーツプリーズとあわせて、わたしはファンだ。…

深い青色,画面から広がる宇宙 -伊藤咲穂[BEGINNING of WORSHIP ‒ First Beheld the Blue ‒]

 伊藤 咲穂 個展「BEGINNING of WORSHIP ‒ First Beheld the Blue ‒」@ Tokyo International Gallery(天王洲)(-2024.5.18) 「青色」の世界へ  作品はすべて青色…

【写真】原美術館ARC-ウォーホル,奈良美智,ホスピタリティとメンバーシップ

 2021年1月11日、惜しまれて閉館した品川区の原美術館。同年4月、群馬県渋川市の別館「ハラ ミュージアム アーク」が「原美術館ARC」として再び開館したことは知っていた…

ぬくもりの残る抽象 -[ブランクーシ 本質を象る]@アーティゾン美術館

 コンスタンティン・ブランクーシの「創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての」展覧会@アーティゾン美術館。  わたしのなかでブランクーシといえば、アーテ…

二次元上の三次元表現 -アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店

 アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店、5/15まで。Maki Fine ArtsのほうのPart1は見逃してしまったので、Part2のほうを。 奇妙な立体感に、嵌る  ポップアートの展…

難波田史男 特別展示 没後50年-「生と死の相克に魅入られた精神」

 某日、東京オペラシティアートギャラリー。  収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男(- 06/16)へ。  寺田コレクションに感謝を。 日を改め、訪れた  宇野亞…

宇野亞喜良展 -圧倒的な作品数,溢れる才能,プロフェッショナルということ

 宇野亞喜良(うの・あきら1934-)、900点超の大型個展が開催されている。東京オペラシティの「友の会」(年パス的なもの)を取得し、すでに4回ほど訪れている。 展示作…

5/12まで【写真】Playground Becomes Dark Slowly@日比谷公園

 「日比谷公園で、粋なアートイベントが開催中」アート好きの友人からメッセージが入り、某日の夕刻、訪れてみた。  ほんとうに粋な、心が動くイベントだった。その記録…

ループの結び目,代入-グエン・チン・ティ《47日間、音のない》@森美術館

 森美術館で開催中の「MAMコレクション018:グエン・チン・ティ」(-9/1)。  4月27日にアーティストトークに参加して、しかしそのままになっていた。  トークはとて…

ラ・フォル・ジュルネ最終日 -歌姫たちの歌声

 「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、最終日。 「キオスクステージ」4公演を愉しむ  この日も、前売りを買っていた公演は夜。それまでの時間、気になってい…

ラ・フォル・ジュルネ初日 -熱狂の祭典,音の表情

「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、その初日。 ピアノバーの衝撃 生音が聴きたくて  このイベントのことは、友人から聞いて知った。きっかけは、赤坂のピ…

カラフルな抽象世界の散策 -大城夏紀[project N 94]@東京オペラシティアートギャラリー

 東京オペラシティアートギャラリー。  こんなふうに、廊下に広がる「風景」があった。 風景、その抽象化  風景のように見えるその展示に置かれている作品は……しかしカラフルに抽象化されている。 視覚的連歌の世界を散策  難しい……理解は無理なのだろうかと一瞬感じて、いや、そんなふうに下を向くべきではないのだろうと思った。だって、アウトプットされた世界はこんなに楽しいのだから。 カラフルな風景の一部に  カラフルな風景を愉しみながら、ぐるぐると散策する。「詩歌」を意

AI時代,地図の本質 -特別展示[都市−ヱドキリエズ]@IMT(丸の内)

 某日、東京駅丸の内口。  丸の内JPタワー内、インターメディアテク。  その、特別展示へ。 特別展示『都市 − ヱドキリエズ』  照明を落とした空間。 江戸切繪図(ヱドキリエズ)  奥の展示から、鑑賞することにする。  一定間隔をおいて、昔の地図が展示されている。  さきほどの説明の中に  「緯度経度にもとづく現在の地域図と同じようにもみえるが、地割りは、当時の社会が了とした任意の区分によっている。江戸城の方向を意識した構成はバビロンを中心に据えた古代メソ

都会の[よるべ(寄る辺)] -園田 源二郎 @Brillia Art Award大賞展

 某日、京橋。  ふと、この看板が気になって、  中に入ってみた。  2カ所のギャラリーが並んでいて、向かって左のほうでは歴代受賞アーティストのプロフィールや小作品、隣ではインスタレーション的に作品が並んでいて、それぞれのアーティストの世界を創っていた。 「ヨウコソ、ヨウコソ」  そのなかで、一番奥のインスタレーション、  手描きのふしぎな案内に誘われて進むと、その作品はあった。  全体はこんな感じだ。 「クルモノコバマズ」  遠目には、何となく子どもの落書

瞳のなかの世界 -yuta okuda solo exhibition

 某日、六本木ヒルズ。  このウィンドウに惹かれて、六本木ヒルズA/Dギャラリーへ。  作家はTAKEO KIKUCHIでの4年間の勤務を経て、2016年よりアーティストとして活動、という経歴。下のリンクのサムネイルが「線のみで構成された細密画」の作風ということだろう。 ”with gratitude”シリーズ  「混ざり合う絵具から生まれる偶発性とペンによる緻密な必然性を織り交ぜた世界」。近寄ると、ふんだんに使われた絵の具による立体感がある。  そこからくるふしぎな

抽象化された形,その中身 -ススム・カミジョウ個展@MAKI Gallery

 ある休日の午後、@天王洲アイル。  ススム・カミジョウ個展「帰って来たら When You Come Home」(-2024/06/08)@MAKI Gallery(天王洲, 東京) 抽象化で付与される、あたたかさ  ホワイトキューブを贅沢に使った展示空間は、鑑賞用に椅子も用意されていて、心地よい。  プードルは写実的に描いてもかわいらしいと思うけれど、解像度を下げて抽象化され、一本の線に収れんされていくうちに、その線と色塗られた丸みのなかに、かわいらしさが内包され

Focus on STRETCH PLEATS@21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3 -アートな服,の探究

 某日。その案内を見つけたのは、目的地に向かう駅の出口を間違ったからだ。  2000年に立ち上がったme ISSEY MIYAKE。プリーツプリーズとあわせて、わたしはファンだ。思わず足が向いた。  じつはこの日、まさにこの色のmeを着ていて、そのまま入るのに逡巡したが、カメラも持っていたので入ってみた。「偶然通りがかったんです」と、余計なことを口走ってしまった。  ISSAY MIYAKEでは、店舗でも上質の展示を行っている。一枚の布、という原点がわかるし、仕上がりは

深い青色,画面から広がる宇宙 -伊藤咲穂[BEGINNING of WORSHIP ‒ First Beheld the Blue ‒]

 伊藤 咲穂 個展「BEGINNING of WORSHIP ‒ First Beheld the Blue ‒」@ Tokyo International Gallery(天王洲)(-2024.5.18) 「青色」の世界へ  作品はすべて青色。白い空間に、青い窓が開いているようにも見える。   距離、角度、光で表情を変える  「⾃⾝で研究を重ねた独⾃の漉き⽅によって⽣まれる錆和紙により、⾃然を想起させる⾊鮮やかな作品を制作する」と、さきの説明にあった。その制作手法

【写真】原美術館ARC-ウォーホル,奈良美智,ホスピタリティとメンバーシップ

 2021年1月11日、惜しまれて閉館した品川区の原美術館。同年4月、群馬県渋川市の別館「ハラ ミュージアム アーク」が「原美術館ARC」として再び開館したことは知っていたけれど、訪ねないままになっていた。 朝、バスタ新宿  午後からは快晴予報、の予報を頼りに、朝にバスタ新宿へ。  高速バスは渋川駅で下車。渋川駅から路線バスに乗り換えて30分ほど、停留所は「グリーン牧場前」。牧場、に縁のなさそうな服装のわたしがひとり降りようとしていく姿はふしぎに見えたらしく、「えっ?」

ぬくもりの残る抽象 -[ブランクーシ 本質を象る]@アーティゾン美術館

 コンスタンティン・ブランクーシの「創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての」展覧会@アーティゾン美術館。  わたしのなかでブランクーシといえば、アーティゾン美術館に常設されている「接吻」。  年パスがあることもあって、すでに何度か訪れた。 形成期、すべらかな彫刻  展覧会は7つのキーワードで展開していく。まず、若き時代の作品。 「接吻」のあたたかさ  若い頃の作品から、鑑賞していて癒されるような、やさしい雰囲気を感じていた。それは、直彫りに制作手法が変わ

二次元上の三次元表現 -アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店

 アレックス・ダッジ個展@銀座 蔦屋書店、5/15まで。Maki Fine ArtsのほうのPart1は見逃してしまったので、Part2のほうを。 奇妙な立体感に、嵌る  ポップアートの展示か~、などと、軽く通り過ぎようとし、  えっ? と思ったとき、もう作品世界にくぎ付けになっている。  作品は1枚のボードに描かれている。  それなのに、この立体感は?  画面のなかで、世界は楽しそうに崩壊していく。  そうかと思えば、  今度は画面に、階段が現れる。 手を

難波田史男 特別展示 没後50年-「生と死の相克に魅入られた精神」

 某日、東京オペラシティアートギャラリー。  収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男(- 06/16)へ。  寺田コレクションに感謝を。 日を改め、訪れた  宇野亞喜良展と同時開催の本展。  少しだけ鑑賞し、日を改めようと決めて、後日再訪した。  それだけ、「迫ってくる絵」だった。  作品を観ると浮かび上がってくるであろう数々の言葉、それがそのまま、図録の解説文にも記されていた。  展示作品の大部分は、20代のときに描かれている。 「生と死の相克に

宇野亞喜良展 -圧倒的な作品数,溢れる才能,プロフェッショナルということ

 宇野亞喜良(うの・あきら1934-)、900点超の大型個展が開催されている。東京オペラシティの「友の会」(年パス的なもの)を取得し、すでに4回ほど訪れている。 展示作品数900点超  会場は、いつ訪れても盛況だ。ファンのみならず、デザインやイラスト関連のプロだろうか?という雰囲気の方々もいる。作品の前で立ち止まり、じっと何かを得ようとしている人々の姿があった。  展示構成に従って、写真で様子を追っていく。 プロローグ 名古屋時代  1950年代の作品を観て、ただ一

5/12まで【写真】Playground Becomes Dark Slowly@日比谷公園

 「日比谷公園で、粋なアートイベントが開催中」アート好きの友人からメッセージが入り、某日の夕刻、訪れてみた。  ほんとうに粋な、心が動くイベントだった。その記録を手短に写真で。 某日、夕刻、日比谷公園  銀座方面から、日比谷公園へ。  公園入口すぐに、地図による作品案内がある。 「はなの灯籠」永山祐子(土曜日開催)  まず、地図「C」の作品へ。土曜日のみ開催のため、ただ池を観るだけになったけれど、  水面に花々が浮かぶようすを思い浮かべる。 「余白史」細井美裕

ループの結び目,代入-グエン・チン・ティ《47日間、音のない》@森美術館

 森美術館で開催中の「MAMコレクション018:グエン・チン・ティ」(-9/1)。  4月27日にアーティストトークに参加して、しかしそのままになっていた。  トークはとても興味深く、コンセプトのようなものは、なんとなくつかめた気はする。しかし作品空間に入り込むと、その中に深く沈んでしまって、なかなか言葉にならないし、すっきりしない。  それほどに、魅力的で、ふしぎな作品だ。最近になって再訪し、4回ほど連続で作品を鑑賞した。 30分、2スクリーンの映像作品  まず作

ラ・フォル・ジュルネ最終日 -歌姫たちの歌声

 「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、最終日。 「キオスクステージ」4公演を愉しむ  この日も、前売りを買っていた公演は夜。それまでの時間、気になっていたホールEの無料公演、「キオスクステージ」をちゃんと聴いてみようと思った。  有料公演チケットか、半券があれば入れるエリアに下って、  このように満席なので、とりあえずは立ちながら聴いて、  公演どうしの間は1時間以上あったので、空いた最前列の席で、読書をして過ごした。方々のブースから美しい楽器演奏が

ラ・フォル・ジュルネ初日 -熱狂の祭典,音の表情

「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」5/3-5/5、その初日。 ピアノバーの衝撃 生音が聴きたくて  このイベントのことは、友人から聞いて知った。きっかけは、赤坂のピアノバーだ。  あるきっかけで、グランドピアノが置いてあり、客が自由に弾くことのでできるピアノバーで仲間たちと夜を過ごした。わたしは楽器は全くできないのだけど、耳コピで何でも弾ける才を持つ人と、クラシックピアノに優れた2人のピアニストが交互に演奏し…ピアノの目の前のカウンターで聴いていたわたしは、生音の魅力