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静と動の均衡点 -[未来のかけら: 科学とデザインの実験室]03

「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」@21_21 DESIGN SIGHT

 内容、展示数とも盛りだくさんで、今回はその3回目(=最終回)。



A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architects

 まずA-POC ABLE ISSEY MIYAKE×Nature Architectsによる、1枚の布からできたブルゾンの制作プロセスを。

A-POC ABLE ISSEY MIYAKE+Nature Architects

A-POC ABLE ISSEY MIYAKEによる熱を加えると布が収縮するスチームストレッチ技術と、Nature Architectsが開発したアルゴリズムにより自動で服の折り目を設計する技術の融合によって生まれた全く新しい衣服を展示します。

同上

 つまり、下の写真のマネキンの背後の布が→スチームストレッチ技術によって、マネキンが纏うブルゾンになる過程。

 1枚の布→スチームストレッチ後。

 身体を包み込むような、丸みを帯びたブルゾンが完成する。

 「1枚の布」のコンセプトからブランド展開するイッセイミヤケ。それぞれのブランドの展示もまた美しい。


「触れる」で実感する

 さきにも載せたように、1枚のフラットな布から→完成された立体感のある布、の比較は展示されているわけだが

 本展の特徴のひとつが、前にも紹介した「触れる」ことのできるコーナーの設置で、

 しっかりとその感触を実感できた。

座屈不安定性スタディ

 こちらは、ねじれがもたらす、往復運動の展示。

 ねじれながら往復する様子は、観ていて少しドキドキする。

 目には見えない、「かかり続けている力」を想像する。

 生活に身近なものとして、卓上電話の「コード」があったわけだが、考えてみれば、道具としての便利さに加えて、美しいデザインを備えていたのだなと気が付く。

 実験室的な世界のなかで、時間を忘れた。


科学技術+美しいデザイン

 開催概要の結びの文章に、

多様な視点が交わり、想像力が紡がれる会場で、科学とデザインが織りなす無数の可能性と、まだ見ぬ未来の世界に向かうデザインの楽しさを体感する機会となれば幸いです。

 このようにあった。

 それぞれのプロダクトの説明を読んで、科学の面白さ×デザインの美しさの両方に、思いをはせることができる。その両者が絶妙なところで均衡を保っていることも。

 本展は開催期間が延長されたという。その理由も腑に落ちた。



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