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アーティゾン美術館(京橋)

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立地と居心地が素晴らしく、芸術へのリスペクト、鑑賞者への配慮にも満ちたアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)で過ごす時間が好きです。これからも記事を増やしていきます。
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記事一覧

ぬくもりの残る抽象 -[ブランクーシ 本質を象る]@アーティゾン美術館

 コンスタンティン・ブランクーシの「創作活動の全体を美術館で紹介する、日本で初めての」展覧会@アーティゾン美術館。  わたしのなかでブランクーシといえば、アーティゾン美術館に常設されている「接吻」。  年パスがあることもあって、すでに何度か訪れた。 形成期、すべらかな彫刻  展覧会は7つのキーワードで展開していく。まず、若き時代の作品。 「接吻」のあたたかさ  若い頃の作品から、鑑賞していて癒されるような、やさしい雰囲気を感じていた。それは、直彫りに制作手法が変わ

アーティゾン美術館(京橋)を巡る

 アーティゾン美術館@京橋。  年間パスポートも入手し、たびたび訪れている。 冊子をガイドに、館内をめぐる  こんなすてきな冊子が配布されていた。  この冊子を参考にしつつ、館内を巡ってみる。 大階段  入口を入ると、こんな大階段に迎えられる。  このテラゾ(人工大理石)の床の白い線は、地平線をイメージしているという。  階段の横には、エスカレーターも。  階段の横はカフェで、上はショップだ。ミュージアムグッズは、比較的安価でおしゃれなものが多い。 コイン

抽象と具象の狭間 -野見山暁治@アーティゾン美術館

 年間パスポートを手に、再びアーティゾン美術館。  今回は、石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 野見山暁治(-3/3)を。  値段がついていないのが不思議になるくらいの、とてもクオリティの高いパンフレットからも、力の入れ方がうかがえる展示だ。 独自の画風を確立、昨年102歳で逝去 タヒチ (1974年) 予感 (2006年) かけがえのない空 (2011年) 振り返るな (2019年) あしたの場所 (2008年) 風の便り (1997年) 鉱山から

時代はどう在っても -マリー・ローランサン展@アーティゾン美術館(京橋)

 1月4日、京橋。  アーティゾン美術館、京橋。年間パスポートの販売が行われるとのことだったので、訪ねてみた。  マリー・ローランサン ―時代をうつす眼(-3/3)開催中。 年パス購入、企画展へ すでに何人かの列になっていたので、早めに足を運んでみてよかったかもしれない。  2024年パスの表面は、マリー・ローランサン「2人の少女」。その話題は後ほど。 自画像から作風の変化を知る 企画展は、4作の自画像から。はじめに出逢うのは、マリー・ローランサンらしい作風の1枚。

アーティゾン美術館ABSTRACTION [現代の作家たち]【後編】

 8月20日まで開催の、ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ、の後編。  こちらの、つづき。 横溝美由紀  点と線が織りなす、どこか法則が感じられる世界。  この作品の場合、きっちりと引かれた縦横の線からなる表面は、ときどき絵の具の塊が浮き出て、まるで毛織物のような質感だ。  この作品では、「1本の線」を描いている。  どのようにして引いたのだろう? という疑問と好奇心は、「油彩を含ませた糸をカンヴァスの画面

アーティゾン美術館ABSTRACTION [現代の作家たち]【前編】

 直島の話をすこし中断し、8月20日まで開催の、ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代への話を。  体力と気力のありそうな日に行こうと思っているうちに日が過ぎ、友人から軽くリマインドされてはっと気づいて出かけた。よく効いた冷房に助けられ、約3時間、集中力を持続させながら(時折、休憩しつつ)、堪能した。  展示は非常に丁寧で、1室は「抽象芸術の源泉」として、セザンヌ、ゴッホといった画家たちの作品にはじまる。  次に、フォ