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そあ
2019年10月30日 22:15
フラスコに生けた白百合に飲み込んだ嘘が 析出してしまう裏切りと優しさのグラデーションで染まっていく水溶液君の涙を吸い上げた試験紙は 無反応だった悲しくなくても泣いて嬉しくなくても笑って嘘を謳歌するこの〈実験〉に 終わりは来るの投げ銭を受け取った白衣が 我を忘れて笑ったああ ほら また 君を傷付けたくなる溶かそうと思えば 君は一人で溶けてしまうから混ざっても僕は 触媒のまま
2019年10月22日 22:45
視線 鋭角に入射してプリズム君と僕の世界の外で 虹が掛かった屈折する青に 弦月 自分の筆跡に 後ろ指をさされて泣いた密接する黒に 斜陽校舎の廊下で 影だけが背を伸ばす君に追い付くまで あと何時間なの色違いの服を着た夢兎の人形君が赤で 僕が青スローモーションは再上映不可能だから目を閉じないでプリーツのとれた スカートの裾が揺れる いつまでも この傷は醜く 息をする度に
2019年10月16日 20:22
鉄格子の檻の中から 花束を差し出しました細くやつれた 骨張った手首で看守を欺くような 執着はありません小賢しい子供のまま 大人になりました忘れたいことだらけの絵本を虚ろな影に読み聞かせて毎晩 祭壇で 懺悔したつもりでいます壊れた万華鏡から 零れ落ちたのは夜空の星々の夢ではなく魔法が解けた宇宙には 千の哀しみが宿って 光るのです銀河鉄道に憧れた少年の瞳は霧散してカラクリ
2019年10月14日 20:32
塩素を薄めた海へあの子の髪の色はマーメイドの哀しみ”貴方に出逢わなくても私は泡になっていたわ“天使の階段のシャワー 黒い陽炎傷痕に刻まれる自我は暴力あの子の過去の刺青から 目を背けた僕は子供だった”君を僕の手で泡にしたかっただけなの“プールサイドに打ち上げられた 紋白蝶の死骸鱗粉が溶け出して 君は自由になる欄干に張り付いた透明な翅忘れられた水底のトパーズあの子が
2019年10月13日 21:40
21時 ゴーストタウンの広告塔交差点 立ち尽くして マニピュレイト大気圏まで ハッキングするUSER:Noah Enter PASS:ARK眠れない人工衛星が 冬の星座に張り付けられるこの夜が ペールブルーに変わったら煙草の葉を咥えた 白い鴉が 歩道橋に飛んできて東口から 動物のつがいが一組ずつメトロポリスに 流れ込む #詩 #現代詩 #自由詩
2019年10月9日 20:24
黒にターコイズブルーのライン 透き通る揺らいで 何処へ行こう蝶として生まれた蟲は幸い君は愛される運命なのだから少女に蝶と蛾の見分け方を教えるな森羅万象を断罪薄汚れた灰被りの大人が言う一生消えない罪で お前の瞳は汚れている神の庭に足を踏み入れた蛇は言う「ここはサンクチュアリなんて誰が言った?」俗と聖の融け合う世界で 君だけが正しい少女は一層 泣きながら 笑った君の目には
2019年10月8日 20:08
貴女の言葉の一つ一つに 白いヴェールをかけて都合の良い私は 一人喜んでいました 貴女から貰った愛情で 花を育てて咲いたそれは 真っ黒で まるで私の心の 焦げ付く底のようでした奈落よりも深く 誰も知らぬ深淵へ 私はあの月を隠す雲よりも速く 堕ちてゆくのです鴉の羽根は黒だと 誰が言ったのでしょうか私はあの羽根よりも黒いものを知っているというのにそう あの哀しみや憎しみを 一身に
2019年10月7日 20:07
白百合の枯れる季節に生まれてしまった 罪彼に命は宿らなかったの流れるように月が巡って 何もかも当たり前のように崩れた目の前で揺れる花も いつか土に還ると知ったあの日 あの季節少年の瞳に悲しみはあったの赤い頰は嬉しそうに笑った火は燃えて 蝋は溶けて 瞬きをして 涙が零れる間に君の命は何の為にあった真っ赤に染まって はぜる為、花の命は誰が為に咲いた 蝕まれて醜く枯れる為、
2019年10月6日 22:08
あなたに花束を買って帰ろうともあなたは満たされず満たされるのは ただ私の 自尊心なのです青い薔薇の花を二人探しに行くことが怖かったから私は確実を金で買い 喜びを安売りしたのです手元に残るのは 自己満足という名の赤字で私はその痛みによって 生かされるのでした花とは無縁の生活を送ってきました白と黒があれば生きてゆける程に無欲な私なのでしたあなたに出逢って 花を欲しがる私にも