『神は死んだ』と叫ぶ前に:ニーチェが見た令和の4つのパワハラ
会社って、令和になってもまだパワハラ上司が絶滅していないんですよね。まるで恐竜が現代にタイムスリップしてきたかのようです。きっと彼らは新聞もニュースも見ず、FAXとガラケーで生きているのでしょう。
私も8年ほど前、パワハラを受けていた「気がします」。「気がします」というのも、当時はそれが「パワハラ」だと気づいていなかったからです。社会とはこういうものだと、自分に言い聞かせていました。まるで悟りを開く修行僧のように。
よくある「休暇を(空気を読んで)自由に取らせてくれない」パワハラもありますが、私の場合はそれとは少し違いました。そこで、ニーチェの名言を借りて、その経験をウィットに富んだ形でお伝えしたいと思います。笑っていただければ幸いです。
私を殺さないものは、私を強くする
原文: "Was mich nicht umbringt, macht mich stärker."
この名言、パワハラ界のラスボスかもしれません。 「困難や苦難を乗り越えることで人間は成長する」という意味ですが、彼らはそれを「部下に無理難題を押し付けてもOK」という解釈で使っています。
つまり、「困難や壁にぶち当たったときに、どれだけ頑張って努力するかで人間は成長するんだ!」と、熱血・根性論で指導してしまう人がこれに該当します。タイヤを結んだロープを腰に巻きタイヤを引っ張りながら、夕日に向かって走る姿が目に浮かびますね。
そんな上司には、「それって、ニーチェの“私を殺さないものは、私を強くする”ですよね」と軽く言ってみましょう。相手が哲学に興味を示すかもしれませんし、逆にポカンとするかもしれません。その反応を楽しむのも一興です。
深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている
原文: "Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein."
この名言は、権力や悪に対峙するうちに、いつしか自分もその影響を受けてしまう可能性を示しています。パワハラをしてくる上司は、おそらく現在進行形で相当なストレスを抱えており、ガス抜きしないとメンタルがヤバい人なのかもしれません。もしくは、過去に先ほどのような指導を受けてきたため、それしか指導方法を知らない可哀そうな人の可能性もあります。
そういったパワハラ上司と接していると、こちらまで心が荒んできます。気づけば自分も他の同僚にきつく当たってしまったり。「あれ、自分も深淵を覗いてしまったのか?」とハッとする瞬間です。
そのときは一歩引いて、「深淵に覗き返されてる!」と自分を笑ってみましょう。上司に「深淵を覗いちゃったんですね」と言ってみるのも、ウィットに富んだコミュニケーションかもしれません。まあ、通じるかどうかは別問題ですが。
事実は存在しない。存在するのは解釈だけである
原文: "Es gibt keine Tatsachen, nur Interpretationen."
パワハラ加害者がよく使うセリフ、「そういう意味で言ったんじゃない!」。まさにニーチェのこの名言を地で行っています。彼らにとって、事実はどうでもよく、自分の解釈こそが絶対なのです。
例えば、休暇を申請すると「君がいないと困るんだよね」と言われる。でも休暇のルールには、その人が会社にどの程度重要かどうかで休暇を取得できるかが決まるなんて一切書かれていません。朝早くきて新聞読んでるお利巧さんなのに文字が読めないのでしょうか。
そんなときは、「そうですよね、事実なんて存在しないんですよね。解釈だけですよね」と皮肉を込めて返してみましょう。相手が困惑している間に、その場を離れて別の人にすぐ相談して休暇を取得しましょう。
神は死んだ
原文: "Gott ist tot."
この名言は、道徳や倫理の絶対的な基準が失われた状況を示しています。職場でパワハラが横行していると感じたら、「ああ、神は死んだんだな」と悟りましょう。
令和2年度 厚生労働省委託事業として東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が厚生労働省へ報告した「職場のハラスメントに関する実態調査 報告書」には、次の報告があります。
つまり、会社全体が「神不在」の状態なのです。倫理観や道徳によるガバナンスができていないんですね。このような状況であると気づいたとき「あぁ!神は死んだ!」と叫びましょう。
ある日、別の部署の上司が電話を切った後、「あいつ、絶対コ〇シたるからな」と大きな声で発言しているのを聞いてしまった時、心の中で「神は死んだ!」と叫びましょう。上司からカオスエネルギーが放出されていますので、静かにその場を離れましょう。もはや深淵のほうからあなたをのぞき込んできている状態です。
パワハラに遭遇したとき、ニーチェの名言を思い出してみると、少し心が軽くなるかもしれません。ウィットに富んだ切り返しで、自分の心の平穏を保ちましょう。そして実際にハラスメント受けた際は、一人で悩まずすぐに身近な相談所に駆け込んでください。