家族を驚かせよう

お気に入りのドキがムネムネさん( 以下ムネムネさん )も立つ訓練に参加しています。

もちろん毎回強制参加ですが嫌な顔などせず大きな声で数を数えてくれます

自分で立ち上がれていますが、長く立ち続けるのは難しいムネムネさん。

10秒くらいなら大丈夫ですが20秒ともなるとフラフラしていました。

しかし、訓練を続けることにより20秒でも30秒でもフラフラしなくなり、100秒以上立ち続けられるようになりました。

これだけ立っていられるならただ立つだけでは勿体無いので、短い時間なら踵を浮かせて立ってもらうなど負荷をかけていきました。

それも簡単にクリアできるようになったムネムネさん。

不意に手すりを掴まりながら歩き出しました。

「 ちょっと!危ないですよ!! 」

私の心配をよそに

1歩、2歩、3歩・・・

ゆっくりではありますが伝い歩きをしています。

「 すげー!歩けるようになった! 」

驚く私に対し『 歩けんだよ私は 』と、得意気なムネムネさん。

歩けなかったのは車椅子からベッド、ベッドから車椅子への移乗で分かっていましたが、ここまで筋力が向上しているとは思ってもいませんでした。


数日後、立つ訓練中に娘さんが面会に来ました。

「 おばあちゃん長く立てるようになったのね 」

娘さんは自分で立ち続けるムネムネさんを見て感動しています。

訓練後に「 娘さん驚かせようよ 」とムネムネさんに耳打ちをすると、手すりに掴まりながら歩き出します。

「 歩けるようになったの!? 」

歩けなかった記憶しかないのでビックリしています。

10歩以上伝い歩きをしたムネムネさんはゆっくりと戻って来て車椅子に座ります。

『 歩けんだよ私は 』

聞いたことあるセリフをまたもや得意気に言います。

「 少し前までは寝てばかりいたのに、最近やたらと楽しそうで起きているから何かやってるのかなと思っていましたが・・・。ありがとうございます 」

「 いえいえ。私も楽しませてもらっていますので。こちらこそありがとうございます。ただ、伝い歩きができるようになったのは本当に最近ですので、頑張って訓練をしていたYさんを褒めてあげて下さい 」

「 頑張ったんだね。おばあちゃん 」

「 では、私は業務に戻りますのでごゆるりと 」

ムネムネさんを娘さんにお願いし、自分の仕事に戻ります。


伝い歩きを見ていた同僚が寄って来て
「 最近移乗が楽になったと思っていましたが、訓練の効果めちゃくちゃ出てますね 」

「 訓練は大変だけどその効果が出ると色々と楽になるよね。まぁ、継続しないとまた戻っちゃうんだろうけどね 」

「 戻らないようお願いしますよ 」

「 俺1人でか?たまには手伝えよ 」

「 分かりました。一緒にいる時に手伝いますね 」

立つ訓練を手伝ってくれる職員が増えたことにより、更に安全に対応できるようになり、参加する利用者さんも増えていくのでした。

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