偶然の出会いが、人生を変えていく
計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、心理学者のジョン・D・クランボルツ氏によって提唱されたキャリア理論である。
私が「この先どうしよう」と将来のキャリアについて悩んでいると、「思い通りにいくこともあるけど、大抵のことは思い通りにいかない。人生は5年周期くらいで、全然違うように変わっていく」と母は言った。
たしかに言われてみれば、5年前だと私はまだ大学一年生の18歳。その頃はまさか、自分が大学院に進学するなんて思ってもいなかった。
よく就職活動では、「5年後、10年後、どうなっていたいですか?」という質問をされる。
大学院に進学したいと相談した時も、「卒業した後どうするの?」と聞かれ、大学院の面接でも「将来はどんな職業に就く予定ですか?」と、当たり前のようにその先のゴールを問われた。
そうした将来についての質問をされる度に、私はモヤっとした。
将来、自分がどんな仕事をしているのかわからない。
だけど、「今したいこと」は確かにある。
このように、就職する、進学するといった人生の節目節目で、私たちは将来のことをよく問われる。だから、「ゴールを決めなきゃいけないんだ」と思ってしまうのは、もはや当たり前のことだろう。
しかし前述のように、計画的偶発性理論におけるターニングポイントとしての「偶然の出来事」は、「待っている」だけでは起きず、「行動する」ことでチャンスが生まれる。
つまり、私に「大学院に行きたい」という意欲が生まれたチャンスは、私自身が自分の意思でゼミ活動に主体的に参加をすることで、「自ら引き寄せた」ものと捉えることができる。
私はよく「行動力があるね」と言ってもらえることがある。しかし私からすれば、もうやってみたいと思ったからにはやるしかなくて、行動せざるを得なかった。
ただ振り返ってみると、ゼミ活動をがんばれたのも、その前にちょっと上手くいかない出来事があって、その状況を「どうにか好転させたい」と躍起になれたことがきっかけだった。
そう考えると、よく聞く言葉ではあるが、これは「一見マイナスな出来事が実はプラスにつながっていた」一例だとも考えられる。
計画的偶発性理論では、目標は「狭く明確」であるよりも、「広く抽象的」であるほうがよいとされる。例えば「絶対に英語教師になる」と決めるより、「何か人に教える仕事がしたい」と考えたほうがチャンスは巡りやすい。
私は “就職から院進へ” という方向性の転換に伴い、これまでずっと「将来何の仕事に就くのか、そのために今何をすべきか」を明確にしようとしてきた。
しかし、クランボルツの理論や母からの言葉を受けて、「きっと目標を明確にしたところで、また予想外の展開は起きる。きっと5年後も、思いがけないことが起こっている」と思い、過去や未来ばかりを見て、それで今を疎かにするくらいなら、今だけを見つめて、「今やりたいことを、全力で楽しむ」ことに注力したいと思った。
日々良いことも悪いこともたくさん起こるけれど、できるだけ「今が楽しい」状態が続けば、結果的に人生も楽しく、豊かなものになっているのではないだろうか。
人生は、思い通りにいかないくらいが楽しいのかもしれない。
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