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自分と仕事との折り合いをつけていく

週一回行われる地域の高齢者の方々とのワークショップ。今日のテーマは、『これまでの人生を振り返りながら、自分の強みについて考える』。

その中で特に印象に残った語りを一つとりあげる。

「小学生の頃は、物事に疑問を持たず、ただ言われた通りに動く従順な子だった。だけど仕事を始めた時、“仕事をしていくためにはこのままではやっていけない” と思い、ただ飲み込むのではなく、物事に対してまずは疑問を持つようになっていった。だから今の私の強みは、 “芯がある” こと。」

この語りからわかることは、この方は小学生の頃 「従順 」という特性を持っていた。また「従順」とは、この頃の強みでもあった。しかし仕事が一つのターニングポイントとなり、これまで「従順」であった自分に変化の必要を感じたことを機に、仕事経験を重ねるとともに「芯がある」という強みを持つ人に変わっていったということ。

つまり、これまで自分の強みにマッチした仕事に就いてきたわけではなく、“仕事に合わせて自分の強みが柔軟に変化していった ということだ。

これ、私にとっては結構な驚きだった。

それは私がちょうど今、「自分の強みを活かすことができ、自分の弱みに引っかからない仕事とはなにか」を、必死になって探していたからだ。

新卒三年以内に転職する人が三割を超える時代。
そのほとんどの人の動機は、「きっともっと自分に合う会社があるはず」というものだろう。

就職活動をする際には「就活の軸」を、大体3つくらい決める。例えば、①やりがいがあること、②対人の仕事であること、③ワークライフバランスを保てること など。そしてその “ブレない軸” にできるだけぴったりマッチする企業を探していく。

しかし、今日のワークショップを通して気づけたことは、「自分」という確固たる軸があり、それにフィットする企業を見つけるのではなく、企業の働き方に、こちらがフィットしていくこともあるということだった。

就職活動とは、自己分析と企業分析の両方が必要とされることから、「自分」と「企業」のマッチングを探る作業であるといえる。
しかし考えてみれば、自分に100%フィットする企業なんて、はっきり言って自分で作るほかないし、フィットする企業を見つけること自体難しい。そしてたとえそれが見つかったとしても、自分側からだけでなく企業側から見てもマッチすること、つまり “採用してもらえる” という保証はない。

そのように考えた時、「意外と企業の働き方に自分が寄り添っていった方が、案外楽なんじゃないか」とか、「むしろ多少アンマッチな会社の方が、その仕事をする前の自分にはなかった強みが見つかっていいんじゃないか」と思えて、少し肩の力が抜けたような気がした。

“自分と仕事との折り合いをつけていく” ことで、経験とともに変わっていく自分の強みがあり、一方で数々の経験を経てもなお、ずっと変わらない強みもあるということ。

多くの人生経験を経た高齢者は、まだ人生経験の浅い若者にはない視座に立った語りをすることができる。

高齢者が語る過去のライフストーリーは、大学生が未来のキャリアデザインを描く時の、きっと大きなヒントとなるだろう。

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