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本の部屋

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本棚へ大切にしまっておいて、何回も読みたい素敵な文章や言葉を集めています。
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#エッセイ

おしゃべりにタイムカプセルを埋める日々を

おしゃべりにタイムカプセルを埋める日々を

家の近くに足繁く通う蕎麦屋がある。蕎麦屋で飲むのはどうしてこんなにおいしいんだろう、締めの一曲(蕎麦)に向かってセトリを組むような感覚があるからかしらと思うのだけれど、このお店に来ている人のほとんどが「一曲目」に注文するのが刺し盛りだ。これが、「なぜ?」と首をかしげたくなるくらいおいしい。大将は「切ってるだけですよ」とかっこよく謙遜するけれど、この質の魚を町の蕎麦屋が仕入れていることが素敵だし、す

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もう会えないから、忘れられない。旅で得た「心の財産」

もう会えないから、忘れられない。旅で得た「心の財産」

以前どこかで、海外ひとり旅の魅力を紹介する記事の中に、こんな一項を見たことがあった。

「世界中に友達ができる」

それを見たとき、そんな魅力が海外ひとり旅にはあったのか、とびっくりした。

というのも、自慢ではないけれど、今まで30ヶ国ほど旅してきたはずの僕は、旅先で友達ができたことなんて、ただの一度もないからだ。

少なくとも、帰ってきてから再会したり、たびたび連絡を取り合ったりするような人は

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ウズベキスタン、年若い車掌からのプレゼント

ウズベキスタン、年若い車掌からのプレゼント

いま、この記事を書いている僕の手元に、200スムの硬貨が4枚ある。

……といっても、「スム」がどこの国のお金なのか、わからない人の方が多いかもしれない。

スムは、中央アジアの国・ウズベキスタンの通貨なのだ。

この9月、ずっと気になっていたその国へ、1週間の旅に出た。

タシュケントやヒヴァ、サマルカンドを回り、日本へと帰ってきて、かばんの中を片付けていると、不意に4枚のコインが落ちてきた。

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あなたの、ふるさとは?

あなたの、ふるさとは?

この前みんなで夜ご飯を食べていたら、長男がふとつぶやいた。

まず、4歳児の口から突然でてきた「ふるさと」という言葉にびっくり。

そして「ふるさと」という渋い言葉と「めっちゃ」という言葉の組み合わせが、なんだかジワる。

さらに「ふるさと」が「めっちゃある」という考え方も、なんだかとても面白い。

驚きとニヤニヤで顔がぐにゃっとしながら、もう少し話を聞いてみよう。

4歳児が突然語り始めた「ふる

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