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本の部屋

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本棚へ大切にしまっておいて、何回も読みたい素敵な文章や言葉を集めています。
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2023年9月の記事一覧

書く仕事がしたい、と思っていたけれど

書く仕事がしたい、と思っていたけれど

書く仕事がしたい、と思っていた。ライターとか、作家とか、エッセイストとか。
どうやら自分は文章を書くことが好きで、苦にならないらしい、と気づいたころから、漠然と憧れていた。

けれども最近気づいたことには、私はいつの間にかとっくに「書く仕事」に就いていたようだ。

***

人事の仕事をはじめて丸10年が経つ(ということを認識すると、いつも眩暈がする)。
特に強い気持ちで希望した仕事ではない。営業

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もう会えないから、忘れられない。旅で得た「心の財産」

もう会えないから、忘れられない。旅で得た「心の財産」

以前どこかで、海外ひとり旅の魅力を紹介する記事の中に、こんな一項を見たことがあった。

「世界中に友達ができる」

それを見たとき、そんな魅力が海外ひとり旅にはあったのか、とびっくりした。

というのも、自慢ではないけれど、今まで30ヶ国ほど旅してきたはずの僕は、旅先で友達ができたことなんて、ただの一度もないからだ。

少なくとも、帰ってきてから再会したり、たびたび連絡を取り合ったりするような人は

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ウズベキスタン、年若い車掌からのプレゼント

ウズベキスタン、年若い車掌からのプレゼント

いま、この記事を書いている僕の手元に、200スムの硬貨が4枚ある。

……といっても、「スム」がどこの国のお金なのか、わからない人の方が多いかもしれない。

スムは、中央アジアの国・ウズベキスタンの通貨なのだ。

この9月、ずっと気になっていたその国へ、1週間の旅に出た。

タシュケントやヒヴァ、サマルカンドを回り、日本へと帰ってきて、かばんの中を片付けていると、不意に4枚のコインが落ちてきた。

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もう一度あの日には戻らない。

もう一度あの日には戻らない。

人生なんてものは、生きてみなけりゃわからない。

ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』にさらっと差し挟まれていた一節だ。

先日、うちの犬をわが家に迎えてから7年目となる「ウチノコ記念日」を迎えた。犬にも当然誕生日はあるのだけど、保護犬のようにその日を追えない犬も多いし、誕生日のわかっている犬にしてもその日は母犬のもとで過ごしたのだから、人間家族としてはやはりわが家

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あなたの、ふるさとは?

あなたの、ふるさとは?

この前みんなで夜ご飯を食べていたら、長男がふとつぶやいた。

まず、4歳児の口から突然でてきた「ふるさと」という言葉にびっくり。

そして「ふるさと」という渋い言葉と「めっちゃ」という言葉の組み合わせが、なんだかジワる。

さらに「ふるさと」が「めっちゃある」という考え方も、なんだかとても面白い。

驚きとニヤニヤで顔がぐにゃっとしながら、もう少し話を聞いてみよう。

4歳児が突然語り始めた「ふる

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