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続ける!毎日掌編小説

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プロの小説家になるために毎日掌編小説を投稿します! 正確には毎日(00:00までに)必ず一つ投稿します。 もし投稿が過ぎた場合は、勉強も食事も睡眠も無しでその日に作品を5つ出しま…
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#サスペンス

『六問室』 短編小説 第一問「教室の幽霊」

『六問室』 短編小説 第一問「教室の幽霊」

夕暮れ時の校舎は静まり返り、蝉の声が遠くからかすかに聞こえるだけだった。生徒たちは、ほとんどが部活動や自宅へと帰り、校舎にはわずかな人影しか残っていなかった。

「この街の地図、なにかおかしいと思わないか?」俺、不来方―潤(こずかた―じゅん)は、廊下に貼ってある高校周辺の地図を見てそうつぶやいた。

「どうおかしいんだい?」俺と同じクラスの四条―真(しじょう―まこと)が、少し先を歩いていたところを

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「六問室」短編小説

「六問室」短編小説

プロローグ

六問室――それは6つの問題を一度も間違えずに解かなければ、一生出られなくなる部屋だ。この部屋が存在する街、瓜生山町は、長らく呪われていた。

だが、呪いは次第に薄れていった。その噂はかつてこの街を蝕んでいたが、年月が途方もなく過ぎ去り、人々の記憶からも消えかけていた。

では、今、その部屋はどうなっているのだろうか。現在も残っているのだろうか?ああ、そうとも。今なお、その呪いは生き続

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【連載小説】『パタイトのテル』2s1w「秋」

【連載小説】『パタイトのテル』2s1w「秋」

 タハトの背筋は凍るように冷たくなる。急いで近くの草むらに隠れた。

 背広服を着た黒装束のあいつらがいなくなるまで待った。

 そしていなくなった時に、恐る恐る草むらからでると、タハトは家に向かって行った。玄関から家の中をのぞくと、それはおどろおどろしくまき散らされた血と、お母さんの亡骸が転がってあった。

 お母さんのそばでタハトは崩れるように膝を地面につける。涙は、赤くなった地面に落ちると、

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「スピリット地雷ワールド」新連載小説始動 あらすじ

「スピリット地雷ワールド」新連載小説始動 あらすじ

新連載予定 「スピリット地雷ワールド」 あらすじ〜

地雷系女子、闇葉のありとあらゆる爆発のせいで高校生の青春が再建不可能にまで破壊されていく愛音。ある日家の前で奇妙な色をした謎のパイナップルとメモを見つける。メモには、「このパイナップルを食べると、食べた後一番初めに見た人の精神世界に入ることができるようになる。副作用で、見られた人は見た人の人生が上書きされます」と書かれていた。信じる、信じない関

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[連載短編小説]『ドァーター』第十一章

[連載短編小説]『ドァーター』第十一章

この小説は第十一章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください!『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすいのでぜひ!

第十一章 愛してやまない人

 少しだけ、水が電気で焼けたような匂いのする路地裏にいた。

「いったいどうしたんだ、急にこんなこと初めてさ。なあ、お前は何者なんだ?」月夜に輝く、金色の髪がなびいた。街灯

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[連載短編小説]『ドァーター』第一章

[連載短編小説]『ドァーター』第一章

_________本編_________

第一章 僕の面倒なところ、勤勉なところ

 僕には娘が二人いる。しかしそれをついさっき伝えられた。今まで伝えられなかったのは、僕が罪人だからだろう。僕はたくさんの人を殺した。守れなかったんだ。

 そんな僕に、今更娘の存在を明かして来たということは、何か困ったことが起きたのだろう。正直面倒ごとはごめんだ。できることならこのまま牢獄の中で一生を終えたい。誰

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続ける!毎日掌編小説『一人じゃないって』

続ける!毎日掌編小説『一人じゃないって』

「私だけを見ていて」真剣な眼差しでそう言われた。「絶対にひとりにしないでね」

 それが彼女の僕が最後に聞いた言葉だ。

 その人は自分のことをよく話す人だった。自慢ばかりするというわけではない。「昨日、お風呂に入らないで寝た」とか「昨日と同じ服を着ているとか」本来隠しておくべきことをよく話してくる。何が目的なのか、僕にはわからない。でも、彼女は何か別のことを伝えようとしているように感じた。

 

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