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プロの小説家になるために毎日掌編小説を投稿します。 正確には毎日(00:00までに)必ず一つ投稿します。 小説を書くのは何よりも好きなことですが、生死が左右されることなのでちゃん…
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記事一覧

千二百文字小説(10/30)

千二百文字小説(10/30)

 僕には誰にも叶えられない宇宙一の目標がある。これだけで良かったのに。

 正直言って、学校にいる人間はバカばっかりだ。学力においても、運動神経においても誰かに負けたことはなかった。そして合理的に物事を判断することでちっぽけなコミュニティには絶対に収まらなかった。だからこそ僕は町1番の人気者なのだ。しかし僕は知ってしまった。それはある、バイト中のことだった。

 こんなにも完璧で崇高な人間であるに

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千二百文字小説(10/28)plot

 宇宙に星が無数にあるのと同じように、僕も数多の生命体の一人に僕は生まれた。

 私とあなたとあなたとかそれぞれみんなは絵の具の様なもの。 

千二百文字小説(10/27)plot

 私の手の中には確かに財布があった。はずだ。しかし一瞬のまばたきの間に財布は消えたのだ。

 私の財布。数秒前まで私の手の中にあった。そのまばたきの間、ある言葉が聞こえてきた。「キモい」誰か人に向けられた言葉だった。その言葉に私は気を取られ、手の中の財布はすっかり意識の外にあった。

千二百文字小説(10/26)

千二百文字小説(10/26)

 僕は本当に醜い人間だって知ってる。

 君の秘密を話してしまったのは、うん……一人が怖いからだ。今はこんなにも簡単に言えるけど、僕はあまりにも恥ずかしくてたとえ口が裂けても言えなかっただろう。

 謝りたいんだ。ごめん。

 僕は本当にバカだった。君から君だけの秘密を僕にしてくれたってことは、僕を少なからず信用してくれていたはずだ。なのに、僕はそれを簡単に自分の愚かさのために使った。

 実は、

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千二百文字小説(10/25)

千二百文字小説(10/25)

 ーーだから大丈夫だよ。と昨日母を亡くしたばかりの彼を慰めてやった。

「簡単に…大丈夫だなんて、そんなこと言わないでよ!君にはわからない!」

 彼はいきなり大きな声を出した。でも私は驚いたりしない。なぜなら私は彼を恐れたりしないのだから。

 君は私にわからないという。でも私だって悲しかった。彼と毎日のように遊んでいたから、彼のお母さんとは小さい頃からの知り合いだし、本当によくしてきてもらって

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千二百文字小説(10/24)plot

 幸せを考える時ほど幸せな時はない。

 いつだって、僕たちは辛すぎる世界のせいで忘れてしまっている。

千二百文字小説(10/21)

千二百文字小説(10/21)

 退屈な波は、まるで僕の彼への想いのようにどうでもいい。高校2年生後半、飛空艇の影の下でお前とお前は言った。

「関係なさすぎて言うことじゃないから」

「ほんともうあっち行っといて」

 いきなり怖くなった?恥ずかしくなった?僕に散々ああ言っていたのにね。いきなり僕に反発するようなことするんだ。

 何かこう、心を抉るような寂しい気持ちになった。影の外へと出て、僕は冷たい風にふかれる。彼らと一緒

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千二百文字小説(10/20)plot

 鏡いっぱいに映る瞳を見てきて、最近ようやく紅眼であることを受け入れられるようになった。

 モデルしててー、ポージング上手い人がいて、僕は悔しかった。確かに、僕は素人で、初めてのモデルで相手はプロだけど。僕は彼女に少しだけ近い存在である彼に嫉妬してた。

千二百文字小説(10/22)plot

 体験してみたい。挑戦してみたい。

 でもそれが誰かの足手纏いになっているなら、やめておいた方がいいのかな。

 今まで言い出せなくて、はっきりしないままでごめんね。

千二百文字小説(10/19)

千二百文字小説(10/19)

 私の体は子供たちのかけらでできている。 

 私たちの心はガラスでできていて、脆く。繊細だ。

 比喩なんかじゃない。心だけでなく、体、毛先まで全てがガラスでできている。でも傷ついた体は溶かして伸ばせば治る。祐逸本来のガラスと違うところは、大人になると体が硬くなって、溶かせなくなるということだ。

 驚かれてしまうだろうが、言うね。私が今ハマっているのは大人のようなまだ硬くなってい子供を粉々にし

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千二百文字小説(10/18)

千二百文字小説(10/18)

 のっぺらぼう。のっぺらぼう。やつは必ずやってくる。のっぺらぼうは人の顔を奪いにやってくる。

 僕は手を合わせたんだ。その日は霧の濃い夜だった。

 真っ暗な高速道路に一筋の光が猛スピードで進んでいた。一台の車体が走っている。車の左ドアが開くと、中から誰かが出てきた。それは丸っとしたスーツ姿の男だった。男は車体の屋根にまで這い上がり、トンネルを越える、と立った。

 彼の顔は無い。無いのだ。しか

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