千二百文字小説(10/17)
死体は浮遊した状態で見つかった。
浮いているのだ。寝室で。彼はベッドの上、眠っているところを何かで上から吸い寄せられたように見える。彼の腰に見えないロープが巻いてあって吊るされているのだろうか。いや、手をかざして通り過ぎてもそれにぶつかることはない。
完全に浮遊している。彼は天国に行ったのだろうか。しかし、こんな天国の生き方、あまりにも物理的で何かおかしい。これは、人から魂を抜くときに、魂があまりにも体への執着が強く、体も少しだけついてきてしまったことによる世界のバ