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気が向いた時だけのゆるゆる日記 https://minne.com/@mmk0105

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最近の記事

処世術 #27

夕方、ぼーっとせざるを得ない時間が流れる。 私はふと日常で思ったことをメモに書く癖がある。 例えば、 「バスの中で本を読む時の光の進み方が好き」 「雨の日の朝は少し特別にしておく」 「まだ横断歩道の白線だけを渡る余裕はある」 とか取り留めのないこと。 少し残して後で見直したい言葉たち。 その中に、 「おじさんのフライングゲットに数々の戦歴を感じる」とあった。 いつどこでメモしたのか全く思い出せない。 恐らくおじさんのフライングゲットを聞いたのは会社の忘年会。その時に心に

    • とりとめのない秋 #26

      高くて青くて少し薄い空 だんだんと色が増えてくる洋服たち 夜に聞こえる虫たちと少し浮かれた男女の声 外に出るとすんっと全てを正してくれそうな風 なんでも良くなる、かき消してくれる夕焼け もうどうでもいいやって時に差し出してくれる君の右手 全部色濃くなるけどサラサラな雨上がりの景色 おいも、くり、いちじく、さんま 食卓はカラフルで少しブラウンが魅力的 チェックのスカートとまだ早いダウンジャケット 遠くで聞こえる音楽、ゆらゆら揺れる頭影 きいろとあかとみどりが徐々に交ざ

      • 甘くて冷たくて #25

        6/27 ずいぶんと久しぶりになってしまった。 人は忙しすぎると、感じることと考える時間を省いてしまうのかもしれない、と思う。 いつの間にか梅雨も半ばに入り、ぽつぽつと夏の気配を感じる。朝起きたらちょうどいい風が部屋を纏い、日中外に出るとなんとも言えないムシッとした空気感、夜には半袖でアイスを買いに行く。もはや夏に向かってのファンファーレが聞こえているのでは。 昔から夜のアイスはなんだか特別な存在。 幼少期は夜に甘いものを食べることは稀で、蒸し暑い中歩いて父とコンビニへ

        • ハコニワ #24

          5/2 そういえば、一ヶ月夕陽をぼんやり眺める時間が取れてない、分かってたんだけどね。 社会人になるってそういうことだと改めて思う。 連休に差し掛かる新幹線の中、窓に反射した自分。久々に少し考える時間。 大学生の時は四六時中どうでもいいことに思いを巡らせていたのに。考える余裕があることがこんなにも大切な時間だったことを今知った。 どうでもいいことを考える時間がなくなると、何か考えようとしても思いつかなくなってしまう。こんな寂しいことはない。 休み時間にビルの六階からみ

        処世術 #27

          発見 #23

          4/17 温泉から上がると自分のロッカーのまわりだけやけに人が多い現象ってなんだろう。 ロッカーを選ぶ時には周りに人が少ないところを選択しているつもりなのに、なぜか温泉から上がると混んでいる。 なんだか騙された気分、といつも思う。 ドライヤーも使おうとした時に限って空いてない、タイミングはいつになっても難しい。 それゆえ近くの銭湯に行く時は閉店間際を狙う。ゆっくり入れて一日を噛み締めるのに丁度いい。 まだ親と風呂に入っていた頃、肩まで使って三十秒数えてから出る、という

          発見 #23

          キラジュワサク #22

          4/15 本を読んだ。松浦弥太郎さんの「伝わる力」。まだ少ししか読んでいないけれど好きだと思った。 あなたにはどんな味の記憶がありますか、との問いかけで終わる章がある。少し自分の味の思い出について考えてみる。 私の味の思い出は「煮カツ」だと思う。 我が家ではトンカツを甘辛く醤油と砂糖とみりんで煮る料理を「煮カツ」と呼んでいた。卵も玉ねぎも入っていない、ただ煮てあるだけのいたってシンプルなもの、カツ煮でもない。 小学生の頃、共働きだったので平日は祖母、土日は母親がたくさ

          キラジュワサク #22

          自然と私 #21

          4/9 電車に揺られる。窓の外はビルとその合間には青空、プカプカ浮かんでいる雲。春の陽気とはこの日のことを言うのだろう。 怒涛だった、社会人初めての一週間。慣れないことや環境、忙しすぎると人はゆっくり考えることができない、らしい。 初めて住む街、大阪は大都会で人が多く息が詰まってしまう感じがする。なんでもあるけどなにもない。情報が多すぎて自分をすり減らしてくる。私がいかに都会適性がないのかがわかる。 都会から逃げたくて初めての休日は自然が豊かなところへ。連日の飲み会続き

          自然と私 #21

          車内 #20

          4/2 日曜日。新幹線に揺られて新入社員研修の地、大阪に向かう。これから一ヶ月ホテル暮らしである。 四月も始まったばかりだというのに夏日になりそうだと朝のニュースで言っていた。ポカポカという形容詞がお似合いの陽気である。 もう桜も散り始めてしまった。昔よりも季節が早まっている気がするのは気の所為か。 地元の名古屋から新大阪までは一時間もかからない。揺られている時間は心地いいのでもう少し長くてもいいな、と思う。 新幹線の自由席は想像よりも空いている。 けれど、ガヤガヤし

          車内 #20

          中吉はどのくらい? #19

          4/1 御籤を引いた。中吉だった。 普段だったら大吉以外神社に結ぶのだけれど、今回は財布の中に入れておくことにした。 今の状況に書いてあった内容が合っていると、なんとなく思ったから。 太宰府天満宮の桜は咲き誇っていた。恐らくこれが満開という状態。もちろん梅は終わってしまっていた。 強い風が吹くとひらひらと花びらが舞う。桜吹雪。これを浴びるといいことが起こる予兆だと友達が言っていたことを思い出した。 中吉なのに、中吉だからなのか、あまりいいことは書かれていなかった。 中吉

          中吉はどのくらい? #19

          サヨナラを #18

          3/31 新潮文庫「マイブック-2023年の記録-」に一月から日記を書き続けている。これは文庫本でページには月日のみで他は白紙、自分で一冊の本を一年かけて作り上げる。誰に見せるものでは無い。自分に向き合うための本。 三月三十一日の左隣のページには四月の文字。それがついに私の学生生活最終日だということを示している。実感が湧いてくるとはこういうことを言うのか。 週明けからは社会人として毎日会社へ通う新しい人生がスタートする。もうこの学生生活には戻って来れない。片道切符しか持

          サヨナラを #18

          抽象 #17

          3/29 目をわざと抽象的にする。解像度を低くする。 意識してそうしようと思っても中々できることではない。 眠たい朝にぼんやりと霞んだ空を見上げる時、退屈な数学の授業中に動く黒板の白い文字、ラーメンに浮かぶキラキラひかる油たち。 昼間の公園に広がる無数の楽しそうな声とカラフルな影、料理中の回る電子レンジ、揺れる水面。今までのことを挙げるとキリがなくなってしまう。 単純に目が悪いとは異なるこの感覚が昔から好きなのは私だけなのだろうか。ぼんやりと景色を捉えると自分の内面が浮

          抽象 #17

          最後の道 #16

          3/25 昨日が静岡最後の日。なんとなく夜ご飯は自炊がしたくて海の方面にあるスーパーへ歩いて行った。家からスーパーまではゆっくり歩いて25分ほど、お腹を減らすにはちょうどいい距離だ。 最後だと思うと、それまでの道中で今まであった出来事を否応なく思い出してしまう。嫌なことも、楽しかったことも。 入学したてで部活の友達とオールした朝方に自転車で行った海、あの頃は四年間こんなにもずっと一緒にいると思ってなかった。 飲み会でリアカーに乗せられて先輩が運ばれてた道。 ずっと前を通

          最後の道 #16

          退去 #15

          3/24 怒涛の数日だった。旅行から帰ってきて、終わりの見えない引っ越し、待たされ続ける手続き関係、ピカピカに晴れた卒業式、大学最後の朝までの飲み会。そしてやっと退去の日が今日。引っ越し間に合って本当に良かった。 四年間生活したものたちをダンボールに詰めていく作業はなかなか楽しいものだ。まるで大学生の思い出たちを整理していく、そんな気分になる。 ひとりさみしい夜を彩ってくれたピンク色のキャンドル、一週間で挫折したギター、友達とノリで買った使ったことのないピコピコハンマー、

          退去 #15

          左手中指 #14

          3/21 爪が割れている。バイト中、割れた爪を見ながら、もうこないであろう客を待つ。ライブハウスの受付。もうライブは2バンド目が始まっている。 ここ数日引っ越しで慌ただしくて、こうやってぼーっと座る時間も取れなかった。軽トラを借りて自力で引っ越す。なかなかのパワープレイを選択してしまったことを少し後悔。家に帰ってもまだやることがまっている。よかった、バイトがあって。普通はバイトの方が忙しいはずなのだが、今はこれが回復の時間。強制的に休む大切さ、ありがたさを感じる。 爪が割

          左手中指 #14

          時間軸 #13

          3/18 まだ恋人は寝ている。 朝焼けに染まったオホーツク海を見ながら、自分で淹れたインスタントのコーヒーを飲みながら、よしもとばななさんのイヤシノウタを読みながら、本来の時間の流れについて考える。 人間本来の時間の流れは豊かさ、心の広がりだとよしもとさんは言う。 私が本来の時間の流れを感じるときを思い出す。朝音楽を聴いて口ずさみながらコーヒーを淹れる、夕陽を見ながらあてもなく歩く、夕陽を沈むまでじっと見守る、焚き火の前で取り止めのない話をだらだらする、休日に目覚ましをか

          時間軸 #13

          春の色と霞 #12

          3/17 想像よりも三月の北海道は暖かいらしい。 車のFMラジオからは甲本ヒロトの誕生日特集。ハイロウズやブルーハーツが流れる。なんとも私好みのドライブソング。 車を走らせると広大な大地が広がる。 生えかけの牧草はみどりいろ、耕したてほやほやの土はちゃいろ、溶け残りの雪は少し灰がかったしろいろ、遠くに見えるオホーツク海はまっさお。ぜーんぶ今だけの春の色。都会の何百倍、何万倍もだだっ広いキャンバスに私の大好きな自然の色が所狭しと埋め尽くす。冗談抜きで角を曲がるごとに、わーきゃ

          春の色と霞 #12