マガジンのカバー画像

タクシー(ドライバー:中村)

5
中村さんが運転するタクシーの話
運営しているクリエイター

#短編小説

妄想タクシー 4 真夜中の花屋さん 動物園デート編

妄想タクシー 4 真夜中の花屋さん 動物園デート編

【プロローグ】 それは月もない薄暗い夜のこと、人気のない病院の廊下をひとつの小さな光がふわりふわりと漂いながらある部屋に向かって進んでいた。
 途中、夜間勤務の看護師とすれ違ったもののその光の存在は誰の目に触れる事もなく目的の病室の前までたどり着いた。
 光は閉められた病室のドアの前を二度三度くるくると舞い、ちょっとした合図を送るとドアの隙間を難無く通り抜け、室内に入り込んだ。
 室内は空調が整え

もっとみる
妄想タクシー 2 真夜中の花屋さん

妄想タクシー 2 真夜中の花屋さん

コンコン
ドアを叩く音
誰だろ?こんな時間に
あたしは部屋着のまま
ドアの所まで行って
「はい」
と返事した。
「ナオさん、ですね」
ドアの向こうから
女性の声がする
「あのー、どなたでしょうか?」
「真夜中の花屋をやっています紗妃と申します」
「え? どう言う事? 真夜中の花屋?」
「はい、ナオ様にお花を届けに参りました」
「どういう事ですか?」
「はい、ヒロ様よりお誕生日のお祝いの花束です」

もっとみる