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大学生にオンライン講義をした

大学生に向けて講義をする機会がありました。
私は今大学院生ですが、指導を仰いでいる教授の講義にゲストティーチャーとして登壇させていただきました。

テーマは「スポーツ指導におけるリスクマネジメント」

教育学部ではありませんが、教員志望の学生も多くとっている授業だということで、小学校での体育指導経験、あるいは体育主任としての経験を中心に現場の”リアル”を話してほしいと教授からリクエストを受けました。

講義の概要

まずは現場の事故発生の現状を伝えるところから始めました。

日本スポーツ振興センター学校安全部の資料「体育活動中における事故の傾向について」(上記URL)によると、

平成25年~27年の3年間で部活動を除く学校管理下(体育の授業や行事および休み時間等)に発生した事故の件数は、小中高合わせて600,000件を超える

と報告されています。年間登校日は約200日なので、単純に600日(3年間)で割ると、一日1000件もの事故が発生していることになります。

これは衝撃的な数字ですよね。

これを少しでも減らすために、リスクマネジメントとして「ハインリッヒの法則」を意識していることを紹介しました。

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そして、具体例として最も事故件数の多い「跳び箱」の授業を想定して、実際にリスクマネジメントを考えました。

①対物の事故(指を挟む、落下するなど)
②対人の事故(実施者との接触、授業中のケンカなど)
③体調不良(熱中症、見学者の体調悪化など)
④指導者の監督不行き届き(視野外での事故、体調不良者の見落としなど)
⑤心的ストレス(苦手なことによる心的ストレス、言葉による傷つきなど)

これらが可能性としてあげられる事故やリスクです。そのリスクを排除するために、
①台車で運搬しやすくする。マットの面積を広げる
②実施前後の導線の徹底。次の実施者への合図の確認
③運動量の調整。水分補給や換気
④教員の立ち位置。跳び箱の並べ方の工夫
⑤低い段の設定。日頃の人間関係づくり
など、様々な対策をとって授業に臨んでいることを伝えました。

そして最後に、実際に発生してしまった事故を紹介し、改めてその怖さと指導者の責任を話してまとめとしました。

学生の反応

講義後の授業アンケートでは、学生からさまざまなコメントをもらいました。リスクマネジメントの難しさや重要さ、指導者の責任の重さなどを切実に感じてもらえたようでした。また現職教員が話したということで、より説得力のある言葉として伝わったようです。中でも一番印象的だったコメントが

「学校教員に対する見る目が変わった」

というコメントです。率直に言って、非常にうれしい言葉でした。
何かと厳しい目を向けられている学校教員ですが、大多数はこのようなきめ細やかなリスクマネジメントを日々怠らずに仕事にあたっているということを理解してもらえただけでも、今回私が講義をした甲斐があったと思います。

講義をしてみて

実は私が大学生だったころから、大学で講義をすることが1つの夢でもありました。今回予期しない形でそれが叶ったというのは、とてもうれしく思います。しかし、昨今のコロナ禍で、講義はzoomでのオンライン形式でした。スライドを共有して話すので、講義中は学生の表情がまったく見えない中での講義となり、その点ではやりにくさがあったのも事実です。学生へのメッセージとしてはしっかり届けられたように思いますが、オンライン講義という形式には私自身の対応力を上げる必要性を感じました。今回の貴重な経験をさらに次のパフォーマンスにつなげていけたらと思います。

個人的な感想文でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

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