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記事一覧
2023年に読んだ小説ベスト5
2023年はテキスト主体の本を57冊読み、内55冊が小説でした。55冊中、10冊が再読でありそのほぼ全ては綾辻行人の館シリーズが占めています。再読した小説から1冊選ぶのならば、以前読んだ時から最も振れ幅が大きかった『人形館の殺人』になるでしょう。本記事は残る45冊から選定した小説の感想と紹介になります。ベスト5と題していますが、1年間の私的な体験を総括するにあたり最も適切な5冊という意味であり、
もっとみる20230916記録
・読みました。
・読書用として電子版を、インテリアとしてノベルス版を購入したのですが、うっかり後者で読んでしまいました。右手でキープする分量が増える後半が本当に読みづらく、体験の純度を落とすノイズとなってしまい、反省しています。本当は、初読時はまっすぐに作品を受け取るために電子版で読み、再読ではノベルス版で読んで物質本にインテリアとしての機能を付与するつもりだったんです……。読み直す時は、電子版
20230208記録
・読みました。
・今後の再読に備え、リアルタイムでの初読体験をある程度言葉になおして記録しておくことにします。感想未満の散文的な内容であり、可読性は低いですがご容赦願います。
・当該作品、及び同作者のそれに類する作品のネタバレを多く含みます。
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・「今、自分は戯言シリーズを読んでいる」という、20年前に感じたあの肌触り、手触り、読み心地そのままが、リアルタイムな体験として押し寄せてく
2022年に読んだ小説ベスト5
2022年はプライベートにおいてテキスト主体の書籍を55冊読み、内52冊が小説でした。漫画はカウントができないのでわからないのですが、購入履歴に再読量を見込んだ係数を乗じたとしておそらく500冊程度でしょうか。この記事は52冊から5冊を選んだものとなります。読んだ小説の評価を数値に換算する場合、私はおそらく「好き」「完成度」「おもしろさ」の3軸の評価となるのですが、そういったあまり意味のない処理
もっとみるゴースト・ストーリーを巡る冒険
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飛鳥部勝則が著した『殉教カテリナ車輪』という小説を私が最初に手に取ったのは、2017年のことだった。しばらく間を空けて、2019年に私はその本を読み直し、そこからおよそ2年に渡るゴースト・ストーリーを巡る冒険が始まった。
○○○
刊行順に読むことがおもしろい作家がいる。その作家自身が抱えた、その作家だけのテーマが、時系列順に深化され、寄り道をし、時には失敗をする……その試行錯誤と
2021年に読んだ小説ベスト5
ベスト5とありますが、ベスト5になっていない気がします。無数のおもしろさの軸からなる空間上にプロットされた点群に対して、図抜けた1つを見出すことはできても、順序をつけるのは難しい。ゆえにこれは1年間にわたる体験に生じた偏りを遠くから眺めたようなものです。それは、少ない字数と足りない言葉で1冊の本の感想を書くのと似ています。文字を書く代わりに、本を並べているわけです。書物の形をした語彙を1年貯めた
もっとみるぶちまけたペンキに鋲を打つ
半年ほど前に帰省した時、父の書棚に見覚えのある赤い背表紙を見つけた。父は、半世紀以上SFファンをやっている筋金入りの老人で、年相応の体力の低下から、ここ数年は愛読書の再読ばかりをやっている。新しいものを読むのは疲れるのだと父は言う。浴槽に貯めた人生分のフィクションにゆったりと浸かる……ゆるやかな走馬燈のようなその読書生活を、私は少しうらやましく思っていた。だから、書棚にその本があることには驚いた
もっとみる2020年に読んだ小説ベスト5
読んで字の如しの記事です。1月ももう中旬なのに……去年の話をなぜ……? 本当は正月あたりにやっておくべきなんでしょうけれど、年末年始と1月上旬は労働でそれどころではなかったのでこんなことになりました。許さない。テキスト媒体作品について、2020年は51冊の書籍とニンジャスレイヤー連載分を読みました。私は同タイトルでも分冊されていれば別に数えるので、作品数で言えばもう少し少ないです。週に1冊程度は
もっとみる【小説】言葉の贅肉を吹き払う
最近感想ばかり書いている。noteの記事を埋めるのは、読書体験の言語化ばかり。読んだ本の感想を書くことは好きで、子供の頃からずっと続けている娯楽だ。テキストと自分の脳みその間に発生した複雑な情動を、切り捨て、切り詰めることで輪郭を明確にする行為には、ある種の強烈な快楽が伴う。単に、道具としても有用だ。言語化したものは、容易に扱える。応用し、装填された弾丸のように別の読書の時に懐から取り出して使用
もっとみる【小説】ビロウパズル
新年の小説読書キックスタートは何にしようかと迷って、今、白井智之の連作長編推理小説『お前の彼女は二階で茹で死に』を読んでいるのですが、これがまあ読み始めのめでたさもへったくれもないクソえげついない品性下劣なアレでしてもう最高でこの三連休ずっとゲラゲラ笑う破目になりました。去年読んだ『少女を殺す100の方法』もマーベラスでしたが、これはそれ以上ではないか? というか、白井作品、刊行数を重ねるごとに
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