ランジャタイの意味を知って、どうして、こんな変な感覚になるのだろう?
ランジャタイ、の意味知ってる?
そんなことを妻に聞かれて、その単語が出てきた瞬間に、あの2人の顔が浮かんだ。
それだけで変な気持ちになるのは、それほど笑いに詳しいわけでもないから、そして、自分も、もう若くもないから、彼らをテレビで見て、戸惑うような感覚になるのだけど、でも、この面白さが分からないのは、もう古いと、誰も言わなくても誰かに言われているような気になってしまう。
そんな落ち着かない思いになっているけど、それを妻に伝えるのも変だから、そのまま妻の言うことを聞いていたら、意外な方向に話は向かった。
香りを文章で表現しようとしていた頃
それは、テレビ番組についてだった。
『美の壺』では、様々なジャンルを扱うのだけど、そのときは「香道」についてだったようだ。
そのことを妻が教えてくれたのは、私が以前、香に興味を持っていたことがあったからだろうと思った。
とても無理なことなのだけど、香も文章で表現するにはどうしたらいいのだろう、などと思い、お香の専門店に行って、いつも家の仏壇で使うような時は、白檀で、それから、沈香、さらに伽羅と値段が高くなっていくのはわかった。
それは、どうやら香木と言われるものが含まれていて、その貴重さで高額になっているらしい。
手のひらにのるような小さいサイズの蚊取り線香のようなタイプのお香を購入した。それも、その中では高額だった伽羅で、10巻で5000円だった。その頃の自分にとっても、高額ではあったのだけど、手元で香るようなことをしないと、とても分からないと思って、思い切った。
家に帰って、火をつけた。
どれだけいい香りなのだろう、とその支払った金額のことを考えて期待をしてしまったのだけど、それは自分の中でのいい香りではなかった。妙になつかしい気持ちになったのが不思議だったのだけど、そのなつかしさをたどっていったら、修学旅行まで届いた。
それは東大寺かどこかの、大きなお寺での香りと似ていた。
それが正確な情報かどうか分からないのだけど、でも、納得がいったのは大きなお寺は当然のように予算も潤沢なはずで、そこで使用されている線香も、当然、いいもののはずで、だから、それが伽羅でもおかしくない。
古い建物がイメージされるような、不思議な香りだったし、少しだけ調べると、ベトナムに存在するらしいが、その香木はかなり採り尽くされているらしく、だから、より貴重になっているようなので、今では、もっと高額になっているのかもしれない。
貴重なものほど、言葉で表しにくいような、いろいろな要素があって、その中で「いい香り」をわかるのは、とても無理だと思った。
それだけは分かった気がした。
蘭奢待の意味
ただ、妻がランジャタイの意味について話そうとしたのは、その蘭奢待が香木の名前だったこと。それも、とても貴重で不思議な存在だったことを伝えたいようだった。
蘭奢待(ランジャタイ)という香木があって、それはとても貴重で、今でも、どこかの家宝として保存されている。それは貴重すぎて、実際に使うことはあまりできなくて、切り取ったところに織田信長とか、そういう人たちの名前が入っているらしい。
聞いただけだと、一瞬、何を言っているのかよく分からなかったのは、そんな都市伝説のような、アニメか何かに出てくるような、今までは聞いたことがなかったようなものの説明だったせいだろう。ただ、妻が不思議だ、という気持ちになって、それを伝えようとしてくれているのは分かった気がした。
そんな古いものが、しかも切り取ったら、その人の名前が記録され、それが何百年も実在する、という話自体が、ちょっとフィクションに近いので、こうしてさらに知ったとしても、納得できるような気はしない。
ランジャタイの名前の由来
そんなに熱心にみてきたわけではないから、やはり、何かを言う資格はないのではと思いながらも、あの「ランジャタイ」をテレビなどで見るたびに、今だに妙に落ち着かない気持ちになる。
何をやっているのか分からない。
だけど、ものすごく熱をこめているのはわかる。
時々、すごく面白いような-----気がするときがある。
やはり、見るたびに、これが分からないと思うのは、自分が古くなってしまったからではないか、といった不安や見栄のような気持ちになる。
そして、このランジャタイは、蘭奢待のことを知っていて、その存在の意味なども分かった上で、コンビの名前にしたのだろうか。そんなことを思うと、特に黄色いジャージを着た国崎和也の顔が浮かび、なんというか、本人たちに聞いても、そのことは分かるわけがないのでは、という思いになる。
同時に、これまで自分自身が、その名前の由来について調べようともしなかったのも、なんだか不思議だったけど、そうしたことまで知りたくないような気持ちにもなっていたのかもしれない。
ただ、昔のメディアではこんなに素直に話していた。しかも、現在の視聴者としてのイメージと違って、おとなしそうに見える伊藤幸司が積極的だった。
これを読むと、香木というよりも、天下とりの証してのランジャタイ、という名前にしたらしい。最初は隠していた、といったことや、相方の国崎ですら4年後に知らされた、といっているのだけど、その名前の由来に国崎がそれほどの興味を持たなかったあたりも、なんとなく今に通じているような気がする。
こうしてランジャタイは、本人たちが、その本来の意味を知った上でつけたのが分かると、なぜか、妙に少し安心もするのだけど、でも、現在のランジャタイに、このことを改めて聞いたら、答えなかったり、もしくは「響きだけ」といった当初の答えに戻っているような気もする。
変な感覚
蘭奢待という香木の話を妻から聞いたときに、実在するのだろうか、といった気持ちと、本当だとしても奇妙な話ではないか、といった、どこにも落ち着かないような感覚があった。
その変な感覚は、ランジャタイの姿を見たときの、あの名付けようのない感覚と、もしかしたらちょっと似ているような気もするから、偶然だとしても、実は思った以上に的確な名前なのかもしれない。
バラエティ番組の中で、とても短い時間なのだけどコントをして、そこにランジャタイが登場し、何かやりそうだと思っていて、そんなことを思ってしまう視聴者としての自分にも微妙な嫌悪感がわいてくるのだけど、やはり、国崎はコント中にバリカンを使って、自分の髪を刈り始めて、ちょっと痛々しい髪型になっていた。
その後も、コントが終わっているのに、MCのオードリーやハライチと話をしながら、バリカンで髪を刈り続けて、それに対してまたツッコミを受けていて、その姿を見て、落ち着かない気持ちになる。
貴重という意味でも、ランジャタイという名前は合っているのかもしれない、などというと、今度は、香道の関係者の方から、何か言われてしまうのだろうか。
今も直接、ランジャタイの映像などに接しているわけではないのに、色々想像して、そんなどこまでも落ち着かないような、妙な気持ちになるのは、やっぱりすごいことなのだろうか。
ただ、ずっとそんな感覚でい続けるのは、ちょっと辛そうだと、思った。
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