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外食産業時間⑤「ガスト」。2009.12.7.

    昔のことですみませんが、2009年12月7日のことです。

 その頃、いわゆる「ファーストフード」に入店して、食事をしてから、店を出るまで、いつも、自分がただ食べているだけで、その時間にどんなことが見えたり、聞こえたりしたのか、を覚えていないと思って、その時のことを記録しようと思いました。

   どこにも発表したこともなかったので、そんなに意味はないかもしれませんが、同じ日付けの時に、読んでもらえたら、と思って、お伝えしようと始めました(リンクあり)。 

 「外食産業」のありかたが、すっかり変わってしまったコロナ禍の現在(リンクあり)だと、また違うことを感じられるかも、とも思っています。

 不定期ですが、この「外食産業時間」のシリーズは、何回か続けさせてもらう予定です。よろしくおねがいします。

〈今回も、近所のため、すみませんが、東京都大田区内某所とさせてもらいました。この場所は、少し前までバーミヤンでした(リンクあり)〉。

2009年12月7日。

 午後1時15分に妻と待ち合わせて、駅の改札で会った。そのまま「ガスト」へ入る。駅から1分とかからない。ちょっと前まで「バーミヤン」だった。店に入った瞬間に明るく感じる。仕切りにガラスが多くなったせいか。外のガラスのシール部分が少なくなったせいか。

 妻も、まず「明るくなった」と言っていた。Tカードも使えるのが入口で分かり、この前、あわてて使わなくても、と思い、こうやって使って、そして自分の消費行動が全部、把握されているんだ、と思い、そのTカードの契約を隅々まで読んでいないけど、何かしらに使われているのだろう、とも思った。ただで割引してくれるわけはない。

店のレイアウトの変化

 以前ここにあった「バーミヤン」には、何度も来ていたから、「ガスト」になった変化は気になる。

 厨房への入口が広くなったように感じたが、妻は違うと言い、そこではなくドリンクバーの机の配置が変わって、入口から席への通路が広くなった、と入り口付近で、そんな話をしていたのは、ソファーで待っている時だった。

 先に一人が待っていて、そして、満席で喫煙席ならばご用意できますが、といわれ、でも、禁煙席を希望しているので空かず、待つことにした。あとから来る客にも、同じ質問をし、その人が喫煙席でも、と言うと、こちらへ店員さんが向いて、申し訳ございません、と待っている何人かにずっと同じ言葉を繰り返して、その人を先に案内していた。

 店員と知り合いのように、「大入り満員じゃん」と声をかける赤いジャンパーの高齢女性がいる。昨日、グランドオープンで、そして、確かに店全体に明らかに活気がある。ケータイをかけながら出ていく客がいた。次々と客が会計に来て、支払いをすませて出ていく。ギャル風の若い2人連れの女性もいる。

新しい客席

 私たちを含めて、5人の客が待っている。午後1時27分に、おまたせいたしました、と案内される。入口からすぐに左に曲がった席は、昔は喫煙席だった。そこが禁煙席になった代わりに、喫煙席が広くなり、テーブルといすが動く席のほとんどが喫煙の席になった。義母を車いすでつれてきたときに、よく座っていた席も喫煙席になっている。なんだか微妙な変化。

 案内してくれた店員さんが、今日の日替わりは3番でございます、と言って去っていった。和定食も、洋定食(今は言わなくなってきたかも)も、ハンバーグだった。入口に、その表示があったのに気がつかなかった。基本的にはいすやテーブルやソファーの配置はいっしょだけど、「バーミヤン」の時と、壁紙などの表面は張り替えている。午後1時30分にベルを押して店員さんを呼んで、ランチを2種類頼んで、一つをライスからライ麦パンにしてもらう。

細かい変化

 ランプも違う。たぶん、他にもいろいろと細かい違いがあるのだろうけど、それを全部発見する前に、新しい「ガスト」になじんでいき、「バーミヤン」の時のことは忘れていくのだろう、などと場違いなことを思った。妻は手を洗ってくる、とトイレに立った。もちろん、トイレの場所は、店の一番奥で、変わらない。

 周りの人を見て、「バーミヤン」の時と同じ店員さんはいるのだろうか。それとも全部、違うんだろうか。すぐそばの喫煙席の仕切りとなっている濃い茶色い壁に、灰皿を縦に並べるスペースがミゾみたいになっていて、それがなんだかカッコイイような気がした。

 女性店員が、他の席の食器類を下げて歩いて行ったあとに、ふわっと薄いビニール袋が落ちた。私が、立ち上がれば拾える、と思った時に、男性店員がそれを拾った。その人は、「バーミヤン」の時に店長っぽく見える人だった。妻と私の会話では「店長」だった。

 メニューに和定食がある、という話をこの建物の1階の八百屋の若奥さん(古い表現だけど、違う言い方が分からない)に教えてもらったのを思い出し、メニューを見ていると、お好み和膳、というのが義母によさそうだ、とか、ここにはマグロのたたき丼とかもあるんだ、でも、1ページしかないし、何回か来ると飽きるかも、何しろ、ここにはラーメンがないから、などと思ったけれど、実際に九十歳を超えた義母といっしょに来ると、スパゲッチーが食べたい、と言うかもしれない。

 そんなことを考えていると、妻が帰ってきて、トイレにおしめを代える台がついた、ウォシュレットになった、ペーパータオルでなく温風の機械になった、とかわったところを教えてくれた。鏡も照明が明るくなった、でも、そのぶん映りがよくなって、リアルになって、がっかりするかもしれない、と言った。妻との会話でさっきの人が、やっぱり「バーミヤン」の「店長」と呼んでいた人だったと確認できた。

 ドリンクバーに行くと、そこは、すっかり変わっていた。自分では飲まないのにハーブティーがあると、変わった感じがして、コーヒーの種類も増えて、キャラメルマキアートという文字も見つけた。スターバックスでは一度は頼もうと思いつつ、実際には「ラテ」と注文してしまうので、ここで飲めるようになった、とその文字で喜んでしまった。

 壁には、観葉植物らしきものがある。窓辺にも植物が置いてある。ソファーも壁も、薄い色になったせいで明るく感じるのかもしれない、とまた思い、トイレに行った時に、男子用は確かに鏡も明るくなったような気がしたし、手洗いを乾かす機械が温風になっていたけど、違いがあまり分からなかった。ウォシュレットを使うと実感するのかもしれない。

食事の時間

 午後1時43分に頼んだ食事が来た。
 食べていると、高齢者の男性2人がすぐそばの禁煙席まで、一人はつえをついてゆっくりと歩いてきた。この日では、二人とも高齢者は私は初めて見た。

 店内を見渡して、まだ明るく感じるのは、単純に今日が晴れて天気がいいせいかもしれないけれど、昨日、「バーミヤン」から「ガスト」になって「グランドオープン」(というのは、午前7時から夜中の2時までの営業時間のことらしく、その数日前から、もう少し短い時間ですでにあいていたみたいだった)したばかりだから、私たちもそうだけど、物珍しくて人が多くきて、その活気のせいでよけいに明るく思えるのかもしれない。

 妻と話しながら、午後2時には食事を食べ終わった。
 まだけっこう満席に思える。
 あちこちの席から話し声が聞こえてきて、途切れない感じもする。
 この席から、喫煙席の窓際のすみの席に、「バーミヤン」の時は、ほとんど見たことがなかった「ギャル風」の若い女性がいる。
 スープバーのスープは、妻はおいしいと言っていた。「ガスト」では、あたりの日やはずれの日がやっぱりあるのだろうか。まだ始まったばかりだから、あたりの日が続きそうだけど。

 高齢者の2人連れのところに和風御膳が来た。一人はライス少なめ、と注文していたみたいだ。

デザートの時間

 妻がドリンクを持ってきてくれて、私にはキャラメルマキアート。妻は、バニラオーレ、だった。1台の機械で、そうしたバリエーションがあるらしい。そのバニラオーレがあることに、さっきは気がつかなかったから、ちょっとうれしい。

 午後2時10分頃、キャラメルマキアートを飲んだので、今度はコーヒーを飲もうとドリンクバーに来たら、会計のところにいる支配人風の中年男性が、ちょっと遠いところにいる女性店員に「忘れもの」と声をかけている。ちょっとぴりぴりした空気がこちらまで伝わる。何かと思ったら、どうやら「忘れもの」に対する対応みたいなものを、レジの下の引き出しからファイルを出して話している。聞いている女性店員が緊張しているのが分かる。

 席に戻ると、まだ食器があった。デザートセットを頼んでいて、まだ来ていていないので呼ぶボタンを押すと、その瞬間、ただいままいります、と複数の声が同時にする。このボタンは少し古く、もしかしたら、これは「バーミヤン」の時の生き残りかも、などと思う。

 店員さんがすぐに来て、食器を片付け、デザートを持ってきてもらえますか?と頼んだら、3分後には来た。ごゆっくりどうぞ。妻はミニヨーグルト。私はミニチョコバナナケーキ。机の上にはフォークやナイフが入ったカフォオレ色の細長い箱があるが、それよりも短い箱を持ってきてくれて、そこには小さいフォークだけが入っていた。あちこちで、店員さんが、実はかなりのスピードの小走りで移動しているのが目に入る。

会計の時間

 午後2時25分。小学生くらいの男の子2人が私たちの席の奥、店の角の席に座る。高齢者の2人連れの隣で、何か話しかけられたらしく、「今日は、三者面談で早いんです」などと答えていた。午後のこの時間に小学生がいるなんて、という疑いに近い質問をされたのかもしれない。

 私と妻は、さらに、いろいろと話をして、時間が過ぎていった。
 午後2時50分にコーヒーのところに行ったら、機械がとまっていた。カスを捨ててください、というデジタルな文字が見えて、こういうところは同じなんだ、などと思う。
 午後3時5分。そろそろ帰ろうと立つ。ゆっくりできた。
 会計の時の、スタッフの声がすごく大きいと思った。



(他にもいろいろと書いています↓。読んでいただければ、うれしいです)。


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