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「筋トレ」との付き合い方の難しさ

 ほとんど運動をしないけれど、筋トレだけは続いている。

 それは、介護中に腰を痛め、これではダメだと思って始めて、足腰と、さらには、握力も必要になるのでグリップも購入した。そのおかげもあったのか、19年間の介護生活もなんとか乗り切った。


筋トレの方法の変化

 介護が終わって、昼夜逆転の生活のリズムを修正するために思ったよりも時間がかかり、そのうちにコロナ禍になってしまい、いろいろな混乱と、そして、何か新しいことを始めようとしてもできない中で、それまでと同様に筋トレだけは続けていた。

 外出もできなかったり、介護の生活を続けていく中で、以前からその傾向があったかもしれないけれど、より出不精になってしまったので、他に体を動かす機会がほとんどなく、だから、今度は健康の維持のために筋トレを続けている。

 それほど本格的ではなく、家の片隅で地道に続けているけれど、習慣になったのだと思うが、その継続のためには、やはり自分が飽きないようにすることで、だから、時々、雑誌を買ったり、テレビなどや、最近は動画などでも、新しいトレーニングの方法が紹介されているから、それに触れて、よさそうだと思った方法を試している。

 そして、ここのところでは、ゆっくりトレーニングをすることで負荷を上げ、自体重トレでも筋力アップが可能なことが分かったこと。さらには、メディアで、かなりの高年齢になっても、重めの負荷をかけても大丈夫なことも知るようになった。

 だから、そういう本格的に鍛え続けている人ほどのトレーニングはできないとしても、これから年齢を重ねたとしても続けていれば、ある程度の筋トレは可能のようだ、ということがわかると、ちょっとだけ未来が明るくなるような気がしている。

負荷を上げる

 ベンチの取っ手をつかんで、肩までで体を支えて、上半身をほぼ垂直にあげたあと、そこからゆっくりと体をそらせながら、足を下げていく。

 そんな腹筋にかなりの負荷をかけるトレーニングをどこかで見て、そして、それが年齢的にも若くない人が行なっているのを見て、あれだけできるのかと感心もして、うちにはベンチのないので同じことは出来ないけれど、少なくともなるべく足を高く上げて、そこからゆっくり足を下げて、床ギリギリまで動かして、浮かしたまましばらく止めて、また足をあげて、再び足をゆっくり下げる。

 その繰り返しを試してみたら、明らかに腹筋にかかる負荷は高く、少し痛みが出るくらいだった。だけど、明らかに効果は高さそうなので、それを20回行なってみる。

 その翌日の水曜日。ゆっくり行うスクワットが習慣になってから、少しだけ太ももの外側に筋肉が太くなり歩くときの安定感が少し蘇っていたのだけど、このところ、少し細くなったような気がしていたので、スクワットでヒザを曲げて体を沈めていく速度をよりゆっくりにして、ヒザが90度くらいになったときにいったん止めるのだけど、その時間も少し長めにし、それに加えて、その回数もいつもよりも増やした。

 太ももも、尻もちょっと痛かった。だけど、それは効果が上がるしるしのような気がして、それほど嫌な気持ちではなかった。効いてる、効いてる、みたいな感じだから、自分もちょっとマッチョな思想に染まっているのかもしれない。

腰痛

 この日は、そろそろ米びつが空になっていたので、お米を買いに行こうとしていた。

 妻と相談の上、これから季節は暖かくなってくるので無洗米でない10キロの白米にして、それは隣町のスーパーが、おそらく一番安いから、ということだからだ。

 それで、自転車に乗って出かけることにする。ご近所の方からいただいた自転車で、さらにサドルに妻がカバーをかけてくれていた。それに、自分たちでステッカーを貼ったバイク用のヘルメットをかぶって、こぎ出したら、その瞬間に尻の部分に痛みが走った。

 だけど、痛みはそれほど強くなくて、何しろ今日は買い物があるから、というので、隣町のスーパーに行き、駐輪場に自転車を止めて歩き出した頃は、腰まで痛くなっていた。

 声には出さないけれど、心の中で「いたたたた」と言いながら、前屈みになって歩く。一気に歳をとったような気持ちだけど、何しろ、痛いけれど買い物があるし、10キロの米は重くてちょっと辛かったけれど、必要なものを購入して帰って来られた。

 妻には心配をされた。

腰痛への対応

 時々、腰は痛くなる。

 最初は、介護を始めた頃で、ほとんど運動もしていない頃で、整形外科に行った。牽引をして、湿布を貼った。少しずつ良くなった。リハビリの担当の人に腹筋の仕方を教えてもらい、考えたら、その時に「下げるときにゆっくり」と教えてくれたから、最近、取り組んでいる「ゆっくりする筋トレの方法」を、そのリハビリの担当者は、すでに知っていたことになる。

 その頃から筋トレを始めて、時々、雑誌などで新しい方法を知り、ただ、自分も歳をとっていくから、それも考えなくてはいけないけれど、どうしてもストレッチングを怠りがちになり、これまでにも腹筋と背筋のバランスを崩して、腹筋(正確にはわからないけれど)に引っ張られて、骨盤が後傾し、それで腰が痛くなる。

 といったどこで知ったかわからない不確かな知識をもとに、腰痛のたびに、足をつかんで後ろに引っ張り、腹筋や太ももの前面を伸ばすようにしたら、痛みが和らぐことが多かった。

 その記憶があったので、そういえば、昨日の午後に背筋のメニューは入れたけれど、さらに夜に腹筋を強めにしたのに、もう一度背筋を動かすことをしていなかった、と思い、まずはつま先をつかんで、後ろへ引っ張る。

 伸びない、というよりも、腹筋が固まっている感じなのはわかる。

 それに痛い。

 また立ち上がったけれど、痛くて前屈みで、歩き方も完全に高齢者になっている。

 もう少し腹筋が伸びればいいのかも、と思い、今度は床にうつ伏せになって、(この姿勢になっていくまでに痛いが)、両手両足を伸ばす。

 その姿勢から、左手と右足をそらすように上げようとする。痛い。ぐえ、みたいな声が出てしまう。しかも、ほとんど上がっていないのがわかる。だけど、なんとかしないと、と思って、次は、右手と左足をそらすように上げようとする。ぐお。みたいな声が漏れる。しかも、ほとんど動いていない。

 だけど、痛くて、ぐげげ、みたいな声を出しながら、その背筋の運動を繰り返す。30回を超える頃から、少し動くようになってきたのがわかる。

 それで60回くらいをして、終わる。

 立ち上がったときに、ちょっと痛みが減ったような、前屈みの度合いが減ったように思えた。

 ちょっと痛みも和らいだ気がして、夜中に眠る前に、いつものように寝る前のストレッチングをした。あおむけになり、足を組むようにして、体を丸めるように引っ張る。腰などが伸びる。最初は左足を上にして、その後に、右足を上に組むようにして、引っ張る。

 腹筋の右側の部分が、つりそうになった。

 そこだけ、本当に硬くなる。それが怖いほどで、すでに痛みがきて、これでほんとうに筋肉がつったら、どれだけ痛いのだろうと怖くなって、うつ伏せになって、右足の足首をつかんで、何しろ、体の前面を伸ばすようにする。同時に片方の手で、腹筋をほぐす。固い。

 必死だった。

 しばらくそれを続けて、なんとか、つらないで、すんだ。

 少しホッとした。

腰痛2日目

 次の日は木曜日。

 今日は出かけないといけない。

 いつものカバンではなく、少し小さいものにして、少しでも負担を減らそうとするけれど、改めて中身を見ると、どうしてこんなに重いのだろうと思いながら、そこにさらにペットボトルを2本入れる。

 それはのどが渇くことへの怖さというか、声も出にくくなるのではないか、といった気持ちがあるので、つい持ってしまうせいだろうけれど、それでさらに重くなる。

 カバンを持つときに、ぐっと腰が痛くなる。だけど、妻が心配するので、その痛みを外に出さないようにする。ただ、駅まで歩いていくと、そして、少しずつ歩幅を広くして、ゆっくり目の歩調にすると、なんとなく背筋が伸びるような感触が広がってきて、ちょっと気持ちがよく、だんだん腰痛も改善してくるような気がする。

 もう治るのではないか、などと思ったりもしたが、電車などで座ると、立つときに痛い。

 前屈みで歩くことになる。歩いていると、少しずつ背筋が伸びてくる。

 こういうとき、よくあることなのだろうけど、類人猿から人間への進化の図がイメージされる。ただ、最初にロボットのアシモが出てきたときにも、腰をかばうような歩きかたをしていたから、ああいう姿を見ると、直立二足歩行が腰に負担をかけていることを改めて感じるし、こうして腰を痛めると、他に歩く人を見て、あんなに細くて支えているから大変ではなどと考えたりもする。

 それでも、やることがあるときは、腰のことは意識しなかった。そのせいか痛みを感じなかったけれど、座っていて立ち上がると、やっぱり痛い。ただ周囲に人がいるときは、痛くないような感じで振る舞おうとするが、敏感な人には気がつかれると思う。

 歩くときは、最初は前屈みで歩いて、しばらく歩くと、背筋が真っ直ぐになっていく。

 家になんとか無事に帰ってきて、筋トレをするのは習慣になっているので、痛くないところ、ふくらはぎのトレーニングをして、そのあと、やはり、うつ伏せになり、右腕と左足。左腕と右足。それを交互に上げる背筋を鍛える動きをするが、やはり、最初はかなり痛くて、抑えようとしても、うげ、おご、みたいな声を出してしまい、だけど、だんだん動けるようになるのがとちょっと気持ちが良くて、60回くらいはしてしまった。

 寝るときも、腹筋がつるような感じからは、少し遠くなる。

 尻の部分は当日から痛かった。だから、もしかしたら軽い肉離れかもしれない。普通だったら、そんなことはないけれど、それだけ歳をとった、ということなのだろう。さらに、腹筋をやりすぎて、縮みすぎている、という状態になって、腰が痛くなったのかもしれない、などと思う。

 同じことを若い時にしても、たぶん、大丈夫だったはずだから、それは仕方がないのだけど、もやもやする。

回復

 水曜日に腰が痛くなり、それから、木、金、土と3日が経ち、日曜日になったときには、ほぼ痛みがなくなる。ちょっと安心する。

 歩くときも、通常の直立二足歩行に戻ったようだ。だけど、尻が痛い。それも下の部分が痛くて、最初は肉離れだったのが、今度は筋肉痛になったのだろうか。そのあたりは分からないけれど、体の調子が悪い時ほど、自分の体に意識が向く。

 月曜日。腰が痛くなってから、5日が経って、痛みがなくなってきたから、少しスクワットをすることにする。足が衰えるのが怖くて、ゆっくりと下げて上げる動きを繰り返す。

 いつもは30回なのを15回にする。

 火曜日。腰が痛くなってから、ほぼ1週間が経つ。

 腕立てや腹筋や背筋、スクワットなど、いつもしている筋トレを負荷を下げて、一通りしてみた。

 痛くない。ありがたい。

 回復はしてきた。だけど、いつの間にか、かなりマッチョな思考になっていることに、ちょっと気持ちの中で苦笑いするような思いになる。

 介護をしているときに腰を痛めて再開した筋トレだったけれど、(学生のときはサッカー部にいたので、筋トレはした経験があった)家でできるメニューで、自体重トレーニングだけに限られていて、腕立て用のグリップなどは購入したが、最低限の環境でおこなっているので、ジムに通っている人に比べたら、全然軽いとは思うけれど、それでも、細々とながら20年くらい続けて、雑誌などでその時々のトレーニング理論のようなものが変化しているのが、なんだか面白くて、少し取り入れて続けてきたから、こうしたレベルであっても、完全に休んでしまうことがちょっと怖くなっているようだった。

ベテランのアスリートの鍛え方

 夜中に再放送で、自分が見たことがないような世界に触れることがある。

 パリ五輪の新競技ブレイキン。メダルの期待がかかるのがAYUMI(39)、数々の国際大会で優勝するトップダンサーだ。全日本選手権に挑んだ日々に密着。 DJの音楽に合わせて即興で踊る1対1のバトル!パリ五輪の新競技ブレイキン。注目の一人が、世界のトップ選手として君臨するAYUMI。武器は創造性豊かなオリジナルダンス。「雑巾」「坂田ロック」「アーイン」と名付けた技で唯一無二のダンスを披露する。だが長年酷使してきた体は故障が絶えない。41歳で迎えるパリ五輪、AYUMIは代表選考につながる全日本選手権で、自らの人生をダンスで表現しようと壮絶な戦いに挑む

(『NHK』より)

 このときは、「ブレイキン」というダンスのアスリートのドキュメンタリーだった。それは、1対1で、お互いの目の前でダンスをして、それを競い合う、という、印象としては言葉で戦うラップバトルに近くて、その技術の高さだけではなく、オリジナリティが大事になってくるようだ。

 初めて見た競技だったのだけど、魅力的に思えた。短い時間で決着がつくのも、現代的だった。そして、全くの素人が見ても、それぞれの選手のあり方の違いがわかりやすいようにさえ、思えた。

 ベテランである「AYUMI」は技術もそうだが、技のオリジナリティが優れている、といった内容だったけれど、オリンピック競技になったことで急に注目度が高くなり、だから、私のようなそれほど情報に強くない人間にまで届いたのだと思う。

 失礼ながら、全く知らない競技で、全く知らないアスリートだったのだけど、AYUMIは40近くになっているから、長く競技を続けてきて、そして、アスリートは若いダンサーが次々と現れるのに、その中でトップレベルを維持している。それだけですごいのはわかるように思うし、そのダンスの姿も含めて魅力的に思えた。

 ベテランになるほど、いくらでも練習をしたいだろうし、トレーニングも積みたいのだろうけれど、年齢を重ねるとアスリートであっても、それだけではかえって故障の原因になったりしてくるようだ。

 だから、自分自身で1日の練習時間を(これまでより短めに)決めたり、休むときをつくったり、と工夫しているのを知ると、こうしたトップレベルの人と比べるのは失礼だけど、私自身も、いつまでも負荷を上げようとしたり、量を増やそうとするのではなくて、いかに体を休ませるか。言葉をかえれば、歳をとっていくと体は弱く、もろくなっていくのだから、大事に扱う、ということが重要になってくるのだろう。

 テレビ画面を通して、にすぎないけれど、ベテランアスリートの慎重で冷静なトレーニングとの向き合いかたは、より精神的な強さも感じられたし、やっぱりすごいと思えた。

 ものすごくわずかででも、こうしたことも参考にして、長く生きて、なるべく健康でいるために筋トレを続けていこうと思えた。

 平凡な一般人としては、それが、おそらくは最高の目標になるはずだ。

ケガをしないことの重要性

 格闘技医学、という耳慣れない言葉を聞いて、本を読んでみたら、格闘技は常に相手と戦っているのだから、どれだけ人間を理解しているか。人間の体も含めてわかっているか、といったことが、どれだけ重要かが、これだけ無知だった人間にも伝わってくる。

 そして、相手を壊しあうことの怖さや、だから、どうやって守るか、といったことも、本当に冷静に考えていかないとダメなのだといったことを思うと、強いアスリートがどれだけ試行しているかも、少し想像できる。

 競技における最大の才能とは何でしょうか?(中略)
 格闘技医学的な側面からいえば「致命的な怪我をしないこと」こそ最大の才能だといえます。メジャーリーグで大活躍するイチロー選手は、怪我をしないことでも有名です。

(『Dr.Fの格闘医学』より)

 当然のことかもしれないが、改めて本当にそうだと思える。

 そういえば、少し前の話になってしまうが、サッカーの中田英寿も怪我が少なかった。体を鍛えることもしていたのは前提だろうし、元の強さもあるかもしれないけれど、ゲーム中に反則で倒されるときも、自らジャンプをし、蹴られた箇所などの負荷を下げるようにし、必ず両手をあげて、倒れていたように見えた。

 それは、どんな時も怪我を防ぐための工夫に見えたし、ずっとそれを徹底することでも怪我を減らしていたところにプロフェショナルな姿勢を感じていた。

 
 そんなことまでを思い出し、そうした偉大なアスリートと比べることは、やっぱり失礼だけど、自分自身も歳を重ねるごとに、いかに体を痛めないかが、とても大事になってくるし、それこそ、生活全てがケガをしないこと、に関わってくるかと思うと、かなりチャレンジングな事だと改めて思った。

 体に負担をかけないと筋肉は発達しないし、九十歳を超えても筋力はアップするという研究もあるから、トレーニングはしたほうがいいとは思うけれど、同時に、十分に休ませたり、より体を大事にする、という繊細な作業も、これからはどんどん必要になっていくのだろう。


 そう想像すると、そうした緻密さがない自分には荷が重い気もするが、そうしないと、また腰を痛めてしまったりするから、まずは痛めないように鍛えることを、目標にしたいと思います。



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