土脉潤起‥つちのしょううるおいおこる
『土脉潤起‥つちのしょううるおいおこる』
2月19日から23日頃
二十四節気では「雨水」となり、降っていた雪が雨に変わる‥この時期。
「土脉潤起」とあるように
暦の上では寒さも緩み大地が潤い立つ頃なのですが実際は大雪が降ったりすることも多く
現にこの記事を書いている今日(2月17日)の朝もカーテンを開けるとそこは白銀の世界でした。
毎朝なかなかベッドから抜け出せず重たい目蓋と格闘しながらのスヌーズスヌーズスヌーズ。
そして何回目かの二度寝三度寝の後
さすがに起きなきゃと自分を奮い立たせ起きるのが日課となっています。
立春を過ぎてからの寒さを表す言葉に「春寒」「余寒」といった季語がありますが
吹く風も冷たくコタツにすっぽり埋もれながらまだまだ冬籠もりしていたいわたしにはこちらの言葉の方がしっくりきたりするのです。
「雨水」といえば
この時期に雛人形を出すと良縁に恵まれるという言い伝えがあります。
「灯りをつけましょぼんぼりに
お花をあげましょ桃の花」
子どもの頃歌いながら母とひとつひとつ飾ったお雛様。
綺麗だね‥と明るいうちは嬉しくていつまでも眺めていたのに、夜になると怖くて怖くてその部屋に入れなかったことを思い出します。
雛人形をしまう時の条件として
「できるだけ湿気の少ない晴れた日に‥」とあるのですが、例年なかなか自分の休日と晴れの日が合わずしまうタイミングを逃していました。
今回調べていく中で知ったのですが、そんな時はお雛様を後ろ向きにさせておく‥という方法もあるようです。
そんな裏技があるんですね‥。
ご存知でしたか?
さて、この時期に降る雨には
甘雨(かんう)、慈雨(じう)、催花雨(さいかう)など恵みの雨のように草木や花が育つのを待っているかのような雨の呼び名があります。
同じ空から降る雨なのに呼び方ひとつで印象が変わる‥ それもまた日本語の魅力ですよね。
元々、わたしが七十二候を深く勉強したいと思うようになったきっかけはそんな日本語の美しさへの興味からでした。
季語や色の名前雨や雪、風や空にもたくさんの名前があり知れば知るほど奥深く‥もっと多くの言葉を知りたい‥
そして行き着いた先が今この場所でした。
たとえば「春めく」
文字だけ見ればそこにあるたった一言なのに、その言葉から一瞬であたたかな風や小さな春の足音、微かな気配が聞こえてくるようで
それだけで心が浮き立ちわたしの目の前にはやわらかな春色が広がるのです。
そんな風にどの言葉も強いパワーを秘めている。日本語にはそんな力がありますよね。
そして日本の良さを再認識していく中、外せないものとして伝統色もそのひとつではないでしょうか。
古くから伝わるその色は花や草木、空や生き物自然の中の微妙な色の違いを見分け名付けられたもの。
子どもの頃、赤、青、黄、緑、白茶黒‥等々。12色のクレパスだけが幼いわたしの世界のすべての色でした。
でも赤系の色ひとつとっても「桜色」、「灰桜」「紅緋」「苺色」「紅葉色」など‥覚えきれないほどの数ある「和の色」。
その魅力はわたしが語るまでもなく多くの人を魅了し続けているのです。
最近は以前より図書館に通う頻度も増え
館内の本を眺めながら歩いているといつの間にか両手いっぱいに本を抱えていたりします。
それらの多くは七十二候やエッセイ、万葉集の類のものだったり‥。美しい色を扱った書物であったり。
借りた本をバッグに掲げひとり歩く図書館からの帰り道‥。
木々のざわめき、子供たちの遊ぶ声
枯れ葉の踊る公園、見上げた空の青。
子供の頃から図書館や図書室が大好きで、憩いの時間でした。そして今もなお、本に触れる喜びを持ち続けていられることをとても嬉しく感じてるのです。
あおさんの素敵なphotoと共に‥。
読んでいただきありがとうございます。
土脉潤起‥つちのしょううるおいおこる
冷たい雪が春の雨にかわり大地に潤いを与える時季。
photograph‥あお
writer‥るん
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