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女性【正社員】の賃金は、男性【正社員】の約7割

「男性と女性の賃金には格差があり、女性の賃金は男性よりも安い」
──このように書くと、
「女性は非正規労働者が多いんだから、男性よりも賃金が安くて当然でしょう?」と言う人がいます。

ところが、女性【正社員】の賃金は、男性【正社員】の賃金の約7割というデータが出ました。


上場企業は、女性正社員の賃金は男性の7割程度

つい9月に報道されたデータです。

上場企業の正社員賃金、女性は男性の7割どまり…格差の原因は?

「上場企業で働く女性正社員の賃金は男性正社員の71・7%にとどまることが、東京商工リサーチの調査で判明した。(中略)いずれの企業も入社年次や職務・業務が同じなら男女間の賃金格差はないとしている」

※ちなみに、上場企業は2023年3月期から、女性活躍推進法等に基づき 「男女賃金差異」 「女性管理職比率」などを有報に記載することが求められています。

男女の賃金差、最も大きかったのは「ファナック」「日本航空」

「産業別でみると、賃金差異が最も小さかったのは「運輸・情報通信業」で75.0%。逆に最も大きかったのは「金融・保険業」で63.6%だった。また、女性管理職比率が最も高いのは「サービス業」、最も低いのは「建設業」となった。」

日本航空は、パイロットとCAの給与格差が大きいと想像されます。

日本全体で見ても、女性正社員の賃金は男性正社員の賃金より低い

それでは、上場企業ではなく中小企業も含めた、一般企業に勤める男女正社員の比較を見てみましょう。

※同調査の賃金は平均値です

20歳代後半から男女の正社員同士で賃金に差が付きはじめ、
30歳代前半では、男性正社員の平均は301.6万円なのに対して女性正社員は263.8万円と40万円の差、
40歳代前半では、男性正社員は370.7万円なのに対し、女性正社員は294.2万円と76万円の差が付いています。
50歳代に関してはもう…。

なぜこういうことが起きるのでしょうか?

理由① 女性が低収入とされる業界・職種に進むことが多い

例えば、
・保育
・介護
・サービス産業
・事務職
これらは、一般的に賃金が低いうえに女性が多い業界・職種です。特に事務職は、長時間労働やきつい肉体労働から逃れられることから選ぶ女性が多いのですが、賃金が安い。

日本では「きつい仕事や拘束がある仕事に高い昇給率・昇進を与える」という習慣が残っているにも関わらず、女性自身がこういう働き方を望まないため、かえって女性の自立を妨げるという悪循環に陥っています。

つまりどういうことでしょうか?

男性はエンジニアや営業など、比較的給料の高い仕事に就いてバンバン稼ぐわけですが、そうした仕事は長時間労働や転勤が前提になっています。

すると、どうしても配偶者の女性が家事・育児をメインで負担せざるを得なくなる。
結婚・出産を経た女性は負担の少ない仕事を選ばざるを得ない環境に置かれたり、周囲の配慮で負担を軽くされたり、あるいは自ら負担が少ない仕事を選んだりして、結果として給料の高い職務からは外されていきます。

日本の女性は、マミートラックにはまりがちという悲しい現実があります。

男性は男性で、女性の稼ぎでは足りないから頑張る必要がある(頑張るしかない)。
男性が仕事に全力投球できるよう、女性はますますサポートに徹する。
繰り返しの悪循環。
そして、女性は正社員を辞めていくのです。

多くの日本企業は
・残業は当たり前、長時間労働も文句言わない社員。転勤もできる社員。
→兵卒(昇進あり)

・病気などで長時間働けない人
・育児中などで同上
・介護中などで同上
・体力なくて同上
→傷病兵(戦力外)

という感じで、人材を0か100かでしか見ていないように感じます。
しかし、もう2023年。どの業界も人材不足です。

100%フルスロットルで働ける人ばかりではないのですから、30の人も50の人も働ける組織を作るべきではないでしょうか。

理由② 女性の管理職が少ない

周知の通り、日本は管理職における女性比率が極めて少ないです。

企業の女性管理職の割合12.7% 厚労省「国際的には低い水準」

「厚生労働省が行った調査で、企業の課長級以上の管理職に占める女性の割合は昨年度12.7%で、現在の方法で調査を始めて以来、最も高くなりましたが、前の年に比べて0.4ポイントの上昇にとどまりました。(中略)13年前から2.5ポイントの上昇にとどまっています。」

13年前から2.5ポイントの上昇…。

女性は51%が非正規です。女性のうち正社員が44%しかいないので、管理職に昇進する人そのものも少ない。

「企業の規模別に見ると、10人以上30人未満の企業は21.3%と最も高かった一方で、300人以上1000人未満の企業は6.2%、1000人以上5000人未満の企業は7.2%、5000人以上の企業では8.2%となっていて、規模が大きい企業の方が女性管理職の割合が少ない傾向となっています。」

とあるように、年収が高い企業ほど女性管理職が少ないのも、賃金格差に影響していることが考えられます。

コチラの記事で書いたように、日本人の年収(中央値)は423万円です。
子どもを育てようと思ったら、ダブルインカムでないと厳しい。

妻の年収が低いと、妻自身が自立できないだけではありません。
夫の人生の選択肢も狭まってしまう。
女性の年収が低いことは、男性も不幸にするのです。

最近では結婚に際して、女性の経済力を重視する男性が増えているのですが、
その話はいずれまた。


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