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私が私の母になる

怖い。元気です。私は元気です。だけどこれから、きっとこれから、見る見る元気じゃなくなります。ひとりで過ごす時間や、気心知れた友達と会う時間がちょっとだけ減るかもしれない。あまり急に生活のしかたを変えるとよくないから、少しずつ行こうねと話すことにもう決めているけど。最近の私は、肌も髪も調子が良くて、服もピッタリ似合うものを選べて、仕事も頑張っていて、家事もよくやっていて、自分のことが好きで、とってもとっても最高だったんだけど、今年が終わる頃にはきっと、最低になっています。もう少し近づいてみたい人がいる。一歩踏み込んだところに行きたい。私にとってたったひとりの特別なひと、になってしまうとしたら、私は格好よくも、かわいくも、いられなくなるんだろうな。嫌われたくなくて、ソワソワしたり、落ち込んだり、怒ったりすることが増えるんだろうな。眠れなくて苦しくなったりするのかな。怖い。嫌われないかびくびくしている自分が嫌い。自信なさそうな自分が心底鬱陶しい。なんにも起こっていないのに、消えたくなる。どこに帰ればいいか分からなくなる。安心できる居場所なんてどこにもないのだという呪いに取り憑かれて、私はダメになる。そばにひとり寄り掛かれる人がいると、絶対に嫌われたくない人がいると、途端にダメになる。嫌われても人生終わるわけじゃないのに、ダメになる。その人の顔色ばかりを窺うようになる。そんな自分はもうごめんだけど、ごめんなんだけど、それでも一緒にいてみたい。その人と一緒にいて、何が起こるか知りたい。どんな顔するのか知りたい。ちょっとだけ頑張ってみたい。ダメにならずに一緒にいられるように。なっても軌道修正しながら過ごせるように。幸せにはならなくていい。なろうとすることに疲弊している。諦めの悪い自分にうんざりしている。別に幸せになんかしてもらわなくていい。最近はちょっとだけ分かってきた。私が私を知っている。私が私を幸せにできる。ぽっと出の登場人物に委ねない。舵握らせない。私が一番私を愛している。幸せにしてあげようとか思わない。ぽっと出の私が他所の舵握らない。図々しい。私は、ごめんとか、ありがとうとか、嬉しかったとか、楽しかったとか、行動で伝えるだけ。そうしていると私が幸せだから。だからやるというだけ。傷つけるのでなければ、どう受け取られるかまで考えない。私の管理範囲外のこと、考えない。言われてないこと考えない。ビクビクしない。私は私なりにほどほどに元気でいればいい。大丈夫。怖いけど。大丈夫。信じてる。私なら大丈夫。期待するのに疲れたけれど、それでもやっぱり私は期待していたい、期待するのをやめたくない、他人に期待できる自分でいたい、と思ってきたけど、それって信じたいだけなのかもしれない。つまりは。信じたいよ。その人も。信じたい。怖い。信じるの怖い。怖い。怖い怖い怖い。勇気がなかった。意気地なし。理想の親をたったひとりの他人にやってもらおうと思わない。私がやる。本当はしてほしかったこと、言ってほしかったこと、全部私がしてあげる。一番の理解者になってあげる。不安から逃れるために行動を制限するんじゃなくて、ぐっとこらえて見守る。自由にさせてあげる。信じてあげる。私が私の母になる。今夜初めて二人で食事する。

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