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偶感

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[偶感(ぐうかん)] 折にふれて、ふと、思い浮かんだ感想。 その時感じたことを感じたままに綴っています。
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人が見るのではない、面(おもて)が見るのである

人が見るのではない、面(おもて)が見るのである

美術館「えき」KYOTOにて開催されている[能面 100 The Art of the Noh Mask]展へ行ってきた。

神・男・女・鬼・老それぞれを表した能面が100点。

【神】は翁のような表情の面と、ギリシャ彫刻を思わせるような彫りの深い面が、同じ面として展示される様を見て、日本は島国ではあるけれど、古い時代から民族が混ざり合っていたのだなと感じさせる。

【男】は皺の多い神に比べてつる

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8月の約束

8月の約束

幼かった頃。まだ小学生にもならなかった時分。祖母からこれは覚えておきなさいと言われたお経がある。

おん 
あぼきゃ べいろしゃの 
まかぼだら まに
はんど まじんはら
はらばりたや
うん

つい先日、これが「光明真言」という名があることを知った。

祖母は不思議な人で、森羅万象分け隔てない人だった。今でいうスピリチュアルな感性を持っていたということなのだと思うのだが、特段これは特別というよりは

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気を巡らしたLIVE

気を巡らしたLIVE

「(あなたから見て)私がなにを大切にしていると思っているか、教えて」

台湾ラーメンをお互い食べながら、問いかけられた。

夏至の前夜。

賀茂川でひと踊りと、ひと喋りと、ひと呑みした後に立ち寄った中華屋にて。

「美意識」という言葉がまず浮かんで、その後

「自分の美意識に忠実」と文章にした。

夏至の前夜と、賀茂川での踊りと、お互いの出立ちと、台湾ラーメンがあまりにも不釣り合いで、おまけに質問

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ただいま、のさり中

ただいま、のさり中

「そこもと、名はなんと申す」

「それがし、生まれも育ちも・・・」

なんて口上を唱えていたのは今や昔。かつては、生まれた場所や素性が自分の確かな身分証明であり、その名に恥じないような立ち居振る舞いを求められた。それ故に人としての自由を奪われ、身分の高い者が名を偽って市井の暮らしに紛れ込むなんていうのは物語としてよくある話だった。

「オレ、オレオレ」

とオレオレ詐欺の若者が電話をするところから

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ソウイウモノニ ワタシハナリタイ

ソウイウモノニ ワタシハナリタイ

子どもがまだ幼かった頃、夜中に熱を出して救急病院に駆け込んで担当医に説明を受けながらも、「明日、朝イチでK藤先生(かかりつけ小児科医)に行こ」っとどこか上の空で聞いていた。

翌朝K藤先生のとこへ行って、診察してもらって水薬をもらって安心する。

手首を痛めて、捻挫かなぁと思いつつ、「明日K子さんのレッスンがあるから、その時まで何もせず様子見よ」っと思って、翌日相談して「あ、何にもしなくていいよ〜

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私の勝ち(価値)パターン

私の勝ち(価値)パターン

月に一度行われるオンラインサロンでのミーティングでは、毎回楽しいお題が出されるのだけれど、今回は「あなたの勝ちパターンを教えてください」というものだった。

勝ちパターンと聞くと、少しイケイケなビジネスっぽい響き(私の勝手な思い込みかな?)があるけれど、要はあなたの得意なことってなあに?という問いかけから、自分のことお互いのことを話そうよというもの。

オンラインサロン内での話なので、どんな中身だ

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一杯のコーヒー

一杯のコーヒー

「今日はこのコーヒーを飲むために、家でのコーヒーを飲まずに来ました」

「どうぞ」と差し出されたコーヒーを飲みながら告白したら、吹き出すように笑ってくれた。ちょっとうれしい瞬間。

同じ豆でも自分で淹れたコーヒーと、お店で淹れてもらったコーヒーとでは味が違う。以前は、日に何杯でも飲んでたコーヒーだが、STYLE COFFEE の味わい深いコーヒーを知ってしまった今は、1日1杯で満足できる。その満足

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星がしゃべってる

星がしゃべってる

とある星座茶会を主催している友人はとあるごとにこう表現する。
「星がしゃべってる!」

これは、それぞれが持つ個性や特徴や考え方やなんやかんやが言葉となって表れている様を言っているのだけど、なんて言い得て妙なのだろう。そして、おそらくその人らしさが前面にてらいなく出ていると言うことなのだろう。

私はこの表現がとても好き。

先日ちょっとしたアイスブレイクタイムで、
・他人から見た自分、または他人

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媒体を使い分ける

媒体を使い分ける

表象システム優先度テストというのを受けた。
これはいくつかの質問に答えることによって自分が情報を得る時、どの感覚からより取り入れやすいかを簡単に調べることができる。
分けられる項目は〔視覚〕〔体性感覚〕〔聴覚〕〔言語感覚〕

今回の結果は順番に、10、16、13、11だった。

〔体性感覚〕が最も高く、〔視覚〕が最も低い結果となった。

5年前くらいに同じようなテストを受けた時は〔視覚〕が最も高く

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今日は左利きのわたし

今日は左利きのわたし

今日はなるべく利き手と反対の左手をメインに使ってみる。

別に怪我をしたとかではなく、入力の設定を変えてみるというのを実践してみてる。

どんな場面で左手を使ってみたかというと
・傘を持つ手
・ドアノブを回す手
・洗濯物を干すときのハンガーを持つ手
・スプーンを持つ手
・洗い物のスポンジを持つ手

などなど、咄嗟に出る手は自ずと利き手になるので、「左手、左手」と使ってみた。

(気がついたこと)

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メリークリスマス🎄

メリークリスマス🎄

夕方遅くに近所のパン屋へ行ったら、パンはほとんど売り切れていた。

お目当てはシュトーレン。今日に限らずいつも夕方には売り切れてしまうパン屋。今日はクリスマス。あるはずないかと思いながら、ショーケースを眺めまわす。

ケースの中には3種類のパンが2〜3個ずつ残っているだけだった。

お気に入りのバケットもないし、甘いパンは好きだけどケーキも買う予定だしなぁ、今夜のメニューとの組み合わせを考えながら

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そのさきへ

そのさきへ

ラヴェルの〔ボレロ〕のフィナーレは、「はい!これでおしまい。解散!」というような後には引かないある意味清々しい雰囲気がある。

人々は手際良く自分の荷物をまとめて、「楽しかったね。」「またいつか、どこかで会えたら一緒に演奏しよう。」「じゃあ!」口々にそんなことを言い合いながら、また自分の行くべきところへ歩を進める。

時がたってもふとあの時の演奏を思い出しては胸の奥がほわんと暖かくなり、つい笑みが

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もはや目的を見失った大掃除

もはや目的を見失った大掃除

ついにおせちを作ることをやめた。

年末の大掃除もしなくなって久しい。

子どもの頃、家族総出の年末の大掃除は決まって12/26だった。なぜこの日だったと断定できるかというと、お茶休憩で必ず前日のクリスマスケーキの残りがお茶請けとして出てきたからだ。

そして我が実家の大掃除は、畳を全てあげて庭に出し、板敷の上に敷き詰められた新聞を全て取り除き、天井の煤を払い、障子を張り替えるという、「the昭和

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職業人目線

職業人目線

学校行事は子どもの成長が見られる場でもあると同時に、保護者の社交場でもある。

仕事の合間を縫ってやってくるお母さんたちの、時折垣間見られるひとことにハッとすることがある。

今日もビデオを設置し、一眼レフカメラのファインダーを覗きながら「こういうとこくると、その髪どこでカットしたん!?って本人に聞きたくなるねん」とは、もちろん散髪屋の奥さん。

いいカットやなあと思う人もいれば、それお金払って切

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