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一杯のコーヒー

「今日はこのコーヒーを飲むために、家でのコーヒーを飲まずに来ました」

「どうぞ」と差し出されたコーヒーを飲みながら告白したら、吹き出すように笑ってくれた。ちょっとうれしい瞬間。

同じ豆でも自分で淹れたコーヒーと、お店で淹れてもらったコーヒーとでは味が違う。以前は、日に何杯でも飲んでたコーヒーだが、STYLE COFFEE の味わい深いコーヒーを知ってしまった今は、1日1杯で満足できる。その満足できる1杯を味わうなら、やはりマスターに淹れてもらったものをいただきたい。

そんな気持ちを込めての告白。

やっぱり味わい深くて美味しかった。

コーヒーを注文して、淹れてもらい、それを飲む時間はおそらく10分から15分くらい。その間に、二言三言、言葉を交わす。時には豆を挽く音、コポコポとお湯を注ぐ音だけが響いていることも。
まだ知り合って間もない間柄なので、お互い探り探り、以前話したことから共通点を見つけて少しぎこちない会話をする。

以前は、知り合ったばかりの者同士の独特のやりとりがどこか居心地が悪かった。きっと、うまく喋らなくちゃとか、気の利いたこと言わないととか、そんなことばかりに気を取られてたからだと思う。

今は、ちょっとずつ距離を取りながら近しくなっていく、そのやりとり自身が楽しい。

私が記憶を辿って、言葉を探して会話を投げかけたように、あちらも記憶を辿って言葉を探して投げかけてくれた。その思いのやりとりが、またほわっと胸の内から暖かくしてくれる。

そんな瞬間を味わいたくて、また今日の渾身の一杯を飲みにいく。



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