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松下幸之助と『経営の技法』#97

5/22の金言
 お得意先の仕入係になったつもりで、お得意先の身になって、商品をお勧めする。

5/22概要
 松下幸之助氏は、以下のように話しています。
 商売をする際の心がけとして、自分の扱う商品を自信をもって販売するために、単に商品を吟味するというのではなく、買う人の身になってというか、いわばお得意先の仕入係になったつもりでこれを吟味することが大事だ。
 仕入係には、品質、値段、量、時期というようなことを一つひとつ検討しながら、なるべくその会社や商店の益になるように品物を購入する役目がある。だから、自分はお得意先の仕入係だと考えれば、お得意先は今何を必要としているか、どういう程度のものをどれほど欲しているか、ということを察知しつつ、商品を吟味し、意にかなうようにお勧めしなければならない。

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 最近では、例えば素材メーカーが、素材の活用方法まで踏み込んで検討し、具体的な商品の最終形を示しながら素材を提案するような提案が、かなり多く見受けられるようになってきました。松下幸之助氏の話よりもさらに踏み込んだ形の提案型の営業まで存在するのです。
 問題は、そのような提案型の営業を可能とする内部統制の在り方です。
 それは、①営業の現場が製造の現場と十分コミュニケーションが図られていて、製品の強みや弱みを理解していることや、製品をアピールするポイントなどを相互に納得いくまで議論できるような環境と、②営業が提案型の営業をしたいと思う意欲を持ち、維持できることでしょう。人事交流、意見交換会はじめ、部門や個人の業務目標に営業成績を落とし込むことが必要かもしれません。
 このように、顧客対応の在り方を考えた場合には、次に、それを組織の問題としてどのように落とし込むのかを考える必要があるのです。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 投資家である株主と経営者の関係で見た場合、経営者には組織を動かすために、単なる思い付きを述べるだけでなく、組織の中でこれを形にし、徹底させ、実現させるだけの想像力や影響力が必要であることがわかります。
 もちろん、提案型の営業の素晴らしさを語れなければ、従業員がついてこず、経営者のから騒ぎとなってしまいますが、会社を組織として動かすためには、その素晴らしいアイディアを組織に定着させるための想像力や気配り、行動力、忍耐力、等が必要なのです。

3.おわりに
 提案型の営業の実効性を高めるためには、社内のコミュニケーションだけではありません。
 顧客となる会社の製造部門(当社製品を加工すべき担当部門)や、さらにその営業部門(実際に販売活動を行う部門)とも親密になり、情報やアドバイス、ヒントなどを獲得してこなければなりません。突き詰めると、当社の技術や製造部門が、小売業者の営業部門と直接連携できるような関係になれば、提案型の営業の実効性がより高まるのです。
 どう思いますか?

※ 「法と経営学」の観点から、松下幸之助を読み解いてみます。
 テキストは、「運命を生かす」(PHP研究所)。日めくりカレンダーのように、一日一言紹介されています。その一言ずつを、該当する日付ごとに、読み解いていきます。


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